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電子書籍
「うつ」を治す
著者 大野裕 (著)
気分が沈み込んだり、何もする気が起こらなかったりするのは誰もが日常的に経験すること。でもそれが1週間以上も続いて、食欲の減退や不眠も重なるようになったら「うつ病」かもしれ...
「うつ」を治す
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「うつ」を治す (PHP新書)
商品説明
気分が沈み込んだり、何もする気が起こらなかったりするのは誰もが日常的に経験すること。でもそれが1週間以上も続いて、食欲の減退や不眠も重なるようになったら「うつ病」かもしれない?いま「うつ」に苦しむ人が増えている。急増した中高年男性の自殺の背景にも「うつ病」がひそんでいるケースが多い。「うつ病」は「心の風邪」ともいわれるが、「気持ちの問題」として軽視すると、自殺などによる死に至る危険もあるので要注意と著者は警告する。著者は慶應病院の精神科に勤務する傍ら、地域や職場のメンタルヘルス向上にも積極的に取り組んでいる、うつ病治療のエキスパートである。本書では、本人にも周りにも人にも気づかれにくいうつ病のサインの解説と併せて、認知療法、SSRIを用いた薬物療法などの最新の治療法を紹介する。「うつ」に苦しむ人たちや、どう接したらよいか悩んでいる家族や同僚をやさしくサポートする一冊である。
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紙の本
余儀なく部下の「うつ」に関わるはめになった知性ある上司へ推す、90分で通読する「うつ」の最低知識
2001/03/31 22:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わに - この投稿者のレビュー一覧を見る
○○さん(匿名)の症例を羅列していない。評者はその点を本書のいちばんの特長として評価したい。この点によって、本書はあまたの「うつ」入門書と姿勢を画するものとなっている。
うつは流行っている。「心の風邪」というキャッチフレーズ(?)も雑誌等で定着しつつある。
うつに興味を持ち始めた人にとっては、「A男さんは28歳の会社員。営業職からシステム管理部門へと異動になって…」云々の事例紹介で始まる入門書は読みやすいし、時には面白かったりする。大抵は、その入門書の著者の施した療法によってA男さんは回復する。
社会事象に対する見聞を広めるために読むなら、それで十分である。しかし、管理責任を問われる「上司」という立場の人にとっては、自分の部下がうつで欠勤し始めたら、事態は他人事では済まされなくなる。どう対処するのが知性あるやり方か?
治療は専門医に委ねるとして、自分もうつに対する最低限の知識を持とうと努力すべきだろう(管理職研修の「職場のメンタルヘルス」なる講義にはまったく興味がなかったにしても)。
この本では、他人事でなくうつに関わる者(主たる対象はうつ患者自身)にとって必要なうつの症状と治療の基本的知識が、ほぼ偏りなくコンパクトにまとめられている。「ですます」調で、難解な用語もないので、比較的短時間で通読できる。
風邪になぞらえられるうつが実は慢性化しやすいこと、再発しやすいこと、自殺につながりやすいことを押さえ、薬物治療への偏見をとく記述もなされている。「うつの社会的治療」という章を設けて、職場関係者も含めた周囲のサポートについてもアドバイスしている。
著者はうつの心理的治療の一つである認知療法の専門家であるが、本書においては、どの療法についても掘り下げてはいない。新書一冊という分量からすると妥当であろう。
治療法を選択するのは患者自身である。その選択に対しての責任まで上司が負う必要はない、それは管理の範囲外だと割り切った上で職場のサポート体制を考えるのが知性ある対処法だろう。
それでも本書のなかで気に入った、あるいは気になった点があるとしたら、それは部下ではなく自分自身の「うつ」に気づいたというサインかもしれない。自分の治療の手がかりを、本書を読むことによって得るかもしれない。その時には、あなたも部下も症例羅列本のA男さんではないということを実感できるだろう。