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  • カテゴリ:一般
  • 販売開始日: 2013/06/01
  • 出版社: 新潮社
  • ISBN:978-4-10-111703-4

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電子書籍

高熱隧道

著者 吉村昭 (著)

黒部第三発電所――昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷の、岩盤最高温度165度という高熱地帯に、隧道(トンネル)を掘鑿する難工事であ...

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高熱隧道

税込 572 5pt

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税込 649 5pt

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商品説明

黒部第三発電所――昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷の、岩盤最高温度165度という高熱地帯に、隧道(トンネル)を掘鑿する難工事であった。犠牲者は300余名を数えた。トンネル貫通への情熱にとり憑かれた男たちの執念と、予測もつかぬ大自然の猛威とが対決する異様な時空を、綿密な取材と調査で再現して、極限状況における人間の姿を描破した記録文学。

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みんなのレビュー188件

みんなの評価4.5

評価内訳

紙の本

もう一つの戦争

2006/11/23 03:45

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 読み始めて2時間で一気に読みきった。


 戦争気運の高まる昭和11年から15年までの黒部第三発電所のドキュメンタリーである。発電所建設のために不可欠なトンネルを掘る主人公たち。岩盤最高温度が摂氏165度にまで上がる。抗夫たちは ホースで冷水を浴びながら掘り進む。ダイナマイトの自然発火による爆発、次々起こる転落事故、雪崩が原因で発生する空気爆発。想像を絶する環境の下 それでもトンネルを掘り続ける。最後にトンネルは貫通したがそれは4年の年月と300名を超える死者を費やしてのものであった。


 読みながらも 幾度か本を閉じて嘆息した。これはもう一つの戦争である。実話であるだけに その理不尽さは想像に余る。


 主人公はトンネル貫通をひたすらめざすことで 自然と「対決」している。彼の頭には 自然に克つことしかない。その姿には一種すがすがしいものもある。しかし 主人公にまとわりつく死臭は消えることはない。


 地元の警察は あまりの被害に幾度もトンネル工事中止を勧告する。冷静かつ常識的な対応だ。しかし 戦争の為の電力確保の為 国はトンネル貫通を最優先する。人の命が一つ一つ費えていくなかでトンネルは進むのだ。


 主人公はトンネルを完成する。対決に勝ったといってよい。しかし そこにはヒーローの姿を全く描かないのが吉村昭の描写である。主人公は結局 自分を踊らしていたのは 「時代」であり「戦争」であったということには気がついていない。吉村は その点を冷徹に突き放して書いている。本は抗夫たちの不穏な動きで現場を逃げる主人公の姿で終わる。その姿は惨めなものと言ってよい。


 繰り返すが これは一つの戦争であり、なくなった300余名も戦死であったとしか言いようが無い。そんなやりきれなさが 最後のシーンの行間から立ち昇る。実話であるという事実が 読むものを打ちのめすのだ。

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紙の本

「黒四」以前に

2005/10/23 22:44

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:森とく子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

黒部第四発電所ダムの工事については小説や映画でも既におなじみ、ここ数年はNHK「プロジェクトX」でもとりあげられふたたび光があてられています。この作品でとりあげているのは「黒四」以前、黒部第三発電所の工事です。ダイナマイトの自然発火に脅えながら高熱の岩盤を掘削し、宿舎は一夜にして雪崩れで吹き飛ばされる。しかも人権などという概念も一般的でなかった戦前の話です。黒部の厳しい自然との闘いは熾烈を極めました。現在は雄大な自然を楽しむ登山客や観光客が訪れるこの地で、「黒四」以前にもこのような難工事をが行われていたことを少しでも多くの方に知っていただきたくなりました。

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電子書籍

熱い史劇

2018/11/08 21:32

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る

この作者は冷徹なある意味突き放したような書き方をした本が多い。しかしこの本は題名が「高熱隧道」だからと言うわけではないだろうが、事実の重みに胸が熱くなってくる。
しかし手放しでの開通万歳ハッピーエンドではなく、最後に技師への反抗(?)を記述した点がこの本に重みを付けている。

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電子書籍

人柱の歴史

2017/07/29 18:12

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:プロビデンス - この投稿者のレビュー一覧を見る

登場人物こそ変えてあれど、これはフィクションだと思うと、そら恐ろしいものがある。酒井順子さんの「来ちゃった」から黒部峡谷に興味を持ち、黒部関連の本に飛んできたが、読んでびっくり。事故と災害の大連続であった。

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紙の本

想像を絶する暑さが伝わってくる

2019/06/02 00:54

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ニック - この投稿者のレビュー一覧を見る

小説家として初のヒット作といえる「戦艦武蔵」の直後に書かれた初期の記録文学作品。多数の犠牲者を出しながらもトンネル貫通を目指し掘り進める男たちの壮絶なドラマを描く。想像を絶するような作業現場の暑さがさまざまなエピソードによって伝わってくる。

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紙の本

地獄変

2003/08/21 22:25

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:野猿 - この投稿者のレビュー一覧を見る

この世の地獄です。灼熱の黒部第三発電所建設のトンネル工事現場。50度を超える、ダイナマイトが自然発火さえする坑道で、水をかぶって暑さにあえぐ工夫たち。それを心を鬼にして叱咤する技師たち。温泉脈の高熱と、泡雪崩の恐怖に、人間離れした辛抱で耐える工夫たちが、私の心を胸を貫く。選ばれた者と、それに付き従う者たちとの立場の違いに悲しみのまなざしを、著者は向けながらも、残酷なまでにリアルに描き切る。自然の脅威、それに抗することによって建設現場に宿る殺気。凄まじいエンディングには、背筋を切られるような怯えが、読む者の心臓に走る。

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紙の本

秘境でのダム開発に挑む工事技術者に立ちはだかる自然の脅威

2005/11/21 12:23

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は黒部第三発電所の工事物語である。宇奈月からトロッコ電車に乗って1時間20分で欅平に到着する。そこで行き止まりであるが、登山者はさらに秘境を奥に進む。
 黒部峡谷のそそり立った崖に穿たれた僅かな道筋を辿って7時間。ようやく阿曾原小屋に到着する。ここには有難いことに温泉が沸いている。さらに右手の山間に入り数時間歩くと仙人池に達する。峡谷に沿ってそのまま進むと、仙人ダムに遭遇するが、ここが仙人谷でその奥が「下の廊下」と呼ばれて登山者が憧れる秘境である。現在でも体力のある登山者しか受付けない。
 本書で紹介されている昭和11年から始まった第三発電所の工事は、阿曾原谷、仙人谷で行われたトンネル工事の話である。ダム、発電所自体の建設工事ではない。ダムや発電所を建設するためには資材などが必要で、それを現場まで運搬しなければならない。そのための道筋を開くトンネル工事である。
 高熱隧道とは何のことかと思えば、阿曾原などに湧出する山中の温泉熱であった。隧道、すなわちトンネルを掘削すると地熱で山全体が熱せられており、トンネル内は100度を越える暑さとなる。そんな作業現場の環境である。一変して屋外は冬季は雪が降る気候である。
 随分と無茶な工事もあったものだ。渓流の水などは逆にかなり冷たいので作業員はその水を体に掛けてもらいながら削岩機で掘削する。頃合を見計らってダイナマイトを仕掛けて岩石を吹っ飛ばす。
 ダイナマイトは地熱で自然発火するし、断崖の空地に建設した5階、6階建ての鉄筋コンクリート製宿舎は泡雪崩という凄まじい圧搾空気によって粉微塵に吹き飛ばされ、山を一つ越えた谷に叩きつけられるという信じられない事故が何度も起こった。そして工事の始めからの死者が数百人に上るという。泡雪崩が発生して100名近くが亡くなった際は、さすがに富山県は工事の中止命令を出したのだが、天皇陛下から見舞金が遺族に下賜されると、この工事停止命令も撤回されてしまう。国家的な大事業だというお墨付きを得たということだ。
 黒四ダムの大町トンネルの工事物語は『黒部の太陽』として映画化されたが、本書は見事な描写でトンネル掘削の難工事の様子を表現し、映像を越えるほどの訴求力を以って読者に迫る。第三発電所は地下化されて今この地を訪れても表面上は何も見えないが、本書を読めばその凄まじさが良く分かるし、多くの犠牲者の冥福を祈らずにはいられない。

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紙の本

表紙に騙された

2018/11/30 03:34

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る

昭和11年8月に着工、昭和15年11月に完工した黒部第三発電所へのトンネル掘削工事。険しい自然のただなかである黒部渓谷の、トンネル施工予定地には最高165℃という高熱の岩盤地域が立ちふさがっていた。犠牲者300名を超えた難工事、トンネル貫通に取りつかれた男たちと大自然との闘いの記録。

「いい感じの表紙」と思ってしまったことが悔やまれるほど、壮絶な内容であった。
300ページない薄さ、淡々とした記述なのに、「ぐえっ」と声が漏れそうな描写が多々。ありえないあっけなさでどんどん人が死んでいき、それに対する予防策なり対策などがろくにないというおそろしさ。
以前、「アポロ計画ってファミコンより性能のよくないコンピュータで月に向かったんだよね、命知らずだぁ」と思ってましたが・・・ここで描かれているのは同じくらいもしくはそれ以上に命知らず。そういう時代、と言ってしまえばそれまでなんだけど、その時代でせいいっぱいの技術を使っていても、「事故で作業員が死ぬ」のが折込済み。
人の命がカネで買われる。でもそれは、現在も変わらぬ事実なのかもしれず。

そして温泉源があることも気づかず計画にお墨付きを出す学者、工事中の以上で再調査を頼んでも「これ以上にはならない」とか言うし、「学者は世間知らずであてにならない」ってイメージができたのはそんな積み重ねではないだろうか、そうじゃない学者さんたちいっぱいいるのに。
とはいえ、「この工事はやばい、やめよう」と言い出せない空気を作っていたのは戦争という背景、電力が絶対必要であるという国策。熟練工が徴兵されていくという矛盾もあり。
技師がいわゆるエリートで、人夫(作業員)は言われたことをするだけの替えのきく存在として、まったく違う世界の住人とされていることに衝撃を受けた!
私の知っている世界では技術者と職人が意見交換するのが当たり前だから。教育のベースの問題か、当時の人夫たちは専門性がない(とにかくただ集められただけの人手にすぎない)ということか。だからダイナマイトの自然発火は恐れるけど、残りクズのチェックはせずに放置してしまうのか。それでもできる範囲で技師たちが試行錯誤する様だけがこの物語では唯一ホッとできるところ。

が、更に泡雪崩(ほうなだれ)が宿舎を襲う。
とにかくたくさん人が死ぬのであるが、その死がいわゆる<ナレ死>などではなく、文字通り血と肉が吹き飛んだ塊として描かれることにおののく。決して残虐な描写に重きを置いているのではないのだけれど、ダイナマイトや雪崩で吹っ飛んだ肉片が転がっている光景が脳裏に浮かぶ(最初から、現場に辿り着くまでに山道を転げ落ちる人夫たちの死に様もかなりきているが)。そんな中でも工事は続く! 続けざるを得ない状況・心情が読みどころなんですよね!、わかります、わかりますが・・・。
外はものすごい大雪、けれどトンネルの中では油断すると熱死。自然豊かといえば聞こえがいいけど一歩間違えば自然に殺される、そんな地方出身の私には、もう最初の計画から「無謀」としか思えなくて。トンネルを貫通させることによろこびを見出し、そのためならどんな犠牲が出ても仕方ないと割り切らねばならない技師の気持ちもわからなくもないけど、自然に闘いを挑んでも勝てるわけがないと思ってしまう。
でも、そういう人たちがいたからこそ、今の私は便利を享受できているわけで・・・。
あぁ、なんかいろいろすみません、と、生きていることが申し訳なくなる。吉村昭の<記録文学>ってそういうの多い、それがすごさなんだけど。

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紙の本

命懸け

2023/10/22 23:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:悟空 - この投稿者のレビュー一覧を見る

黒部ダムはいかにしてできたのかが書かれています。自然の脅威がとても感じられ、命懸けで工事する場面は読んでてハラハラしました。

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紙の本

壮絶すぎるダム開発

2015/09/10 15:42

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トニー - この投稿者のレビュー一覧を見る

この夏黒部を訪れたのをきっかけに読んでみましたが、重すぎる内容に読後はしばらく陰鬱な気分に襲われました。
くろべ、というと黒部第四ダムが有名ですが、この小説の舞台は、日中戦争から太平洋戦争へと向かう時代に開発された仙人谷ダムです。黒部第四ダムへは長野県大町市からアクセスしますが、仙人谷へは富山県宇奈月からです。現在は観光用にトロッコ電車が有名ですね。ただしトロッコ電車は欅平という駅までしか通常は運転されません。その先にこの「高熱隧道」の舞台となる高熱地帯があり、一般の訪問は制限されています。
読み始めは、労働者が簡単に使い捨てにされていくことへの憤りを感じますが、次第に狂気を帯びてくる隧道工事の様子に、現代人も私の思考はついていけませんでした。厳しい自然環境でおきる事故も生易しいものではありません。
この工事を批判することは簡単ですが、これらの電力が戦後の日本を支え、その上に私たち戦後の日本人の生活は成り立っていたわけですから、事の善悪でこの工事を判断することは難しいです。
もちろん、これは史実を丹念に調べた上で著者が創作した小説です。登場人物や細かい事実が全て事実ではありません。
しかしながら、戦後の黒部第四ダムの工事でさえ、今に残る記録映像を見ると「高熱隧道」時代と大差ない危険で劣悪な環境下で人海戦術が取られていたことがわかりますので、かなりの部分は事実に近いと感じます。
お薦めかどうか、これは難しいところです。黒部へ行かれる方には是非読んでいただきたいです。ただ、事故の場面などは悲惨すぎて子どもにはまだ読ませたくないですね。大変優れた作品ですが、そういう意味で星4つにしました。

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紙の本

”ほう雪崩”の威力を描く、吉村氏の代表作

2023/12/06 17:50

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る

昭和11年、中国との戦況を支えるための阪神地区の工業への電力供給を目的に着手された黒部第三発電所工事。その工事の一端で、物資運搬用に掘削された軌道トンネル(トロッコなどを通すトンネル)工事は、それまで遭遇したことのない難工事となりました。
まず問題になったのが掘削ルートの岩盤温度です。工事開始直後、すでに岩盤温度が60度を超えました。その温度は掘削が進むにつれて上昇し、160度にまで達します。当時はダイナマイトによる発破と、人夫の手作業によるズリ(発破で崩れた土砂)搬出が主な工法であったため、高温のために人夫の作業環境は劣悪でした。さらにダイナマイトは自然発火のリスクがあったため40度以上では使用禁止とされていましたが、この現場では使用が継続されました。その結果、ダイナマイトの自然発火による事故が発生し、多くの犠牲者が出ます。
冬季の黒部峡谷は猛烈な積雪に見舞われます。当初は冬季は工事を中止していましたが、工期短縮のため越冬用の宿舎を建設して冬季も工事が継続されました。そこへ悲劇が襲います。厳寒期、「ほう雪崩」という、凄まじい破壊力を伴う雪崩が宿舎を襲います。宿舎の建設場所は、雪崩の発生を十分に検討して選定されていたのですが、「ほう雪崩」という特殊な雪崩は当時はあまり知られておらず、その発生リスクは想定されていませんでした。この「ほう雪崩」により宿舎が全壊に近い被害を受け、中にいた多くの作業員が犠牲となりました。
ダイナマイトの自然発火による事故で、バラバラの肉塊となった作業員の遺体を拾い集める工事監督者の姿、「ほう雪崩」の被害にあった宿舎の建設場所選定にあたった若い技術者が精神に異常をきたして雪山へ一人上ってゆく様子の描写は印象的でした。
昭和10年代というきな臭い時代背景という事もあり、”目的達成のためには少々の犠牲(少なくない犠牲ですが)はやむを得ない”という方針で進めらた様子が描かれており、現代の感覚で考えると、とてもあり得ないような強引な進め方に感じます。
ノンフィクションの名手、吉村昭氏の代表作ですが、一つ不可解なのは、登場する人物(工事監督者など)が作者の創作であったり、「ほう雪崩」による被害が、実際よりは少し誇張されて(本書では鉄筋コンクリート5階建ての宿舎が根こそぎ破壊されたとの表現ですが、実際は5階建てのうち木造の上層階のみが被害を受けたとの事)表現されている事です。そんな事をしなくても、十分に黒部峡谷の自然の激しさ、工事の困難さは伝わったのではないかと思うのですが。

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2008/04/08 23:20

投稿元:ブクログ

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2008/09/03 22:51

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2009/01/10 09:36

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2009/03/27 10:16

投稿元:ブクログ

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