海辺の扉(上)
著者 宮本輝 (著)
宮本さんの長篇にはヨーロッパを舞台にした作品が。『ドナウの旅人』(ドイツ・東欧)『オレンジの壺』(フランス)『睡蓮の長いまどろみ』(イタリア)……。この小説はギリシャを舞...
海辺の扉(上)
商品説明
宮本さんの長篇にはヨーロッパを舞台にした作品が。『ドナウの旅人』(ドイツ・東欧)『オレンジの壺』(フランス)『睡蓮の長いまどろみ』(イタリア)……。この小説はギリシャを舞台にした作品です。観光地でもリゾートでもなく、苦い現実をはらんだギリシャ。子供を事故で死なせた宇野は、そこでガイドとして働いています。ギリシャ女性・エフィーとの新しい恋。しかし、不気味な影が二人に忍び寄る……。宮本さんの傑作ロマンを堪能してください。
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海辺の扉
2017/02/16 01:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kikiryu - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮本 輝さんの小説の舞台となる場所、今回はどこかなとワクワクする。海辺の扉だから、どこの海かなと思いを巡らす。今回の舞台はギリシャ、遺跡の国、哲学者・数学者を生んだ国、神話の国、こう見るとギリシャとは古代から偉大な国というイメージであるが、もはや過去の国なのか?
過去に生きるしかない、末来の見えない主人公にとって、ギリシャは来るべきして来るところだったのかもしれない。エーゲ海のクルージング、美術館、ギリシャの街々の描写が本当にそこにいるような感覚になります。過去・現在・末来を貫くストーリーに、スリルとサスペンス、推理小説のようでもあり、読んでいて懐かしさと郷愁を覚えます。次の宮本作品を読みたくなりました。
人間は強し。特に女はなお強し。
2005/12/11 03:58
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真琴。。〆 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の不注意で1人息子を死なせてしまった宇野満典。
それが元で離婚し、傷を抱え1人ギリシャでの生活を始める。
不景気のギリシャで宇野の仕事は「つなぎ屋」と呼ばれる、ヤバイ物を運ぶ仕事。
地元の女性エフィーと出会い結婚するが、傷が癒えることはない。
エフィーの「あなたの死んだ子供を私が生んであげる。」という言葉に支えられ、2人で日本に帰ることを決意するが、そこで「つなぎ屋」としての、最後の大仕事を受けてしまう。
帰国前の豪華客船旅行で知り合う人々。仕事絡みの胡散臭い人間ばかり。誰を信じれば良いのか?自分はどうしてこんな仕事を引き受けてしまったのか?自分の過去をいつエフィーに打ち明ければ良いのか?
後悔先に立たず。船は進み続ける。
胡散臭い人間に囲まれ、命の危険を感じる場面も出てくるが、下巻があるということは上巻では死なない。という安心感を持って読める。(笑)
下巻では日本に帰ってから出会う人々との、前向きな様子が描かれる。
ミステリーで言うと、上巻が「問題編」、下巻が「解決編」というところだろうか。
下巻はネタバレになりそうなので、書評は無し。
同作者の作品、「森のなかの海」では、阪神大震災で家を失った人々の強さ。
「錦繍」では、障害を持つ子供を抱え、離婚した夫婦のそれぞれの生き方。
「どんなに辛い環境であっても、強い心を持っていれば人は生き続けることが出来る。」
他の作品からもわかるように、今回も定番のテーマだ。
わかっていても何作も読んでしまう。
これが宮本作品の魅力でしょうね