紙の本
ここに書かれたメディアの近未来は、文句なしに楽しそうです
2020/12/27 16:41
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
もう、サブタイトルからして「Monetize or Die?」...稼ぐか?死か?だったりするし、帯に書かれた宣伝文句は以下のごとく。「米国の新聞社・出版社が繰り広げている「血みどろの生存競争」が日本にやってくる!」。
なんだか、切羽詰まった、物騒な印象を醸すんですが、読んでみると、メディアの未来を明るく照らす本でもあった。もちろん、既得権益を守る立場にないならばという条件付きかもしれないけれど。
組織でオーソライズされたことより、普通の個人のしかしユニークなキャラクターを重視する。専門性とか特化ではなく、多用性そしてフレキシブル。
...実は、本書が出版された2013年から5年以上たってますが、現実はどうなってるか?ふーむ。
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東洋経済ビジネスオンラインの編集長。「これから5年で、日本のメディア業界が激変する」と言う。
著者がオンライン部門の編集長に就任後、PVをぐっと増やしたことでも有名。ただ、最近では逆に記事の質の低下も実は指摘されている。ただそのことも含めて、「逃げ道をつくらず、炎上をおそれず自分の意見を主張してほしい」というのが著者が主張することであり、その戦略には覚悟もあるのだろう。
今の40代は中途半端だ、紙にも拘ってメディアのウェブシフトにコミットできない(どこかへ行ってくれ)。50代の人は、思い切って30代にバトンを渡してくれ、と自身は30代の著者が言う。会社の上層部がおそらくは読んでいることを考えると、その辺りの言葉は、より挑発的でより覚悟を持っているように思える。
40代の身としては直接メディアの業界人ではないけれども、40代はITネイティブ度の上で30代に劣るというのは身につまされる話だ。5年で激変するのはメディアの世界だけではない。そこで40代や50代の人間がどのようなポジショニングを取るのかは大きな課題だ。
本書の中では、海外のFTやNYTの動きを分析して日本のメディアと比較しているが、もちろんメディアの状況は日本と世界とでは異なる。メディアやブランドの価値やポジショニングも違う。その上で、これから重要なことは、「建前より本音、客観より主観、集団より個人」が浸透してくることはどこであろうと間違いないということには同意できる。もちろんそれは、メディアの世界だけにあてはまることではないだろう。
記者よりも編集者が重要になってくる、テクノロジーも分かっていなければならない、と説く。「これからのメディア界では、一流のテクノロジー人材とコンテンツ人材とビジネス人材が組めば、たとえ少人数でも面白いことがいくらでもできます」と主張する。これからのメディア人が優先すべきは、自分の属する媒体の利益最大ではなく、「読者満足度の最大化」であり「収益機会の最大化」だという。
そういった言葉の端々にも、一刻も早く「ウェブ時代の稼ぎ方」を見出さないと、と少々の焦りもにじむ。
おそらく、著者は早晩、東洋経済を飛び出していくのだろうなと思うのだ。
それが、「建前より本音」で「客観より主観」を重要視して「集団より個人」で動くことの結論ではないのか。この本もそのための戦略的なアクションだろう、と想像しながら読んだ。
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かなり面白かった。メモ:
タイトルが10倍重要
ウェブは感情、紙は理性
余韻より断言、建前より本音
一貫性よりも多様性
集団よりも個人
本は紙のまま残る
有料会員を増やすヒント:
・広告表示もページ分割もない、特別なレイアウトを提供する
・無料のイベントに会員を優先招待する、もしくは有料イベントを割引する
・好きな筆者に質問を送ることができる
・自分の興味に合った記事が読めるパーソナライズ機能を追加する
・世界中の企業を網羅した企業検索サービスを使える
ジャーナリストの条件:
① 媒体を使い分ける力
② テクノロジーに関する造詣
③ ビジネスに関する造詣
④ 万能性+最低3つの得意分野
⑤ 地域、国を越える力
⑥ 孤独に耐える力
⑦ 教養
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「東洋経済オンライン」の編集長の佐々木さんが執筆した『5年後、メディアは稼げるか』は、メディアの現在とこれから進むべき道を記した本だ。本の帯には「マネタイズか?死か?」と強烈な煽り文句が書いてあるが、メディアを仕事としている人ならば、これが煽りではなく的確に現状を捉えた言葉であると実感できるだろう。
ウェブメディアの特徴や概観(アメリカ含め)を網羅的かつ客観的に説明し、メディアの稼ぎ方を考察、これからのメディア人(あくまでメディアで食っていこうとする人)に必要なスキルやスタンス、考え方を筆者の私見も交えながら論じている。
長年編集部に在籍していた経歴があるためか、具体例を交えながら分かりやすい説明を展開している部分は素晴らしい。今まであまりメディアに触れてこなかった人でも楽に読み進められるので、業界研究の入門書として好適だ。メディア志望の就活生も読んでおいて損はない。
一方メディアに携わっている立場であれば、この本の位置づけは大きく変わる。デジタル主体の媒体展開(ジャンル横断含め)、ユーザー属性をはじめとするデータの重要性、フリーミアム戦略――いい意味で、ここで書かれていることの多くは"当たり前"だ。というより、当たり前のこととして認識していなければならないように思う。言葉として整理されていなくとも、直近のWebの動きを見ていれば感覚として共感できるはずだ。
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米国新聞発行部数は、10年で半分に。
日本の新聞は、販売店の影響力が強い点。
新聞は集団で作られるがwebは、個人で作られる点。
大きくこの三点かな。
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どの媒体か?よりも誰が書いたか?どんなテーマか?
建前よりも本ん江で、客観よりも主観で書く。
ビジネスを徹底して学ぶ。
読者を向いた協創。誰がもっとも読者思考を徹底できるか。
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単に内容だけを見れば、熱心に反論したくなるような大きな違和感はない。全体を通して肌感覚/大雑把な世論に近いと言っていいと思う。
ただし、良くも悪くも上梓されてから3年、である。本書はタイトルに掲げた「5年」を待たずして陳腐化してしまった。逆に良く言えば(あるいはもっと悪いことには)、本書の内容の殆どが3年経過の段階でその妥当性を失っていない。
というのが、言うまでもなく最大の問題。
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東洋経済ONLINEの編集長である著者が、いかにしてメディアはこれまでの体質を脱却し、新たな収益モデルを作るべきかということを問題提起している。メディア第一人者として示唆溢れる内容で、特に紙とデジタルに関する独自の視点は非常に興味深い。ここで紹介されているのは、これまで老舗で成功した新聞社や出版社がいかにしてデジタル戦略を確立し、新たなマネタイズの仕組みを作ったかというもので、FTやNY Timesなど、広告収入から課金モデルへ転換を図った事例は、過去の成功体験にとらわれて構造改革できない企業が多いなかで、ドラスティックに変革したイノベーションのロールモデルとしても非常に勉強になった。何かのテーマについて考える時、海外や歴史をひもとくという著者。前作の「米国製エリートは本当にすごいのか?」よりも個人的には全然本書のほうが面白かった。
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どうして両方の良いところを共用しようとしないのだろうか。
Webの良いとこと紙媒体の良いところは明らかにすみわけできるはずなのにこれからはデジタルの時代アナログは古いと一蹴されて終わり。その考え方が人に波状する。だがらもうすでにWebメディアも終わりの予感がする。
強力な爆弾はすでに埋められた世界は情報の波におぼれてしまうだろう。お若い人たちは気をつけましょうね。
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『東洋経済』で紙の担当から、ウェブの編集長になった筆者が、紙媒体がウェブ化される中、ウェブメディアが儲かるようにするにはどうするか、そのためにどのような人物が必要かなど、語る。アメリカで起きているマネタイズのビジネスモデル、それを日本のメディアに持ち込むとどこがうまくいくか、うまくいくための要素など、おもしろい見方だと思う。
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・自分が勝負しているところはどこだろうか?
・マーケティング、データ分析、広告については力を入れてインプットをしなければいけないと切実に痛感した。
・もともと新聞をとって読む習慣がないので、人々が有料課金する行動や心理について、もっと知りたいと思った。行動経済学のインプットも必要か?NetflixやAmazonにはなぜお金を払うんだろう?
・日本のメディアが広告に依存していないことがアメリカのように紙媒体が衰退していない救いであり、一方で確実に衰退が進む中での状況打破につながらない一番の原因であるように感じた
・メディアがウェブサービスから課金について学べるところはたくさんある。広告以外に、どうやってウェブサービスが人々に気持ちよくお金を払わせようとしているのかは、これから気をつけてみていきたい。
▼ざっくり言うと
・紙からデジタルのへの移行、あるいはデジタルとの併存はもはや不可避。
単純なネットワーク広告の単価はあがる見込みは無く、ネットワーク広告に頼らずメディアがウェブ起点で「稼げる」活路を見出していくことが重要。
・その上で大事なのは、これまでのようにコンテンツを終わりではなく、データを活用してコンテンツを作ったり広告を作れる人材と能力。
「ビジネスに理解のあるコンテンツ作成のプロ」「コンテンツ作成に理解のあるビジネスのプロ」と、データサイエンティスト、マーケターが重宝される。
・まずメディアはウェブ上で圧倒的なブランド(認知)を確立するために、無料でコンテンツの流通を増やす(PV増やし運用型広告で乗り切る)。
そこから、有料会員やオフラインイベントなどの稼ぎと、記事広告等の単価の高い広告でマネタイズを模索していくべきだ。
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▼序章:メディアで起きる7つの大変化
◎「紙が中心でデジタルはおまけ」→「デジタルを起点にして、紙、広告、イベントなどの戦略を考える」というシフトが急速に起きる
◎これまでの「コンテンツを制作をして終わり」から、コンテンツを出したあとが重要に変化。
どの記事が読まれたか、どんな属性の読者が読んだのか、どの時間帯に読んだのか、どのページでサイトから離脱したのか、こうした情報を収集・統合・分析し、コンテンツ作成、広告営業、会員戦略などに活かす必要がある。企業に求められるのは、読者データをかつそうして、購買収入や広告収入を最大化して、新しいマネタイズを見出せるかがキーに。
→収集したデータをもとに、パッケージとしてコンテンツを作れる人材・組織に強みがある
→データ分析のプロ(データサイエンティスト)とマーケティングのプロが重宝される
◎ニュースを選ぶ基準は「どの媒体か」より、「誰が書いたか」「どんなテーマか」が重視されるようになる
◎書き手はジャーナリスト専業から、ビジネスパーソンが書き手の性質を持つようになる=ビジネスパーソンの記者化
◎「ビジネスに理解のあるコンテンツ作成のプロ」「コンテンツ作成に理解のあるビジネスのプロ」が活躍
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▼第1章ウェブメディアをやって痛感したこと
◎東洋経済ONLINEがPVを伸ばせた理由として・・・
・新連載を50個スタート。特に新しい書き手と組んで、新スター発掘に投資
・競合分析し、ターゲット層・ポジショニングを明確化(30代をターゲットに、速報より深堀りした第2報)
・UXを重視。会員登録なしでも読める記事を増やし、Yahooなどの配信先のポータルやそこへの配信記事数を10倍程度に増やし、ブランド認知、ユーザーとサイト・記事との接触機会増加をねらう
・タイトルが10倍重要。新書や雑誌に似ている。選んでもらう=読んでもらうために、フックのあるタイトルがほぼすべて(雑誌や週刊誌が参考になる)。
・ウェブ原稿は感情ベース。スピーチのような構成が機能する。
・一貫性よりも多様性(=テレビ局の番組欄のイメージ)。新聞と違って、ウェブ記事には「パッケージとして読む」習慣がない。様々な方向性の記事を載せる=多様性を確保ことで、様々な読者との接点が生まれる(マスコミが中立な報道をする背景には、そのほうが敵を作らず、読者の裾野を広げられるという"ビジネス的な配慮"がある)
*サイト立ち上げ時時は多様性重視。ブランド確立とともに、方向性を絞っていっていくのがいいかも?
・ウェブメディアでは両論併記よりも、主観・断定が重要。一方で担保されるべきは「透明性」。事実にもとづいた記事であるのは大前提で、実はステマだったとか、ユーザーからの信頼性を失うと、ブランドも落ちる。
◎雑誌は生き残れるか?
・無料のスマホ記事とわざわざ買って読まないといけない雑誌はそもそもかなり苦境
・紙の優位性はデザインが優れているとこ(読みたい、手に取りたくなる)
・雑誌の良さはパッケージとして売れることだったが、いまのユーザーは必ずしもパッケージ(コース料理)を求めていない。記事単体(アラカルト)を適正価格で有料販売する方法は1つの活路か。
・長くて深い特集主義を取ることも、ウェブとの差別化につながるか
(新聞はしぶといが、ユーザーは主に高齢層。世の中を変える主体ではない高齢層にずっと情報を出していても、退屈・・・)
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▼第2章:米国製メディアは稼げているか?
◎米国メディアは広告収入への依存度が高く(米:8~9割、日本:2~3割)、リーマンショックで広告収入が激減。
◎オンライン広告も分野としては成長したが、100:10:1=紙:ネット:モバイルぐらい、単価が安い。無料でコンテンツを出して広告のインプをいくらあげても、スズメの涙程度にしかならなかった。リーマンショック後も広告単価は戻らず。
→単価の安さの理由
①需給バランス:広告主や広告ニーズに対して、広告枠が無限
②先行巨大プレイヤーの存在:GAFAが広告が64%の広告を握っていて、メディアには残り滓しか回ってこないし、その残り滓を取り合わないといけないため
◎広告に頼らずどう収入を確保するか?各社の戦略
★有料課金のメーター制、特に有料と無料記事を組み合わせたFinancial Timesの「フリーミアム」モデルが成功。
①1ヶ月に10本など一定数記事が無料で読める
②一定本数を越えたら有料会員にならないとそれ以上よめない
③有料会員に慣れば限度無く読み放題
④検索で出てきた記事、SNS等で拡散された記事は読み放題
⑤デジタル購読料は紙より安い
・無料記事でライトユーザーを稼ぎ、そのPVで広告収入を確保+ブランディング。ヘビーユーザー化してきたら、課金して購読料を稼ぐ=チャンネルが複数、さらにそれぞれのチャンネルが複数の役割を果たす
・★広告か有料課金かの二者択一のちょうど中間をいった
・また、BtoB、ビジネスに不可欠な経済情報として法人向けのパッケージを作り、大口を確保する=エリートが読んでるみたいなブランディングにも寄与。
・FTはデータを広告にも活用。属性情報を利用してターゲティング、データをもとに広告主やターゲットなる読者によって単価を設定できる
◎NYTの戦略
①有料会員のオプションを豊富に用意
特定カテゴリだけ読めるプラン、イベント参加とセットになった特別プランなど
②グローバル化
現地記者を雇い、現地向けの記事を書く。また、NYT本体の記事も翻訳して供給
→コンテンツ流通量を増やして、インプで広告を稼ぐ作戦か?
*これうまくいってるのか?BBCとかどうなんだろう?
③動画コンテンツ拡充
エンゲージメントが強いし、制作にコストがかかるので、動画広告は単価高いの背景
④イベント・商品展開
オリジナル商品の開発、スター記者やタレントを登用したリアルイベントを開催
◎アトランティック
紙とデジタルの壁をとっぱらう
→広告に達成すべきノルマだけを提示して、紙とデジタルどちらで展開しようともノルマさえ達成すればOK
ブランド広告(ネイティブ広告、スポンサーコンテンツ)・・・コンテンツ仕立ての記事
◎フォーブス
プラットフォームとして、学者などにサイトを開放。CMS=編集権も開放して、競争原理でユーザーに人気なオーサーが残っていく形に。PVやリピーター率を原稿料に反映する。人気なのはテクノロジー、投資、ヘルスケア。
→読者ニーズを最優先にすると、読者に媚びをうる人が残るような形になるかもしれないが、「調査報道」の記事と「読者ニーズに最大限振る」記事は、ビジネスのためには併存されうる
===
▼第3章:ウェブメディアでどう稼ぐか
★最終的にメディアの存亡を決めるのは崇高な理念ではなく、経済原理
◎メディアの機能3つ
①コンテンツ収集・制作(調達・生産)
②コンテンツのパッケージ化(編集・統合)
③コンテンツを読者に届ける(流通・販売)
・新聞の宅配サービスた大発明=サブスクだから勝手にコンテンツが届くぶん、勝手に課金されて続けていく
・新聞は良い記事を書いても出世できないが、ネタを落とすと評価が下がるので、どうしても守りのマインドになりやすい?
◎ビジネス面から見たウェブメディアの4類型(RAPU=ひとりあたりの収益率)
①収益力の低いニッチメディア(PV低い/ARPU低い)
②収益力の高い日メディア(PV低い/ARPU高い)
→経済系メディアなど。広告の企画力・営業力で属性がはっきり���ているので単価の高い広告がとれることが期待できる
③収益力の低いマスメディア(PV高い/ARPU低い)
④収益力のあるマスメディア(PV高い/ARPU高い)
*②がとるべき戦略
→赤字確保でコンテンツを出しまくり③に。マネタイズに励み④に「成長を重視し、ユーザーが固まったらマネタイズに」
→マスは取りに行かず、ユーザー満足度を高いままにして高収益を保つ。どこかのタイミングでコアユーザーを損なわない範囲でマスに打って出る
◎メディアの稼ぎ方8つ
①広告②有料課金③イベント④ゲーム⑤物販⑥データ販売⑦教育⑧★マーケティング支援(地方の中小など。月額制)
・広告枠は無限に存在できるので(供給過多)、正規の値段で売り切るのは難しい→運用広告・アドネットワーク(売れ残った広告枠を広告出す側にまとめて売りさばくアウトレットみたいなもの)に売りに出される。ただ激安なので、いくら売りに出しても設けにならない
→儲けるための突破法は、「面白い広告を作る」「おもしろい広告をリーチさせるため下院登録させて属性情報を深く抑える」「属性情報を広範に紐付け、広告だけでなくイベントや教育、マーケティング支援に使う」
→企業をコンテンツ仕立てで宣伝するブランドコンテンツは「おもしろい広告」として出てきた有力な手立ての1つ。ただし、「透明性の確保」が重要。
→また、広告だけに頼ると、スポンサーの意向を気にして、ジャーナリズムが廃れる。広告以外にも収益チャネル=有料課金・購読が必要。
◎有料化に成功しているメディアの条件
①媒体が経済系、エリート系、データ系=お金を払ってもみたい情報かどうか=自分の儲けにつながる情報かどうか。これらはBtoBにも強み
②紙でブランドを築けているか=このブランドにならお金を払うという消費者の意識が定着しているかどうか
③無料サイトとしての圧倒的な実績。幅広い読者が存在しないと、広告収入も低いし、有料に移行するそもそものパイが少ない。また、「通りすがり」よりも「リピーター」のほうが、比較した時にお金を払ってくれる
★有料化や課金のヒントはネットサービスに有り
・ニコニコ→無料会員でも視聴可能だが、有料会員になると視聴者数が制限され、無料ユーザーは追い出される。また生放送ができたり、生主と電話できる→コンテンツというより体験・サービスを売る
・クックパッド→有料にすると人気レシピを検索できるようになるなどの特典
・有料になると・・・広告表示のない特別なレイアウト、イベントに優先招待、好きな筆者に質問を送れるように、パーソナライズが追加される、検索エンジンや何かが使えるようになる→こうしたオプションとコンテンツを組み合わせて売っていく
===
▼第4章:食えるメディア人 食えないメディア人
・今後、ウェブ媒体や代理店が増え、広告主の数は変わらないので広告主のちからが増していく
→ウェブとリアル、広告の知識、イベントなどを組み合わせた、横断的に広告やコンテンツをパッケージとして売れる編集者的な視点や能力をもった人に強み
★次世代ジャーナリストの条件
・媒体を��い分けて、「読者満足度」と「収益機会」を最大化できる人材
→ホリエモンのインタビューを1時間するとしたら、それをどの媒体で、どんなパッケージで出すか(雑誌の2ページ?4ページのロングインタ?全文お越しをウェブに?動画で生放送?動画を5分に編集?)
→各媒体の特性を理解して、最適解を出せる力とそれによって収益を最大化できるインサイトが必要
・ビジネスへの造詣
広告やマーケティングを知識を身につけることは、どうしたら読んでもらえるかにもつながる
・万能性+最低3つの得意分野を持つ+1つ得意な国を持つ
それをかけあわせて、オリジナリティにする
★孤独とは、ひとりで静かな時をすごすことへの自信と心地よさである(ウィリアム・デレズウィッツ)
・教養
鷲田清一によれば、教養とは「価値の遠近法」
→あるものごとを①「絶対に必要」②「あってもいいけどなくてもいいもの」③「なくていいもの」④「絶対に不要なもの」と切り分けられる能力のこと
★どんな能力の組みわせが考えられるか?
・紙とウェブメディアを経験した次世代ライター/エディター
→エディターは媒体やアウトプットにによって文体や長さなどを使い分け、エディター(アサインメントエディター)はアウトプット法・最適案パッケージ(コンテンツの出し方の戦略)を検討考案出来る人
・編集×広告
基本的に多くのメディアは広告収入でなりたっている
その広告収入を最大化させるために、広告の知識と、ウェブメディアに馴染むように企画・編集ができる人(中川淳一郎さん、柳瀬博一さん)
・福沢諭吉の時事新報はすごい
イベントの充実(マラソン大会、コンクール美人コンテスト)
コミュニティ(社交クラブ設立)
海外報道(ロイターと独占契約)
書き手の多様化(女性記者の登用)
コンテンツのエンタメ化(時事をマンガに)
デザインの配慮(紙をピンクに)
テクノロジーの先進性(最新式の輪転機を輸入)
データ情報の充実(天気予報、物価動向などを初めて掲載)
コンテンツの二次利用(社説を書籍化して出版)
ジャーナリズムの独立(誇大広告の多い売薬業者を批判→広告主失う)
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ネットのメディアを追いかけていると、知っていることも多い。だが、頭の中が整理されるのはもちろん、整理されていく中で気づかなかった視点が次々に出てくる。
これからのメディア新世界で起きる変化、紙→ウェブへきて気づいたこと、米国製メディアのマネタイズ例、ウェブメディアの稼ぎ方、メディア人のキャリア論など。
いかにマネタイズするか?という切り口で統一されているのが面白い。モデルケースは語られるものの、著者もそれがベストとまでは決して明言しておらず、まだまだウェブメディアのマネタイズ方法の完成形は見えていないことが分かる。
こういったウェブメディアに携わる人の本を読みたいが、まだまだ世の中にあまりない。
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【起業家ジャーナリスト】p30
『フリー』『メーカーズ』などの著書で知られる『ワイヤード』誌元編集長で起業家のクリス・アンダーソン、グローバル情報誌『モノクル』のタイラー・ブリュレなど、編集とビジネスセンスを兼備した人材が世界で活躍の場を広げている。
【一貫性よりも多様性】p48
ウェブメディアの記事構成は、テレビ局の番組構成に似ています。テレビ番組には、堅い報道番組もあれば、お笑い番組もあれば、ドラマもあれば、スポーツ中継もあります。同じようにウェブメディアでも、多様性がポイントになります。「東洋経済オンライン」でも、恋愛ネタからお堅い経済ネタまでを網羅した、バラエティに富んだラインナップを意識しています。
【雑誌が紙である必要はあるか?】p56
「速報性のあるもの=ウェブ」「ひとつのテーマを深堀りしたもの=雑誌」というふうにうまく住み分けられれば、ウェブと紙は幸せに共存できます。ウェブの編集部は毎日番組を創るテレビの製作部隊で、雑誌の編集部はひとつの作品を創り込む映画の製作部隊のようなイメージです。
ウィリアム・デレズウィッツ「リーダーシップにとって、真に重要なのは想像力であり、新規かつ逆張り的な物の見方を考え出し、それを表現する勇気です。よきリーダーであるためには、いかにしてひとりの時間をつくるか、ひとりで思考に集中できるか、大多数の一致した意見に左右されないか、をわかっていなければなりません。"孤独”とは、ひとりで静かな時をすごすことへの自信と心地よさです」『週刊東洋経済』(2011年11月26日号)p172
ショーペンハウアー「文体は精神のもつ顔つきである。それは肉体に備わる顔つき以上に、間違いようのない確かなものである」『読書について』p174
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cakes
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自分にとっては、発展し続けているウェブメディアについての考え方が参考になった。自分もなんとなく紙よりも自由に表現できるというイメージはあったけど、よりウェブメディアの可能性について考えさせられた。
•ウェブメディアにおいてもっとも大事なのは、文章力よりも経験や知見の面白さ。
•二流の記者が書くIT分野の記事よりも、IT分野で活躍するビジネスパーソンに書いてもらった記事のほうが、コンテンツ力が高く読者のニーズにも合致しうる。
•ウェブメディアにとって大事なのは、ひとつの方向性に読者を誘うことではなく、さまざまな意見を読者に提供し、読者の頭の中を刺激することだと思っている。
メディアはどうなるのかというよりもウェブメディアについてより興味を持った。
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業界の状況や分析がまとめられていて勉強になりました。「マネタイズか死か」という見出しはなかなか気合いが入ります。今日も頑張ります(笑)