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天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債 下
2013/08/24 11:30
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投稿者:よっしー - この投稿者のレビュー一覧を見る
日露戦争時の戦費調達を外債に頼らなめればならない苦境を、(上巻)海外での人脈から完遂する。その後、国を思っての幾度かの依頼から総理大臣・大蔵大臣を引き受け、そして厖大化する軍事予算(軍部)に対峙する。81歳という高齢にも関わらず、日本の行く末のみを考えていたが、2.26事件にて暗殺。彼の死とともに暗黒の時代に突入してしまう。歴史教科書にて誰もが名前は知っているが、これほどまで日本経済を救い続けてきた人とは知らなかった。改めて冥福を祈りたい。
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まさに不世出の傑物。偉大さが余りにも過小評価されている。波瀾万丈を地でいったような人生。久々の幸田真音さんの作品を堪能出来た。
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幸田真音女史が書かれた最新小説(2013.7現在):天佑なり、の下巻です。下巻は高橋是清が日銀総裁、大蔵大臣で大活躍した様子がえがかれています。死ぬ直前まで、日本の将来を思って仕事をし続けた姿は素晴らしいです。
そんな彼が、226事件で亡くなられたとは本当に日本の財産を失ったようで残念ですね。ただ、犯人の軍関係者から見れば、彼は「目障り」だったのかもしれませんが。立場によって、見え方が変わってしまうのですね。
以下は気になったポイントです。
・渋沢栄一等の実業家は銀本位制、官僚や軍人は金本位制を支持していたが、日本には金の保有量が少なかった、そのとき、日清戦争の賠償金(二億両を8分割+0.3億両=遼東半島分)が得られることになった、明治4年の新貨条例で、1円は純金1500ミリグラムであったのを、銀の価値が半分になったので、純金750ミリグラムにするのが、明治29年の提案であった(p36)
・賠償金の2億両=2億円は、現在価値で3200億円と考えられる(p40)
・明治32年3.1は、特許条例から特許法と改めて公布された日でもあった、パリ同盟条約に加入することを前提としての改定であったが、明治29-31年にかけて改定された民法との整合性をとるための改定でもあった(p67)
・同年(明治32年)7月には治外法権の撤廃、関税自主権も一部改善された、完全に自主権を得るのは明治4年、日米通商航海条約の改定時(p67)
・日清戦争による賠償金は、民間を潤わせなかった、賠償金の殆どが軍備拡張、造船・製鉄所の建設等に充当されたので(p71)
・三国干渉を受けたころのロシア(明治37年)は、国家予算は当時の日本の30倍、GDPは3倍、人口は3倍の1.25億人、外貨準備高は8倍を超える大国であった、歳入は日本(2.5億)の10倍近くの20億円、兵力は10倍の200万、日露戦争の総額は17億円で当時の歳入の7年間分(p87、98)
・陸海軍の両大臣は、統帥による命令を遂行して軍政を行うのみで、統帥上の事案については、軍令機関である参謀総長、軍令部長があたったので、内閣から独立して天皇に直接上奏できた(p192)
・大正3年には政府債務は26.5億円で、GDPの3分の2以上、15億円は
対外債務、これに対する正貨準備高は3.4億円であった、これを救ったのが第一次世界大戦による特需、このお蔭で、イギリスからの輸入に依存していた重工業部門の生産力が強化され、農業国から工業国へ、さらに債務国から世界2位の債権国となった(p196)
・関東大震災の火災は、東京市内の総面積の46%,横浜市内の28%、国民総生産の3分の1を超える55億円といわれる未曾有の被害をもたらした(p237)
・大正11年6月の対米為替レートは、100円=47.5ドル、年末には 48.5ドルであった(p238)
・昭和2年の時点で、鈴木商店に累積していた債務総額は、約4.5億円、国家予算の4分の1、その8割近くが台湾における紙幣発行銀行である台湾銀行であった(p261)
・金解禁をするときに、旧平価(100円=49.875ドル)で行ったが、これは円を1割以上��切り上げ=金融引き締めを行うことになった。(p281)
・国債発行(赤字国債)と、日銀による直接引受は、やむにやまれない財源ねん出のための奇策、世界でも類を見ないものであったが、それは軍事費調達への道を開くことにもなった(p304)
2013年7月7日作成
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上巻を読み終えて、一気呵成に是清の後半生に突入。金融業の実業から、経済官僚、政治の世界にと請われるがままに歩んでいるようだが、それこそ彼にとっての、天命だったのだろう。その最期は、正論が暴力、権力に負けるというのはとてもやり切れない。それも人間社会のつねか、、
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是清の最後の凶弾に斃れる226事件までを描く波乱な大正、昭和の日本の経済状況を何とか舵を取る是清のすばらしい対応策を書くのが下巻。
どんどん戦争へのめり込む日本の軍部を何とか軍縮をして押さえ込もうとするしかし、世界状況はそんな日本の対応をあざ笑うかのように急速に悪化する。それでもできることをしていくのが是清。
しかし、226事件でとうとう軍部が爆発する。すでにその前から軍部台頭で、犬養毅、浜口雄幸が暗殺される。時代が求めた金融対策をしていくがやはり時代に翻弄されていく。しかし、結構読ませる。良かった。
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本日、二週かけてやっと読了。
今の時代に類似しており、浜田さんは、平成の是清か?ラストシーンが壮絶で、悲しい。
未亡人の言葉が印象的
残酷と申すより、卑怯にございます!
日本人としての矜恃は、失いたくないものだ。
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▼金融についても世界情勢も日本の時代背景も、知識が乏しい状態で読んでしまったので、下巻は是清さんがとにかくひたすらあれこれ仕事をしている様子と歴史上の有名人が次々出てくるのを文章で追ってるだけだった気がする私。でもピリピリとした切羽詰まった緊張感のある時代だということはわかりました。
▼今回は正しく理解できなかったかもしれませんが、いつか他の本を読んだときに「こういうことかー」と少しずつでもいいから知識がつながっていけばいいなぁと思います。
▼本当に世の中に必要とされている人は,自ら固辞しても頼りにされます。「あなたしかいない」と請われてしまいます。是清さんはきっとそういう重要なお役目を持って生まれてきた人だったんだなぁと思いました。
▼体調が思わしくないのに,多忙でゆっくり体を休めることもままならなかったと思いますが、無理をしながらも国を豊かにするためにご尽力注いでいただいて、ありがとうございます。
▼国のトップが暗殺されたり、あちこちが襲撃されたりして混乱する中、物騒で落ち着かない時代で是清さんも薄々覚悟はしていたかもしれませんね。いつ自分の命が狙われるか分からないような状態で、よほどの強い信念と強靱な精神力がなければ、国を担う仕事なんて怖くて怖くて自分を貫けないと思います。・・・そしてとうとう是清さんも殺されてしまいます。
▼最後の品さんの一言「残酷と申すより、卑怯にございます!」。きっと言いたいことは山ほどあったと思いますが、それをたった一言に凝縮されていて、胸に来ます。その毅然とした一言がとても重く印象的でした。
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政権の交代、大震災、世界的な経済情勢など、今の時代とあまりにも似ていることに驚きです。信念を貫き通し、まさに利他の心で、国の発展のために尽力した高橋是清の人間力には、ただただ敬服です。
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読了。現代の金融に関わる人間ならば是清の人生は文句なしに面白い。是清の本は何冊も読んだけど、一番分かりやすいし盛り上がるかな。是非是非お勧めの一冊です。
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幸田真音著「天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債」下巻、読了!
下巻は読みごたえがあった!
日本銀行の地方支店の支店勤務から始まり、横浜正金銀行の副頭取、日本銀行副総裁、大蔵大臣、内閣総理大臣、大蔵大臣と勤め上げ、軍事費の増額に断固反対を貫いた結果、二・二六事件により陸軍の兵士により銃殺される。
下巻の中で圧巻なのは、日露戦争時の戦費調達にかけた高橋是清の情熱と、人脈を活かして海外の投資先から資金調達を行う一連のやりとりの詳細である。
日露戦争を目前として戦費が極端に不足している日本にとって、とにかく金をかき集めるのが急務であった。
まだアジアの小国である日本と大国ロシアでは体力が全然違う。
戦争に使える軍事費も圧倒的に異なる。
日本は債券を発行して海外の投資家に買ってもらおうとした。
しかし同じくロシアも債券を発行することとなる。
戦争に負ける国に資金を投下するものなどいない。
そこで高橋是清が活躍するのである。
この時に国債を買ってくれた香港上海銀行ロンドン支店の支店支配人のユーウェン・キャメロン卿の玄孫は、現英国首相のデーヴィッド・キャメロンである。
日露戦争の資金調達の論功行賞により、子爵となり貴族院議員となったものの、民衆の支持を得て衆議院議員として国会に登壇するために、爵位を捨てて平民となり、貴族院議員も辞めたくらい、私欲のない大きな人物。ちなみに衆議院議員選挙では当選を果たした。
そんな彼も、軍に脅されても日本国民の将来のために、軍事費も含めた国家予算増大につながる国債の乱発に断固反対をした結果、軍事テロの犠牲となってしまった。
今の日本に、このような大局的な国家観をもった政治家がいたらとつくづく思った。
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下巻も読むの苦痛だったなー。親戚の子妾にして孕ませてるあたりも美談仕立てにしなくてもいいとは思った。
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一番読みたかった「日露戦争の戦費調達」の部分。
ロンドン留学時の人脈や、アメリカ人投資家との出会いなどで戦費調達に成功した所などは痛快だった。
ていうか、上巻は疾風怒涛編で、下巻は飛翔編みたいな感じなので全てが痛快。
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高橋是清伝 後編。
日本銀行に入行した以降の半生を描く。
驚いた。高橋是清=国債の人というぼんやりとしたイメージしか持っていなかったが、なんと見事なバンカーが、創成期の日本国を支えてきたことか。
高橋是清、見事なり。
明治維新以降、国際社会に登場してきた当時の後進国日本には、金もなければ、信用もない。しかし、国際的バンカーの世界でその存在を認めさせた高橋是清は、自らの信用で、次々と公債の発行を可能とし、日清日露の戦費を調達することにより、日本の勝利、そして、国際社会での存在を高めることに多いに貢献をした。
その後、大蔵大臣として、何度も国の経済的危機を救い、時には総理大臣として国を支え続けた。
しかし彼は、何事に当たる時も、誠実なバンカーとして経済的合理性を貫き通した。そして最後は、恐らくその事が軍部若手将校らの不興を買い2.26の凶弾に倒れる。
見事なり、高橋是清。
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高橋是清のドラマチックな人生と共に、陰ながら彼を支えていた女性たちの描写も面白い。
明治時代に生きた女性はどなたも強い。
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今、日本に必要なのは高橋是清さんです。
政治家、官僚に配って読ませてあげたいね。
金融の事はよく分からないが、面白かった。
この人みたくパワフルに生きたい