- 販売開始日: 2013/04/19
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-102401-1
白痴
著者 坂口安吾 (著)
白痴の女と火炎の中をのがれ、「生きるための、明日の希望がないから」女を捨てていくはりあいもなく、ただ今朝も太陽の光がそそぐだろうかと考える。戦後の混乱と頽廃の世相にさまよ...
白痴
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商品説明
白痴の女と火炎の中をのがれ、「生きるための、明日の希望がないから」女を捨てていくはりあいもなく、ただ今朝も太陽の光がそそぐだろうかと考える。戦後の混乱と頽廃の世相にさまよう人々の心に強く訴えかけた表題作など、自嘲的なアウトローの生活をくりひろげながら、「堕落論」の主張を作品化し、観念的私小説を創造してデカダン派と称される著者の代表作7編を収める。
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書店員レビュー
観念的私小説を創造してデカダン派と称される著者の代表作7編を収める。
ジュンク堂書店那覇店さん
『白痴の女と火炎の中をのがれ、「生きるための、明日の希望がないから」女を捨てていくはりあいもなく、ただ今朝も太陽の光がそそぐだろうかと考える。戦後の混乱と頽廃の世相にさまよう人々の心に強く訴えかけた表題作など、自嘲的なアウトローの生活をくりひろげながら、「堕落論」の主張を作品化し、観念的私小説を創造してデカダン派と称される著者の代表作7編を収める。』
『女が欲しい。たとえ白痴であったとしても。』
今では考えられないほどショッキングな帯の付いたこの文庫本は、しかし、内容はもっとハードでした・・・。
暗い。全編がとにかく暗いんです。
ですが読み終わった時、なぜか心がスッキリしている自分を発見しました。
嫉妬・憂鬱・絶望、ニヒリズムでしょうか。そこはかとなくユーモアに変換されていたりもして油断できません。
不幸を不幸と思わず、そのままに受け入れて生きていく登場人物たちの強さを、私も見習いたいものだと思いました。
青鬼の褌を洗う女
2020/06/16 17:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まさがき - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作は表現力が凄まじい名作です。
他にも「外套と青空」や「戦争と一人の女」など、退廃的で過激で思い詰めていて、しかしシンプルに面白くて、楽しいです。
そして最後の一編「青鬼の褌を洗う女」に圧倒されました。
素晴らしかったです。
非常時に見える生の人間の卑小さ
2024/09/10 15:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
これも戦争文学といえるのだろう。
東京の空襲下、主人公を通して見るありのままの人間。
破壊、欲望、他者への蔑視・・・。物語を通じて、読者はさまざまな事象や感情と直面する。
愚かだが肯定したくなる、卑小な人間。
堕落とは道徳の虚偽を暴くこと
2001/05/29 20:18
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:呑如来 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世間的な道徳を唾棄し、自らのおもむくままに女の体を求める主人公。
「人格などどうでもいい、単に体だけが好きなのだ」と言いきる姿勢は、偽善的な愛の物語より潔く、その対象となる女もそのことをわかっていてやけに清々しい。安吾の言う「堕落せよ」とは、「自らの欲望に目を伏せるな」という強い態度であるが、これらの短篇群によって彼の論理は見事に証明されている。
戦争当時の何も知らない女とどうしようもない男
2018/05/20 07:29
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投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
坂口安吾の短編小説であり、意外と有名な作品。戦時中の物語で、とつぜん押し寄せてきた知らない白痴の女を家にかくまうことになった男の物語り。戦火の中、なぜが情が女にわいてしまった男の心情と末路を描く。あまりない設定であるが、物語は単調で面白みには欠ける。しかし、坂口安吾の独特な雰囲気が短時間で楽しめる作品である。
白痴の中に見えるもの。
2001/03/19 01:48
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投稿者:デレク - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台は太平洋戦争中の日本。アメリカ軍戦闘機によって、空襲を浴びせられるという時代である。そこにいた人々の生活は苦しく、何もかもが混沌、混乱であった。そんな時、一人の青年と一人の白痴女の間に芽生えたものは何だったのであろうか。
空襲を浴びせられた時、一瞬でも避難が遅れると、それは致命的なのである。それすなわち、死なのである。そのような事態において、己が守るべきものは果たして何か。自らの命か、財産か、他人の財物か。人々は、極限状態の中で、何を見るのか、何を求めるのか。そして、一人の青年が救ったものは、守ったものは、得たものは、何なのか。それは、それぞれの中でそれぞれのストーリーが生み出される瞬間であった。
そして、白痴な女は、やはり、いつの時代でも男をひきつけてやまない。