大河の一滴
著者 五木寛之 (著)
どんなに前向きに生きようとも、誰しもふとした折に、心が萎えることがある。だが本来、人間の一生とは、苦しみと絶望の連続である。そう“覚悟”するところからすべては開けるのだ―...
大河の一滴
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
商品説明
どんなに前向きに生きようとも、誰しもふとした折に、心が萎えることがある。だが本来、人間の一生とは、苦しみと絶望の連続である。そう“覚悟”するところからすべては開けるのだ――。究極のマイナス思考から出発したブッダや親鸞の教え、平壌で敗戦を迎えた自身の経験からたどりついた究極の人生論。不安と混迷の時代を予言した恐るべき名著が、今あざやかに蘇る。〈心の内戦〉に疲れたすべての現代人へ贈る、強く生き抜くためのメッセージ。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
今と言う時代の正体を知るために必要なメッセージ
2011/04/20 23:11
15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジーナフウガ - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなにも素晴らしい本を読む機会に恵まれた事に感謝致します。
実際、読んでいる最中は五木さんの肉声が刻まれた活字に、素直に自分の心を向き合わせました。
言うなれば作者である五木さんの魂と、読み手としてのこちらの魂を対話させて読むのが、
この本に似合う読み方だと思います。これ程実直で愚直なまでに正直な内容が綴られた本を僕は知りません。
例えば人々はよく『こんな時代だから』と口にしますが、果たしてそれはどんな時代なんでしょうか?
五木さんはそこの部分を決して見過ごしたりなおざりにしたりしません。
『私たちは〈心の内戦〉というもののまっただなかにいるのではないか、
ということを平和のなかでふっと一度ぐらいは考えてみる必要がありそうな気がしてなりません。』
と述べます。そして自殺者や、自殺者予備軍まで含めて考えて、
現代人が如何に生命の危機に瀕しているかとズバリ!直言するのです。
これらの言葉には心底震えを覚えました。それから行き過ぎたプラス思考に対しての例として
『子供から殴られつづけて、カウンセラーから「とにかく耐えて我慢しろ。それも愛情だ」
と言われ涙をながしながらそれに耐えていた父親が結局、金属バットで息子を殴り殺してしまうという事件が
先ごろありました。この父親に対して息子の暴力をプラス思考で考えろと言えるでしょうか。
それはふつうではできないと思います。』との例を挙げます。
この二つの事案の提示に対する返答として、マイナスや絶望の中から人生を生きなおし、
どん底からプラスや希望を見つけよう、今こそ人間は大河の一滴として謙虚に生きるべきではないのか?
と読者に呼び掛けてくる五木さん。呼び声は確かに届きました。
僕も僕なりに生きて生きたいと思います!どうぞあなたも手に取って、
この本からのメッセージに耳を傾けてみませんか?
悟りの境地か?!
2002/05/20 09:53
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ラフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を何度も何度も買おうとしてはためらってしまった。
それは冒頭から「私はこれまでに二度、自殺を考えたことが
ある。」という文章で始まっているからだ。
五木さんはこの原因を「こころ萎えたり」と表現されている。
これは実際誰にでもあることで人生において挫折のない人
はけっしていないだろう。
そういう意味で今まで知らなかった五木寛之という人物像を
垣間見たような気がしてとても共感を得ることができた。
悩み多き人にはぜひおすすめしたい本である。
「融通無碍」な生き方
2007/04/20 20:22
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イム十一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が考える人生観・死生観を、著者の幼少期から現在(この本が出版された当時)までの体験や見聞等を基にして書かれています。
この作品の核となるのは、様々な事象に対して、光と影、正と負、などの二元的考え方、思慮分別を加えていくのではなく、光があるから影があり影があるから光がある、正があるから負が成り立ち負があるから正が成り立つ、などと一元的に捉えて考えていくこと(著者は「融通無碍」と表現しています)の必要性です。
私達も、日常生活において負の状態であると感じる時期もありますし、自分を他人と比較して負けている・劣っていると感じてしまうこともあるかと思います。そんな時に、「こういう生き方もある」「こういうものの見方もある」と多種多様なアドバイスをしてくれる、そんな一冊ではないでしょうか。
まだ思いでになっていない思いで
2024/04/20 00:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ロドニー - この投稿者のレビュー一覧を見る
はじめて読んだのが99年ころだと思う。だから深夜の友としては若いほう。これまでに三度か四度、読み返しているはず。
さて。手放すことのできない思い入れに満ちた作品ではあるものの、壊れてしまうほど読み倒しても持ち歩いてもいないのに手元にあるのはあらためて買った二冊目です。なぜでしょう。
むかし弟に貸してから返ってきていないのです。
なぁ、弟。この本は何も抱えないノンキな青年が読む種類のものじゃない。何かがあったろう。生きていることに疑問を感じなきゃならないような何かがあったんだろう。何もないわけがない。むかしも今もたくましく兄が自慢したいほど立派に生きる君がこの本を借りにきたあの日のころ、何をどう乗り越えたんだろうか。
実はあの日というのがいつのことだったかは忘れてしまったのですが、彼も忘れているくらいだったらいいなと思っていたりもします。酔った勢いで気恥ずかしさを乗り越えて、そのうち訊いてみようと思っています。
頑張らない生き方
2021/03/02 08:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凡人のつぶやき - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、大河の流れに身を任せて生きよという。人間が何もかも支配し、全てを知っているかのようにふるまうことを傲慢だという。人はみな大河の一滴なのだと。
この生きづらい世界、この世の中は生まれながら地獄なのだ。だから、何も期待をしてはだめ。現実をそう受け入れることによって、スッと肩の力が抜けた気がした。
印象的なエピソード。
古代中国の屈原。彼は清廉潔白さゆえに、周りから疎まれ、追放されてしまう。追放先である漁師に出会い、彼にどうしたのかと尋ねられると、屈原は答えた。「この世は濁りきっており、その中で自分だけが正しく清らかで、周りは酔いしれている中、自分だけは、醒めている。」そんな彼に、漁師は言った。「汚れて濁った水であっても、自分の泥だらけの足を洗うには十分だ」と。
大河は澄むときもあれば、濁るときもある。濁っていることのほうが多いだろう。そのことをただ怒り、嘆くだけなのはどうなのだろう。何か少しでもできることをするしかないのではないか。
流れに逆らって、抗って生きる。そんな人もいるだろうが、自分には、そんな強さはない。生きるということそれだけに喜びを感じ、この流れに身を任せ、濁ったときには悲しみ、澄んだ時には喜び、それを分かち合いながら生きていきたい。
少し力を抜いて生きていっても良いんだと心が楽になる一冊でした。
一心に考える。
2020/09/04 17:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゼルコバ - この投稿者のレビュー一覧を見る
何とも言えない読後感。
強い思いをもって人生を生き抜くという気持ちが伝わってくる。
それも著者の戦後体験など実生活にのったものだからすごい。
まだまだ望みはある。そういう気持ちにさせてくれる本だ。
読後のしみじみ感が湧出します。
2020/06/21 23:09
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書のなかにある『反常識のすすめ』には些か反駁がありましたが、それ以外は思わず付箋を貼りたくなるような箇所が膨大にありました。その中でも以下の3つは特筆でした。
人は生きているだけでその意味がある、は本書を読む前に岸見一郎氏の『人生は苦である、でも死んではいけない』に同様な内容が著述されていて更に自分に刻みました。
また屈原の故事『滄浪の水が清らかに澄んだときは、自分の冠の紐を洗えば良い。もし滄浪の水が濁ったときは、自分の足でも洗えば良い』と歌った漁師の句言は身に沁みました。そう言えば屈原の故事に於いて漢字検定準1級の学習時に『衆酔独醒』という四字熟語があったのを思い出しました。
『君看よや双眼の色、語らざれば憂いなきに似たり』も心を打ちました。
本書から自分なりに様々な収穫を得られたと思います。一度しかない人生を自分なりにそれなりに歩んでいきたいと感じました。
いつの時代に読んでも
2020/09/23 09:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:touch - この投稿者のレビュー一覧を見る
泰然自若にみえる五木先生にして、「自殺を二度ほど考えたことがある」とか「心萎えたり」と感じたことが何度もあるとか・・・。
でも、そう思うことが悪いと言っていないところに、とても救いを感じる。
最近は特にコロナ禍で生きにくい世の中になったが、まるで、このことを見越して書いているようにも思えるところが多々ある。
逆に言えば、いつの時代にも通じる普遍的なことが書かれているのだろう。
だから、この先、「心萎えたり」と思ったら、また手にとってみようと思える、そんな本だった。
悩める人の救いになりそうな本
2020/09/05 08:08
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間は誰でも大河の一滴にすぎない、無理にポジティブ思考でいなくてよい、死ぬときは死ぬのだから難しく悩まないでただ生きていればいい、といった内容。メンタルが弱っている人には力を得られそうな本。
また、新たな感染症が出てくるのではないかとか、対面で教えを受けることの大切さを語っている部分もあり、20年前の本とは思えない現代に通用する本でした。良書は普遍的ということですね。
「人間はだれでも本当は死と隣り合わせで生きている」
2021/10/31 20:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FA - この投稿者のレビュー一覧を見る
「人間はだれでも本当は死と隣り合わせで生きている」「人はすべて地獄に生まれてくるのである」
読んでいてこんなことを思いました。私の子どもの頃、祖父母が一緒に住んでました。よく遊んでもらいました。家業をやっていて父母は忙しかったので、代わりに隠居している祖父母が相手してくれてました。その頃は解ってませんでしたが、老いていくと人はどんな感じなのかを教えてくれていたんだと。そして、亡くなっていきました。死に顔も見せてくれましたし、周りの大人の誰それが泣いているのか、はたまた別の表情を見せてくれる。死んだらどうなるのかを教えてくれるんです。こんなことは学校では学べません。今はどうなんでしょう。私の娘には、年老いて寝たっきりになってしまった私の父と話しをさせました。その後すぐに亡くなってしまった。告別式で、死に顔を見せました。何を思ったかは知りません。何を思ったとしても、正解はありませんので。尋ねても答えられないだろうから、尋ねてません。私も娘もほぼ同じ年頃に遭遇し、うまく答えられなかった。だから聞くだけ野暮かなと思いました。
流石、大ベストセラーになっただけはある。読みやすい上に、圧倒的な説得力。いちいち納得してしまった。
行間から問いかけてくるもの
2006/07/02 09:47
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:だいちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『物事をすべてプラス思考に、さっと切り替えることのできる器用な人間ばかりならいいだろうが、実際にはなかなかうまくいかない。
私たちはそんなとき、フーッと体から力が抜けていくような、なんともいえない感覚をあじわう。むかしの人たちは、そういった感じを、
「こころ萎えたり」
と言った。「萎える」というのは、ぐったりと虚脱した状態のことである。心が萎えたとき、私たちは無気力になり、なにもかも、どうでもいいような、投げやりな心境になってしまうものだ。』
プロの作家が書くと、読んでいるうちに心の中で自分なりにその世界が描けてしまう。行間が問いかけてくるというはこのことなのでしょう。日常の生活つまり仕事・家庭・地域などなどのごたごたした中にいてすーっと人の本質に導いてくれる一冊でした。
エッセイ
2024/08/23 05:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベストセラーにもなった人生エッセイ。小説家でもあるが紀行文やエッセイなど多方面に人気の作家が描く最大のヒット作となっている。
苦しみの世を生き抜く指針
2000/10/31 21:18
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ランゲルハンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は「私はこれまでに二度、自殺を考えたことがある」という文で始まる。これだけで本書に対する五木さんの真剣さを感じることができる。
私たちの周りでは様々な出来事が起こる。その多くは怒りや悲しみを伴ったものだ。だから、本書で紹介されている、自殺に関する子供たちのアンケート結果や自殺者の数の多さを見てもさもありなんと思ってしまう。このような時代をどう生きたらいいのか、本書ではその指針が紹介されている。
五木さんは、「人間の一生とは本来、苦しみの連続なのではあるまいか。」という。たしかに、ただ毎日を生きるだけでも苦しみはつきまとう。そしてその苦しみは現代のように文明が発達した社会においても決して少なくはなっていない。
それでは、仏陀のように、究極のマイナス地点から出発しよう。そして小さな人間である私たちは何にも期待せず、それでも「笑いながら死んでいく」ことができるように生きていこう。このように五木さんは考えている。
本当にこの世にはつらいことがあふれている。その中で本書は、人生捨てたもんじゃないな、と気付かせてくれる。