点が線になる空想をもたらす歴史ミステリー
2008/10/21 23:54
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いけちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
太閤依頼の「信長記」を書き終えたが、信長にまつわる謎は解けない。信長の桶狭間の謎を追ううちに、さまざまな事件に巻き込まれる中、多志との恋におち、どとうのごとく謎が明かされてくる。さまざまなことの糸口があきらかになり、秀吉の死をピークに多志の叔父権から謎が明らかにされる。加藤廣の空想の世界からの信長ミステリーであるが、ある程度本当のことかもしれない。歴史の謎はいろいろあるが、点が線になる空想をもたらす歴史ミステリーだ。
歴史ミステリーも面白いと思わせる1冊。歴史は権力者によって書きかえられるのだ。
2010/01/24 08:34
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よし - この投稿者のレビュー一覧を見る
信長の遺骸はどこに?謎の女、多志と出会い。導かれるように丹波へ足を踏み入れる牛一。謎が解明され、すべてが一つに収束されていきます。
全ての謎が、太田牛一の足を使った調査により解かれていきます。
信長の遺骸についても、本当ではないかと思える気がするから、不思議。
これはこれしかないだろうと思うんですね。なぜ、本能寺ににあれだけ少ない人数しかいなかったのかというところも、ちゃんと推理されていますね。
織田家の家系も絡めているところが、この作者の独自性かな。
多志と出会い、丹波を訪ね、真相が分かるくだりから、また一気読みでした。秀吉の陰謀説は言われていますので、その辺も読みどころかもしれませんね。
一番の驚きは、安土城の天守閣。暦と関連付けているのが、斬新でした。信長なら、そこまで考えていたかも知れないよなー。あの天守閣の造りはそういうことだったのか!と、驚きましたね。
いろんな謎が一気にとは、徐々に解明されていきます。その解ける過程が、この作品の一番のキモかもしれません。
木瓜が無残に抜き取られているのが歴史の皮肉さと悲しさを感じますね。そして、疲れ果てて牛一はいいます。
「権力者の嘘まじりの手柄話を書くのは、もうこりごりだ」と。
前半の謎の提示が良すぎて、後半の謎の解明は少し、トーンダウンかなとも思えますが、十分に読ませる秀作です。
結局、歴史ミステリーって、謎が解けないところがまた面白いんですね。
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なぜ信長の遺骸はいつまでたっても見つからないのか。光秀はなぜ戦勝祈願の連歌を詠んだのか。秀吉の「中国大返し」はなぜ可能だったのか。丹波を訪れた太田牛一は、謎の美女、多志に導かれ阿弥陀寺、本能寺、丹波を結ぶ“闇物語”のとば口へと足を踏み入れる。驚天動地の歴史ミステリーいよいよクライマックスへ。
2008.9.10 読了!
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太閤依頼の「信長記」を書き終えたが、信長にまつわる謎は解けない。信長の桶狭間の謎を追ううちに、さまざまな事件に巻き込まれる中、多志との恋におち、どとうのごとく謎が明かされてくる。さまざまなことの糸口があきらかになり、秀吉の死をピークに多志の叔父権から謎が明らかにされる。加藤廣の空想の世界からの信長ミステリーであるが、ある程度本当のことかもしれない。歴史の謎はいろいろあるが、点が線になる空想をもたらす歴史ミステリーだ。
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本能寺の謎に迫る下巻です。
本能寺の変について、一つの可能性をきちんと描いている作品でした。
今まで、私の全く知らなかった丹波者という存在に着目したり(実際秀吉は丹波に関係があるという説が存在するそうです)。
ただし、ここまで突っ込んだならもう少し視野を広げて欲しかった。もっと要素があるはずなんだ。もうひと味足りないんです。
ただ、これが”小説”というジャンルであって、決して歴史研究書ではないので、その点が歴史研究の材料を探している私には物足りなかったけど、そもそもそのニーズはサポート外なので(…)小説として純粋には良く出来た作品じゃと思われますっ!!
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「信長公記」の作者である太田牛一が、信長の遺骸探しで、桶狭間の戦いや、本能寺の変の真相(?)に迫り、「歴史とは勝者の作り話に過ぎない」と語らせるお話。
上巻を読んでから2ヶ月近いブランクが出来てしまったので、上巻の内容を思い起こせるようになるまで少々リハビリが必要でしたが、下巻は色恋のお話もあって、上巻よりはスラスラ読めました。
(2009/1/9)
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淡々とした歴史ものだなぁという印象。おもしろいんだけど、なんか夢中になって読むカンジにならないのだ。論理的すぎるからかな。やっぱ歴史ものは、客観的事実にどれだけ主観をもたせられるかが肝で、誇張とかしてもいいと思うんだけど、なんとゆうか、淡々と史実を読んでる、みたいな気分になったなぁ。でも解き方はおもしろいしすごい。
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なんか、長い割にはいまいち時代に浸れない歴史ミステリーだった。
主人公の行動や、作品内の言葉選びに「それって戦国?」といった突っ込みを随所に入れたくなることこの上なく、本能寺の変の新解釈を提示したいだけなら、あえて小説仕立てにする必要がなかったのでは、と感じてしまった。
最後の謎を追う展開も、小説としての盛り上がりに欠け、ゆえに実に中途半端なエンディングに感じられてしまう。もうすこしエンターテイメントに振ってもよかったのではないだろうか。
もっとも著者が専門の歴史物書きでもない素人のようなので、これ以上を望むのは酷か。
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2010/7/7 Amazonより届く
2010/10/21~10/26
牛一は、多志の故郷の丹波に行き、信長にまつわる謎を知っていそうな人物にたどりつく。その人物との対峙の末に、本能寺の変、光秀が何故愛宕山で連歌を詠んだか、信長の遺体はどこに消えたのかを遂に知ることになる。
いやあ、面白い小説であった。歴史ifものには弱いんだなぁ。ちょっとご都合主義的な人物の登場のさせ方はあるが、いやいや快作である。秀吉の枷も楽しみだ。
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*上巻の感想と同じです
小説としておもしろくない、というかこなれていない。
わたしは歴史小説に、ずいぶん資料を読み込んだんだなーと透けて見えるような書き込みや推理性よりも物語としてのおもしろさを求めているので、そういう意味でこれはダメ。そういうものが読みたければ新書でも探す。
小説としておもしろくさえあれば、たとえ話運びが冗漫だろうが、主人公がしょっちゅう物書きとしてのアイデンティティ・クライシスに苦悩しようが、地の文で信長だけ「信長さま」でいちいち目につこうが、七十男が若い女に惚れられて子どもを作ろうが、ついでに必要もないのに上下巻になっていて、そのせいか活字が妙に大きくて逆に読みにくかろうがすべて許したのに、残念な本だった。
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なるほど~~!!
歴史ミステリっておもしろい!!教科書に載っていた人物が登場人物となって感情をもって本の中を動いてる。当たり前だけど、それだけでも新鮮でした。
誰が抜け穴を塞いだのか??それが知りたくてどんどん読み進めていきました。ラストはびっくり!本能寺の変ってすごく壮大なロマン!!
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歴史ミステリーおもしろかった!信長の遺骸が消えた謎、秀吉の「中国大返し」がなぜ可能だったのか、桶狭間の戦いの奇跡の大勝利の謎、本能寺の変の黒幕などなど興味深い話ばかり。主人公が「信長公記」の著者だというのも面白い!ほんとの信長はどんな人だったのかますます興味を惹かれた。史実はわからないけど物語としても十分面白かった。
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いよいよ「信長記」が完成に至り、
牛一のライフワークである信長の遺骸探索に物語も集中する本書。
様々な人間の思惑、人間関係にも牛一は左右されていくが、
色々あった楓との出会いが牛一を真実に導く結果ともなった。
信長の遺骸が見つからなかったという歴史的事実に対して、
小説の場を借りて、著者なりの解釈を交えての本書なりのゴール。
全て盲信するつもりもないが、遺骸の在処に達するロジック、
信長が天皇制をどう考えていたのか?
読者としてもそうであって欲しいと思える内容だった。
信長・秀吉・家康の3者に対する好き嫌いは人それぞれだと思う。
本書では信長はほとんど出てこないが、
信長ファンを後押しする内容だった。
松本幸四郎が牛一を演じるドラマも是非見てみたい。
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信長の伝記作者を主人公に据えるという着眼が秀逸。肝心な謎はさんざん引っ張った割にはあまりぱっとしなかったけど。
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太田牛一にとっての「信長さま」を探す旅だったように思います。見つかってよかった。周囲から見てどのような善悪の判断を下そうとも、信長は信長であるからこと魅力的な男なのだとなんとなく思いました。趣旨ちょっと違いますけど;;