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投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
「待つ」という事をテーマにした考察。
「待つ」必要がない世の中になってきた。
・・・というより「待つ」事を極度に嫌うような世の中になってきた、と言うべきか。
そういう自分も飲食店で行列ができていたら、それだけで行く気が失せてしまうクチなので、偉そうな事は言えた義理ではない。
すぐ理解できたり、役に立つ事が重宝され、「じっくり育てる」「機が熟すのを待つ」などという言葉はあまり聞かれない言葉になっている。
ただ、待つ必要がない事がそんなにいいのだろうか、とふと思う事がある。
「早く、早く」と急かされた挙句、後になって時間が余るかと言うと、今度は「次へ」となって結局、ずっと追い立てられ続けるのでは、と思ってしまう。
待つ必要がなければ、人より早くいろいろな事ができていいだろうが、魔法の杖の一振りで様々なものが出てくるわけでもない。
世界一の処理速度を誇るコンピュータであっても、数値の入力が終わる前に計算結果は出てこないし、どんなに速く移動したとしても光の速度は超えられない。
要するに「待つ」事は絶対必要。
ただ待っているだけでは、そのうちイライラしてしまい、自分の首を絞めるだけになってしまう。
「待ちきる」ためには「待つ」事を忘れなければならない(と本書の中に書いてあった)
「待つ」事は、自分の意のままにならない事に従わなければならない事でもあるが、むしろそれを楽しむくらいの余裕が必要なのかもしれない。
「待つ」ことの先に「待つ」ものは何か
2022/11/23 09:41
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投稿者:令和4年・寅年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古今東西の思想から「待つ」ということを臨床心哲学の観点から捉え直す思索。「待つ」という状態がどういう状態なのかを考えさせられる。待つことの必要と効用、そしてその先。
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烏兎の庭 第三部 書評 10.28.06
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto03/bunsho/matu.html
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まず、表紙が素敵。つぎに、目次がひきつける。
何を待つでもなく「待つ」
「自分を中断し、放棄する中で浮かび上がってくる<待つ>」
(アイデンティティ=自己)同一性からの逸脱。ゼミで野矢茂樹「心と他者」、井上達夫「他者への自由」を読んで以来、「自己」からの解放、自己への自由、そういったワードにめぐり合うことが多い。
私自身の「自分を所有しすぎている」という窒息感も満更独りよがりではないのかもしれない。
「そして意識が緊張を高めるにつれて、「意識レベルでの知覚は著しく減少し、サブリミナルな刺激については一層敏感な状態になっていく」(ウィルソン・ブライアン・キイ『メディア・セックス』)。つまり、意識が緊張すればするだけ、ひとはサブリミナルな刺激に対して無防備になるということだ。」(P.46)
ケアの話は勉強になる。
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保証のなさが、「待つ」を成り立たせしめている。確かに、ある時間に確実にくるのであれば、私もその時間に行こうとするだろう。
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4月に東野圭吾3連続で読んで、その次がこれ、というのが、今見たら笑えます。笑
現代は、「待てない」社会になっている、と。
たしかに。私もそうかもしれません。
ゆとりを意識しなくちゃ。
2007,may
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影ながら尊敬してるある人からもらった本。
鷲田氏をおすすめしたらこれくれたw
ほんっと、おもしろいです。鷲田バンザイ!
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またなくてよい社会になった。待つことができない社会になった。意のままにならないもの、どうしようのないもの。じっているしかないもの、そういうものへの感受性をわたしたちはいつしか無くしたのだろうか。偶然を待つ、自分を越えたものにつきしたがうという心根をいつか喪ったのだろうか。ときが満ちる、機が熟すのを待つ、それはもうわたしたちにはあたわうこなのか。
自分におこった不具合をなんとかしようとするcopingひと程周辺症状、なかでも妄想や徘徊などの陽性症状を招き寄せることが多い。なんとかしようという意欲まで失ってしまうと、陽性症状はあまりみられなくなる 痴ほう パッシングケア、 パッチングケア
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信号が黄色ならば、アクセルを踏み込んでギリで渡ってしまったり、携帯の返事がすぐ来ないことに腹を立てたり…などなど。現代は「待つ」ということが非常に困難な時代だ。その「待つ」ことについて考察した一冊。哲学者の本だけに細かいことに思考を重ねているので、正直、イライラさせられるのも事実。けど、この本を読みながらイライラしている自分がもう「待て」ていないというパラドクス。本を読んでいる自分ですら、現代の速度に飲み込まれていることに気付く。
もうひとつ瞠目したのは、期待をしない待つ、という考え方。どうにもうまく行かない時、ただ待つ。そこに期待を求めない。春が来ると桜が咲くように、気が付くと変わっていた…急がない。かと言ってじたばたしない。今はすっと流す。偶然が、時間が、物事を気付かぬうちに変える。
そう、スロウに気長に期待もせずに(ある程度のことは)待ってみる。そんな思考もいいんじゃないでしょうか? 長い休みでもあれば、噛みしめるように読んでみて、セカセカした生活を俯瞰しながらゆっくり考えるのもいいのでは?
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くりかえすが、未来があるというのは、だから、希望をもてるということである。何かを待つことができるということである。V・E・フランクルによれば、強制収容所ではクリスマスから新年にかけて、いつも大量の死亡者が出たという。これは、過酷な労働条件によるものでも、悪天候や伝染症疾患によるものでもない。「クリスマスになったら家に帰れるだろう」という、素朴な希望に多くの収容者が身をゆだねた結果だというのである。過酷な毎日が続くなかで生き延びるには、ありえないような極小の希望にそれでも身をあずけるようにほかない。(鷲田清一)
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待つことという肯定 希望
期待することを放棄した先にある「待つ」ということ。
待つことという自由。
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ちょうおもしろい
章分けの2文字の連続が個人的にとても好み
待つことは待たれる者への・・はー
2回りくらいして脳に落とし込まないととても他者へきちんと話せる内容ではないです
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まえがき
1 焦れ
2 予期
3 徴候
4 自壊
5 冷却
6 是正
7 省略
8 待機
9 遮断
10 膠着
11 退却
12 放棄
13 希い
14 閉鎖
15 酸欠
16 倦怠
17 空転
18 粥状
19 開け
あとがき
(目次より)
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途中話が認知症治療とか老いの方へ向かったが、引用している小説や色々な人達の言葉と共に印象的だった一冊。
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たしかに、ぼくたちは「待たない」「待てない」存在になってきたのかもしれない。「待つこと」「待てること」は、フィールドワークには欠かせない…。定点観測の基本だ。