商品説明
母親から丁寧に伝えられたおみそ汁、離れて行く恋人と食べる松茸料理、何も食べられなくなったお祖母ちゃんに食べてもらえた思い出の一品……。ある時、ふいに訪れる、奇跡のような食卓。大好きな人と一緒に食べる歓び、幸福な食事の情景を巧みにくみこんで、ありきたりでない深い感動を誘う、七つのあたたかな短篇小説。
著者紹介
小川糸 (著)
- 略歴
- 1973年生まれ。「食堂かたつむり」でイタリアのパンカレッラ賞を受賞。ほかの作品に「まどれーぬちゃんとまほうのおかし」「ようこそ、ちきゅう食堂へ」など。
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紙の本
泣き笑いでほおばるおいいしいもの、ください。
2012/01/25 08:09
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:チヒロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯に書かれているのですが、様々な場面(どれもその人には嬉しくて哀しくて泣きたい場面)で口にする食べ物、
お話の中にある料理、というより、その料理が核となって物語が周りを取り囲むような短篇です。
寝たきりで痴呆になってしまったおばあちゃんは何も口にしてくれない。
だけど、ふと、以前大好きだったあの食べ物を思い出した孫娘。
それをとりに、自転車を走らせる「バーバのかき氷」
恋人に初めて連れて行かれた汚い食堂。
そこで出てきたものは、夢のようにおいしいものだった「親父のぶたばら飯」など。
しんみりお腹と心にしみる食べ物ばかり。
特にさすが小川さんと言いたくなる「親父のぶたばら飯」。
「『じゃあビールを1本頼んで、しゅうまい食べて、その後フカヒレのスープで、最後に』『ぶたばら飯ね』」
このしゅうまい「固まり肉をわざわざ叩いて使っているのだろう。アラびきの肉それぞれに濃厚な肉汁がぎゅっと詰まって、口の中で爆竹のように炸裂する」と、
その後「優しく優しく、まるで野原に降り積もる雪のように、私の胃袋を満たしていった」フカヒレスープ。
ぎゃ~、このあとのぶたばら飯はどうなるの~っとのたうちまわりそう。
もう、近いうちに絶対食べたてやる、と決心したり。
その他のお話は亡くなった家族を想い丹精込めて作った「きりたんぽ鍋」や、
これから別々の道を行く恋人との最後のご馳走「松茸づくし」など、
湿っぽい話をあたたかい料理がカバーしてみせる。
かなり精神的に参っていても、美味しい料理はすこしだけ元気をくれる。
美味しいものに関しては、小川さんはやっと本領発揮できたなぁとちょっとほっとした気分でもありました。
紙の本
心温まる短編集
2020/07/18 08:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
小汚いけど絶品の中華料理屋さんでプロポーズされる話と、病気で死期の近い母親に味噌汁の作り方を教え込まれた娘の話が特に心に残りました。「お料理を残さず食べる女性なら財布を任せて大丈夫」という指摘に、なるほど!と。味噌汁の話は、同じような実話もあったような気がします。泣けました。