- 販売開始日: 2013/05/15
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-130651-3
寝ても覚めても本の虫
著者 児玉清 (著)
「もうぞくぞくとするような楽しみなのだ」――大好きな作家の新刊を開く、この喜び! 本のためなら女房の小言も我慢、我慢。眺めてうっとり、触ってにんまり。ヒーローの怒りは我が...
寝ても覚めても本の虫
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商品説明
「もうぞくぞくとするような楽しみなのだ」――大好きな作家の新刊を開く、この喜び! 本のためなら女房の小言も我慢、我慢。眺めてうっとり、触ってにんまり。ヒーローの怒りは我が怒り、ヒロインの涙は我が溜め息。出会った傑作は数知れず。運命の作家S・ツヴァイク、目下の“最高”N・デミル、続編が待ち遠しいT・ハリスに、永遠の恋人M・H・クラーク……。ご存じ読書の達人、児玉清さんの「海外面白本探求」の日々を一気に公開。
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追悼・児玉清さん - どこまでいっても本の虫
2011/05/30 08:13
22人中、21人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「温厚、誠実な好人物にとどまらず、知的でダンディー」と5月19日の朝日新聞「天声人語」で紹介された俳優で書評家の児玉清さん。
華やかな大スターでも代表作がある書き手でもありませんでしたが、児玉さんの死は「天声人語」に記されるに値いするほど、静かな悲しみとなって日本全国に広がりました。
児玉さんはNHKの「週刊ブックレビュー」での名司会で世の読書家を虜にさせましたが、「天声人語」の中にも「長身にまとった知は自前だった。蔵書で自宅の床が傾くほどの読書家で、米英の小説は原書で読んだ」とあります。
この『寝ても覚めても本の虫』は、児玉さんが大好きだった海外小説がふんだんに紹介されている書評本です。児玉さんが読書家だったのは知っていましたが、こんなにも海外小説に精通しているとは、実は知りませんでした。まして、読みたい気持ちが高じて、原書で読んでおられたのですから、児玉さんがいなくなって初めて気づくなんて、恥ずかしいかぎりです。
児玉さんは「大好きな作家の新刊書の最初の頁を開くときの喜びにまさるものはめったにない」と、「どうして本が好きになったか」というエッセイの冒頭に書いています。
「最初の頁を開くときの喜び」はまさに読書家ならではの喜びだと思います。きっと本に興味のない人には、この「喜び」は理解されないかもしれません。電子書籍の時代になってその「喜び」がどう変わるのかわかりませんが、やはり紙の書籍ならではのものかもしれません。
そんな児玉さんがどうして本好きになったか、ましてや海外小説にはまっていったのか。その原因は高校時代に読んだ一群の海外小説にあったようです。
若い時の読書は、人間形成に影響します。児玉さんが生涯ダンディーでありつづけたのは、こうした読書体験とそれにつづく膨大な読書量の賜物のような気がします。
冒頭紹介した「天声人語」では児玉さんを色に喩えて「控えめだが親しみ深い中間色だろうか」と結んでいるが、新しいページが常にそうであるように、絵の具には絶対欠かせない「白い色」だったように私には思えます。
児玉清さん、ありがとうございました。
本が好きな人にも、苦手な人にも贈りたい
2011/09/13 03:59
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けい - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の書評を書くために「児玉清」というワードで検索をかけたところ、驚くほどたくさんヒットして驚きました。やはり、児玉さんはたくさん本と関わったかたなのだと、改めて実感しました。
児玉清さんといえば、俳優としてのみならず長寿クイズ番組「アタック25」としての司会としても有名。本好きなかたにとっては、「BSブックレビュー」のホストとしてもお馴染みでしょう。
この本は、そんな本好きの紳士、児玉さんのエッセイであり、ブックガイドでもあります。
私はミステリ好きなので、海外ものといえば、東京創元さんか早川書房さんというイメージがありましたが、この本を読んで感じたのは、文春文庫さんの海外ミステリの充実っぷり。言われてみれば、ウッドハウスやジェフリー・ディーバーなど、抜群に面白い作品が近年でも文芸春秋さんから出ています。謎解きミステリにこだわらず、もっと広くミステリの面白さをとらえ、面白い作品を嗅ぎつける児玉さんの嗅覚はさすがの一言。お気に入りの作家の最新作は翻訳を待たず、いや、待てずに原書で読むというのですから、まさに本の虫。
幼い頃の岩波文庫の思い出話などから浮かび上がってくるのは、紳士の殻をかぶったただの本の虫としての児玉さんの姿。どうしても買いたい本があったときに奥様ともめて口走ってしまった「いい本は女房を質に入れてでも買え」といった趣旨の発言には、唖然とさせられましたが、それでこそ本の虫。それを反省しているところも、実に児玉さんらしいといえば、児玉さんらしい。
印象に残ったのは、子どもの頃、読んでいたミステリをバカにされ、「ミステリならアガサ・クリスティだろう」といった内容の言葉を浴びせられた苦い思い出から、あの有名なアガサ・クリスティの作品をただの一作も読んでいないというエピソード。
そうか、児玉さんは『アクロイド殺人事件』も『そして誰もいなくなった』も『オリエント急行の殺人』も読んでいないのか……なんてもったいない。
お亡くなりになってしまったために、チャラになってしまいましたが、児玉さんは早川書房さんが主催する新人賞アガサ・クリスティ賞の第一回の選考委員でした。もしかしたら、その後、クリスティ作品を読んだかもしれません。だとしたら、それがどの作品なのか、というのは気になるところ。もし、ご存命だったら、どんな評価を下し、どんな作品を選ぶのかも興味があります。
今頃、児玉さんが天国でゲーテと江戸川乱歩とともに小栗虫太郎について語り合ったりしているのかも、と想像するとワクワクします。
こんな読書家になりたい!
2016/03/31 09:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ほたる - この投稿者のレビュー一覧を見る
本当に本がお好きなんですね、この方は。本棚の重みで床が抜けそうになったり、本を買いすぎて奥さんと険悪になったり、翻訳が待ちきれず原書に手を出すようになったりなんて、それもジャケ買いでハードカバーを買いまくるなんて、とても真似できないけれど、児玉さんの本を読む姿勢は真似しようと思います。世界情勢とか出版界の動向なんかもちゃんと捉えているんですよね。それは本を読むことをもっと面白くしてくれるポカリスエットなのでしょう。
本好きのための本
2016/03/05 20:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
アタック25の司会者で、無類の本好きだった故児玉清さんの本好きのための本です。本当に児玉さんの本や作家に対する愛情が伝わり、児玉さんと同じ本好きであったことに嬉しくなる本でした。児玉さんが映画の解説をしていた時代、つまらない映画をけなすような解説をしたことに対し、淀川長治さんが児玉さんに言った、どんな映画でも必ずいいところを見つけて褒めなさいという言葉、これって、本にも通じているのかなぁと感じました。もっともっと本が読みたくなる本でした!本が捨てられない気持ち、当然です。すごく共感できる1冊でした。