戦場でメシを食う(新潮新書)
著者 佐藤和孝 (著)
死と隣りあわせで人は何を食べるのか? 戦場からの中継でお馴染みのジャーナリストが食べることに拘り、世界の紛争地に生きる人たちの実態を迫真レポートする。雪山行軍中のアフガン...
戦場でメシを食う(新潮新書)
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商品説明
死と隣りあわせで人は何を食べるのか? 戦場からの中継でお馴染みのジャーナリストが食べることに拘り、世界の紛争地に生きる人たちの実態を迫真レポートする。雪山行軍中のアフガン・ゲリラとかじったナンの味、食料がないながらも「食う」ことに貪欲なサラエボの市民たちの姿、闇のなか手づかみで味わうアチェのココナッツカレー、そしてイラクでは日本人の死に間近に接し改めて「生きる」ことについて考える……。
著者紹介
佐藤和孝 (著)
- 略歴
- 1956年北海道生まれ。ボスニア、イラク等、紛争地からの生の報道を続けるジャーナリスト。ジャパンプレス主宰。ボーン・上田記念国際記者賞特別賞受賞。著書に「アフガニスタンの悲劇」等。
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タイトルからは食べることがメインである印象を受けますが、読めば現代史そのものが中心にあることが分かります。世界の本当の姿がここにあります
2007/02/16 20:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前、画集について書いたことがある諏訪敦が、自分のHPで取上げていた本です。もし彼が日記で触れていなかったら、私はこのドキュメントの著者が、諏訪の代表作の一つである〈ジャーナリスト 佐藤和孝氏の肖像〉(1995-7、8号M、テンペラ、油彩)のモデルその人であるとは気付きもせず、また読まなかったかもしれません。
いきなり脱線ですが、私はこの作品を実際に見ているんです。いわゆる好男子ではありません。決して大きくはない画布上の男性像は、てっきりどこかの山岳民族の人だと思ったくらい、眼光は鋭く、への字に引き締められた口元、刻み込まれた眉間の皺は、正直、人すら食べかねない、画面のサイズを忘れさせる迫力に満ちたものでした。
諏訪は自らの作品の解説で、佐藤氏について
「イラク報道、アフガン報道でビデオ・ジャーナリストというありかたの価値を一気に引き上げ、知らしめた感のあるひと。特にイラク報道では報道の根本の問題を浮き彫りにしたようで、多くの論議を呼んだのは記憶に新しい。彼の 仕事にかけている姿勢は現場に居ることの絶対性をいつも再確認させられる。
私がまだ学生だった12年程前に知り合ったが、自分の子供っぽさにひきかえ大変なおとなを見た気がしたものだった。 その頃の佐藤さんの年齢と現在の私のそれがほぼ変わらなくなったのに気がついて唖然とした。が、あの距離感は永久に縮まる事はあり得ないと思われる。
日本にいる時の穏やかな様子とテレビを通 して見た時の獰猛ささえ感じられる表情のギャップにはいつも不思議な気持ちにさせられる。」
と書いています。二人の間には凡そ10歳の年齢差がありますから、知り合った時期は諏訪20代、佐藤30代となります。私が見た作品は1995年作だそうですから、この本で言えば佐藤が頻繁にアフガニスタンを訪れていた時期にあたるのでしょう。記事を読めば、彼の表情が決して甘いものになりえなかったことが分ります。
内容についてですが、帯とカバー、目次で語ってもらうことにして、感想を書いておきましょう。まず、単なる食事の本として読み始めてください。ああ、テロリストたちはこんなに貧しい食事をしているんだな、とか反政府ゲリラはこんなものしか食べていないんだなとか、そんな感想を持つかもしれません。
でも、知らないうちにあなたは自分が現代史を、民族紛争が絶えず、そのなかで権力が人々を抑圧し、民族が民族を弾圧し、人が人を殺し、女が男に犯され、子供を殺された親が絶望することを、それでも人は餓え、渇き、僅かな食事を、少しの水を求めていかないわけにはいかないことを知るはずです。
この本では、マスコミの報道が殆どなされないアルバニア、チェチェン、アチェの報告に、なんともいえない気持ちになりました。そして我が国が深く関与したイラク戦争、そこでの自衛隊や外務省の佐藤への応対ぶりや、当時、自衛隊派兵を決めた小泉首相の香田証生さん見殺しの対応に、今さらながらに憤りを覚えずにはいられませんでした。
外務省の無策、自衛隊の「見せたいものしか報道させない」姿勢。そして国民の命を守ろうともしない政府。これで何が国連の常任理事国だ、どの面下げて防衛庁を省にした、なんて喚きたくなります。それにしても、国民に殆ど議論をさせないままの今回の防衛省昇格、国会と国民との乖離がここまで大きいとは・・・。簡単に憲法を変えさせないためにも、世界の本当の姿を知るためにも、是非お読みください。諏訪がなぜ佐藤を尊敬するのか、よく分るはずです。
帯の言葉を書いておきます。
「イラク、アフガン、サラエボ、チェチェン——死と隣り合わせの食卓。」
戦闘地域での日常
2009/12/04 12:50
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Shinji@py - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名に惹かれてこの本を読んだ。
戦場カメラマンとして第一人者である著者の武勇伝を期待したが、
いい方向に裏切られた。内容は戦場での食事、日常である。
そして戦闘地域で感じた素直な驚きと失敗談。
飾りのない体験談を身近に感じた。
どこのゲリラの飯がうまいかが話題になる日常。
少年がAK47自動小銃を持って自転車に乗る日常。
素手で不発弾を処理する日常。
淡々と書いてあるから引き込まれるが、死と隣り合わせの日常が続く。
野外の電球の周りは虫が集まるので、皿に入らないように
暗闇で食事を取る。ぼくがわかるのはせめてこれくらいだ。
自分のことで恐縮だが、
就職のとき、「ベトナムに行ったか」というアンケートの質問に
意味もわからずNOと書いた。ベトナムとはあのことだと後でわかった。
緑の迷彩服は珍しくないが、生地のしっかりした砂漠色の迷彩服を
街で何度も見かけて、この国は今も戦争をしていることに気がついた。
アメリカに来てすぐのことだ。
ぼくには知らないことが多すぎると思った。
素人が危険な地域に行くのは無謀なだけだと思うが、著者の言う
「未知のことに対する恐怖より、それを知りたいと思う好奇心」
という気持ちはわかるような気がする。
こういう本を若い人に薦めていいか、これはよくわからない。