きっと彼女は続いているから
2015/03/26 10:46
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投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
少女は卒業しない、できないのではなくしないのだ。だってこの時はその場所はあの人は、今だけここだけあなただけがいないといけないから。少女は卒業しない、きっと彼女は続いているから。いつまでもずっと。
ストレートに胸を打つ女子高生たちの物語、朝井リョウ「少女は卒業しない」。
2012/04/25 11:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
20代の男性作家で青春をきちんと書ける人ってそれほどいないのでは
ないか。朝井リョウは現代の青春小説の書き手としてとてもとても輝い
ている。さて、彼の最新作「少女は卒業しない」は、合併で廃校になる
地方高校の卒業式の1日を描いた連作短編だ。
主人公は女子高生たち。彼女たちと先生、先輩、部活仲間、幼なじみ
の男の子たちとのストーリーが卒業式当日の朝から深夜までという設定
で繰り広げられる。1日の話ではあるけれど、そこでは恋や友情や部活
が語られ、あこがれやせつなさや悔しさなど様々な感情が交錯している。
「高校生活」のすべてがそこにあるのだ。僕のような青春を遥か遠くに
感じている者にとって、それは懐かしいというよりもまばゆ過ぎる感じ
がするし、今、青春を生きている若者たちにとっては胸が痛くなるよう
な共感があるのではないだろうか。
驚くのは朝井リョウの表現力で、僕は2、3度、これは女性作家の小
説なのではないか、と思ってしまった。それほど女子高生たちの心理描
写が自然なのだ。青春と真っ向勝負しているその姿勢が素晴らしい。小
細工に走ったり、比喩的な表現を好んだりする部分もあるが、今の朝井
リョウに変化球など必要ない気がする。
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ーー伸ばした小指のつめはきっと、春のさきっぽにもうすぐ届く。
この一文を読んで、ああこの小説絶対好きだ、って思った。そして初めの一文だけで泣きそうになった。
朝井リョウさんの作品はデビュー作からすべて読んでる。デビュー作の桐島、もういちど生まれる、そしてこの少女は卒業しないがわたしはとくに好き。
連作短編小説。しかも平成生れの作家である彼にしか書けない素晴らしい連作短編小説。
図書館、先生、恋。
幼馴染、目立つ彼、目立たないわたし、それぞれの道。
先輩、後輩、送辞での告白。
進路、東京、別れ。
音楽、卒業ライブ、ハプニング。
美術部、帰国子女、知的障害。
部活、死別、それぞれの道。
加えてすべて場面は卒業式。さらに加えて廃校になる校舎。外れるわけがない。
淡くほろ苦い青春小説。素晴らしかった。わたしが好きなのは初めのエンドロールが始まる、かな。やっぱり。
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今日、わたしはさよならする。図書室の先生と。退学してしまった幼馴染と。生徒会の先輩と。部内公認で付き合ってるアイツと。放課後の音楽室と。ただひとり心許せる友達と。そして、ずっと抱えてきたこの想いと―。廃校が決まった地方の高校、最後の卒業式。少女たちが迎える、7つの別れと旅立ちの物語。恋愛、友情、将来の夢、後悔、成長、希望―。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集(「BOOK」データベースより)
エンドロールが始まる
屋上は青
在校生代表
寺田の足の甲はキャベツ
四拍子をもう一度
ふたりの背景
夜明けの中心
卒業式の一日(朝から次の日が始まる夜明けまで)を描いた、7編の短編集。
前作『もういちど生まれる』で、「未だここまで青臭いのもどうなのか?ここらで少し化けてみてもいいのではないか?」と厳し目なレビューを書いたけれど、そんなことはアタシなんぞに言われるまでもなく、しちゃっていたようだぞ朝井さん。
この作品はいい!
試験的に書かれたような話もあるけれど、色々な書き方にチャレンジしている感じが見受けられて好印象。
ここからぐーんと変わっていく予感がビシバシします。
特にお気に入りなのは、読み上げる送辞の形でストーリーを展開させる「在校生代表」と、帰国子女の一匹狼的女の子と特殊学級の絵のうまい男の子との静かで温かな交流が胸を打つ「ふたりの背景」。
正道くんは運動が苦手だ。競争社会で生きていくことが苦手だ。複雑な問題を解決することが苦手だ。だけど、こうして自分が行きたい場所にはまっすぐ歩いて行くことができる。自分の好きなパンを持って、三十分近くかけて、お母さんに会いに行くことだってできる。私は、それで十分だ、と思った。目的地に向かってまっすぐに歩いて行くことができるならば、その人はきっと、大丈夫だ。
この本の中で一番心に響いた言葉。
私はきっと、こう言ってほしかったのだな。
誰かに、「大丈夫だよ」と。
ふいに流れ出した涙に驚きながら、この部分を何度も読み直しました。
今まで朝井さんの本で泣いたことはなかったんだけどなー。
今回はしてやられてしまいました。
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朝井リョウ(@asai__ryo)先生、感謝!
マジ痛いと思った。
単に卒業と言うだけでなく、学校そのものがなくなってしまう、
本当に痛い別れ。
特にラスト。今生の別れと卒業と、このストーリー(本)のおわりとかけまくりで痛い×3
でもハッピーでもないのに、リアルに自分が春の明け方に居るみたいにひんやりとすがすがしい感じで、大丈夫、がんばれ、と思った。
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一気読みでした。
高校ってなんだかんだいい場所だったなーとつくづく思う。
言葉にできないくらいの切なさと、じんわりした感動が残った。
やっぱり朝井さん女子書くのうますぎて驚くばかりですわ…
良かった。
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統廃合によって廃校が決まった高校の卒業式が舞台。
いろいろな生徒のいろいろな卒業式の一日が詰まっている。
雑誌『ダ・ヴィンチ』の記事に、「図書室ってなんのための場所か知りたい人は」って書いてあって、読みかけの本より先に読みだした。
一気に読んでしまって、読み終えるのがもったいなくて、最後の話だけ翌日にとっておいた。
卒業がテーマだから、悲しいシーンが多くなることは予想していた。
でも、最後の話はやられた。
不意打ちだ。
朝読書中に読んでいて、思わず泣きそうになった。
「卒業」って単なる学校の卒業だけではなくて、いろいろなことから卒業する日。
友情や恋愛や憧れや悲しみ、いろんなことから「さよなら」をする日。
でも、みんな前向きな「さよなら」だ。
そんな卒業を毎年見られる今の仕事は、幸せだな。
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読み終わってすぐの、まっさらの感想を。
胸が震えた。
いつにもまして、丁寧に、一つ一つの言葉の意味をすくいとり、噛みしめながら読んだ。
ときどき、一読して意味がわからないところがあったせいでもあるけど。
それでも、とても大切なものが詰まっている宝箱を開いているような感覚があって、読み飛ばしたり読み流したりできなかった。
「四拍子をもう一度」から「ふたりの背景」への流れが特によかった。
「ふたりの背景」のラストで、森崎の歌う「The long and winding road」が聞こえてくるシーンでは、ふと鼻の奥がツーンとして涙が出そうだった。家で一人で読んでたら確実に泣いてた。
廃校になって取り壊しが決定している高校の、最後の卒業式の日。
その一日の朝から次の朝までの時間の中で、それぞれの物語が進行していく。
ちょっとずつ関わりが垣間見える構成は私がとても好きな形だ。
「桐島、部活やめるってよ」も「もういちど生まれる」もとてもよかった。でもこの「少女は卒業しない」はもっとよかった。
自分が卒業した高校の、いろんな場面や場所が思い浮かんできて、懐かしさで胸がしめつけられるようだった。
とりあえず、すぐに再読する。
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〈内容〉高校最後の卒業式、7つのさよならの物語。
校舎取り壊しが決まっている高校、最後の卒業式の一日。少女7人が迎えるそれぞれの別れを、瑞々しく描く連作短編集。恋愛あり、友情あり、成長あり、ミステリ的仕掛けあり。青春の全てがここに!
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読み切ったときには、すごく温かい気持ちになりました。
最後の一編では、事情が分かってくるにつれて涙があふれてきて、久しぶりに本でボロ泣きしました。
これでもうなくなってしまう高校だからこそ、卒業生にも在校生にもいろいろな思いがあって、それがとても素敵だなぁと思いました。
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卒業式。終わりの日、始まりの日、出会いと別れ。たった一日に、たくさんの人のたくさんの思いが詰まった大切な日。
高校生って、中学生ほど子供ではないけれど大人になるにはまだ危うくて。この三年間ってなんだか特別だったんだなと、改めて感じました。
作者の朝井さん同様、私も春から社会人になりました。学生の時ほどキラキラした毎日が待っているとは限らないけれど、一歩ずつ、進むべき道へと、歩き出して行こうと思える作品でした。
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廃校になる高校を舞台にした連作短編集。図書室が舞台の作品があると聞いて『エンドロールがはじまる』を読んだ。
女子高生が図書室担当の先生へ好意を寄せる話。とても切なかった。
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感動しました。最初のと最後のが個人的にはすごく好き。卒業、という一日に込められたたくさんの思いが感じられる一作です。
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初めて読んだ作家さんの小説でしたが、良かった。
著者はまだ20代前半の好青年らしいです。素晴らしい才能やな。
テーマは「さよなら」。
卒業式に一つの高校で起こる7つのさよなら。
ちょうどこの時期に読んだってのもあるけれど、
青春の懐かしさと、3月の澄んだ空気を感じさせてくれました。
さよならだけが人生だなんて言葉がある。
お別れの時の感情とか、胸を熱くさせた一瞬の心の揺れとか、その一瞬がその人にとって永遠なんよね。
それだけがその人にとって意味のある人生なんよね。
一瞬と永遠は同じ意味なんよね。きっとね。
そんな訳のわかんないこと考えさせてくれるくらい
すばらしい小説です。
“体育館から、ビートルズが聴こえる。思い出した、この曲名は、『The long and winding road』だ。遠く離れたあなたのもとへ会いに行きたいという歌だ。”
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3月25日、卒業式が行われると共に、卒業生・在校生はこの学校からさよならをしなくてはならない。次の日にはこの校舎が取り壊されてしまうからだ。
7つの短いお話は、内容はすべて違うけれどどれもすっきりと、だけど切なさも残していく物語でした。個人的には「エンドロールが始まる」「屋上は青」のはじめ2つのお話が好きです。朝井さんの本はすらすらと読めて、もう一度読みたくなってしまいます。