- 販売開始日: 2013/05/15
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-119421-9
誰そ彼れ心中
著者 諸田玲子 (著)
夫の様子がなんだかおかしい。不審に思い始める妻に、従者の若者が、主の変化を問いかける。奇妙な振るまいの裏には何があるのか。この家にはなにか秘密があるらしい……。絶えず誰か...
誰そ彼れ心中
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商品説明
夫の様子がなんだかおかしい。不審に思い始める妻に、従者の若者が、主の変化を問いかける。奇妙な振るまいの裏には何があるのか。この家にはなにか秘密があるらしい……。絶えず誰かに監視されているような婚家での生活に耐えつつ夫の謎を探るうちに、若い妻は思いもかけず本物の恋を知る――サスペンスフルな展開と、凛とした女の恋心に心揺さぶられる、新感覚の時代ミステリー。
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諸田さんの初期の代表作といえそうな秀作です。
2003/11/24 18:10
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
新潮文庫から文庫化された作品で、宇江佐真理さんが解説を担当されてます。
最初に好きなシーンを引用しますね。
『父上は母上が大事ゆえ、後添えをもらわなかったと申されました。あのときはようわかりませんでしたが、今はわたくしにもわかります。心から思うたお人はこの世にひとり。死ぬも生きるも、思うたお方と共にあることが、女子の一番の幸せにございます。』
女性の繊細な心模様を確かな筆致で楽しめる作品と言えそうです。
一気に読ませてくれるラブ・サスペンス調のミステリーって感じでしょうかね。
主人公の瑞枝の心の動きの描写が花にも例えられて本当に素晴らしい。
御家人の家から旗本の家に嫁いだ主人公が、夫の様子の変化に気づき悩む姿が共感を呼びます。
孤立した瑞枝に救いの手をさしのべる、小十郎・おはる・大島…
夫が本当に入れ替わったかどうかというミステリー的興味と、身分違いの小十郎との禁断の恋という2本の柱が読者を襲ってくれるので一気に読めること間違いなし。
とっても印象的なのはやはり誰の子供かわからない状況で堕胎を決心しようとするシーンでしょうね。
近作、『恋ほおずき』でも似た題材で語られてますが現代社会にも通じる問題なんですが、生死を賭けたという意味合いにおいては当時の人の大変な決心が読み取れます。
あと、実家の妹多美の結婚が顔見知り同志で行われる点に瑞枝がとっても羨ましく感じているシーンを書き留めておきたく思います。当時の世相を反映した場面ですね。
ただ、結末に関してはいろんな捉え方が出来そうですが、瑞枝の状況を考慮したら仕方がないような気がします。
切ないがこれが幸せなんだと信じてページを閉じてもらいたいですね。
きっと女性が読まれたら小十郎への想いが募って行く過程が楽しめると確信しております。