電子書籍
世界を変える日に
著者 ジェイン・ロジャーズ (著) , 佐田千織 (訳)
【アーサー・C・クラーク賞受賞】人類は滅亡する。 でも、わたしの決断で、運命を変えられる……『たったひとつの冴えたやりかた』の純粋さで、 『わたしを離さないで』の衝撃を描...
世界を変える日に
世界を変える日に (ハヤカワ文庫 SF)
商品説明
【アーサー・C・クラーク賞受賞】人類は滅亡する。 でも、わたしの決断で、運命を変えられる……『たったひとつの冴えたやりかた』の純粋さで、 『わたしを離さないで』の衝撃を描きだした近未来フィクション。
バイオテロのため、子どもがもはや生まれなくなる疫病に世界じゅうが感染してしまった。このままではいずれ人類は絶滅する。科学の横暴を訴えて暴動にはしる者、宗教にすがる者。十六歳のジェシーは慣れ親しんだ世界の崩壊を目撃する。彼女の父親ら研究者は治療薬開発に取り組むが、かろうじて見出されたワクチンには大きな問題があった。それを知った彼女がくだした決断とは……。少女の愛と勇気を鮮烈に描き出した作品
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紙の本
おかしくなった世界でいきる少年少女のリアルな姿を描写した小説
2017/05/13 13:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作品は非常に難しい作品だと思います。
この物語は、主人公ジェシーの視点から描かれるため、
一見すると彼女が主人公の物語のように感じます。
しかし、僕はこの物語の主人公は思春期の少年少女たちだと思っています。
大人たちがむちゃくちゃにしてしまったつけを少年少女が払わなければならないとなった時に、彼ら彼女らがどういった行動を起こすのか、ということが本作品のテーマだと思います。
思春期を終えた大人には、彼らの行動に理解を示すのは難しいかもしれませんが、
だからこそ、こういった小説読むことで彼らへの理解が深まるのではないかと思います。
本作品では、研究者の父を持ち、他の少年少女より多くの情報を得られる立場にある16歳の少女ジェシーを主人公にすることで、
様々少年少女たちのリアルな姿を描写している点が魅力だと思います。
主人公が16歳の少女であるため、科学の力で問題を解決する過程の描写は少ないので、それを期待している人には不向きな作品かもしれません。
紙の本
自己犠牲とは
2017/05/11 21:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
2011年にイギリスで出版されその年のアーサ・C・クラーク賞を受賞した作品です。
この著者の作品を読むのは初めてでしたが、映画化された「Island」1999年を観ていて面白かったので手にとってみました。
主人公の16歳に少女ジェシーの視点からの物語です。
人は自分が自ら進んで死ぬことで他の何かを救えるとしたら、自らを犠牲にすることをどう考えるべきかを問う内容です。
生きることと犠牲について真剣に考えさせらることは間違いありません。
結末に触れずに感想を書けないので以下で結末に触れます。これから読もうと思われた方は飛ばしてください。
この結末は私は受け入れがたいです。
この主人公の少女はまだ死ぬほど誰かを愛したことがありません、だから真剣に生きようとしていません。
そして彼女のことを両親や友人が愛していること、寿命で死ぬまで生きて欲しいことを本当の意味で知りませんし、理解しようとしていません。
彼女の行動原理は心理学で言うところの承認願望でしかなく、自分が死ぬことで誰かの役に立ち、自分がみんなのために死んだことを忘れずにいて、残された人々が彼女の行動を讃えてくれだろうという自己欲求を満足させたいだけのエゴでしかないと思います。
こんなことに少なくても私は感動しません。
むしろ軽蔑に近い感情を抱きます。
人が生きることは苦しいし辛いし堪え難い事もありますが、それでもなお足掻くように這いずってでも生きようとしなければいけないのだと私は思うのです。
紙の本
共感できず・・・
2014/10/04 18:10
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
バイオテロにより、妊娠すると赤ん坊と一緒に母体も死に至らしめる病気(MDS(母体死亡症候群))が世界中に蔓延した未来。
子供が生まれなくなってしまったため、このままではいずれ人類は絶滅してしまう。
主人公の少女、ジェシーは「世界を変えたい」と思い、一時期、学生運動に加わるものの、様々な事件により活動から距離を置く。
そんな中、ジェシーの父親が勤める研究所がMDSのワクチンを開発するが、それは、大きな代償を伴うものだった。
それを知ったジェシーは・・・。
原題を直訳すると「ジェシー・ラム(主人公)の遺言」
このタイトルから想像できるかもしれないが、物語の冒頭は、ほぼラスト間近のシーンから始まる。
(当然、最初は、そういう展開とは分からないようになっているが・・・)
こういう流れの話は、キライではない。
が、主人公や、その周囲の登場人物に共感できなかった。
MDSのワクチンは、赤ん坊の方には効果があるが、母体には効果が及ばない。
つまり健康な赤ん坊を生まれさせるためには、母親を犠牲にしなければならない。
作品中でも、当然、これが長期的な解決策ではない、としている。
が、それでも「いいニュース」として、ジェシーの父親に語らせているのが理解できなかった。
「呪われた方法」の間違いでは?
せめて「いい方法ではないのは分かりきっている。が、このままでは人類が滅亡するから、四の五の言っている場合ではない」とでも、苦悩してくれれば、まだしも・・・。
結局、ジェシーは、自ら「犠牲」となる事に志願する。
ただ、その決断に至る過程が、自分には理解しにくかった。
ジェシー自身も、周囲からの圧力を受けた上での決意ではない、と言っているし、「犠牲」を募る制度にも、第三者が周囲からの圧力が無い事を慎重に見極める、という事になっている。
が、それで本当に「周囲からの圧力がない」と言えるだろうか?
「世界を救うには、この方法しかない!」
「それができるのは、あなただけだ!」
「世界を救う"救世主"募集!」
とか美化して、さんざん宣伝すれば、それが「圧力」になるのでは?という気がする。
もっと進んで、小さい頃から、「犠牲」になる事は、「素晴らしい事」だと刷り込んでおけば、疑問さえ感じないのでは?と思った。
さらに、共感できないポイントとして、ジェシーが「犠牲」となる決断をするあたりと、「犠牲」となる事を知ったジェシーの父親の態度がある。
ジェシーが「犠牲」となる事で、両親や親しい人たちが、どれだけ苦しむかを考えた様子は、あまりない。
自分は、それで満足かもしれないが・・・。
それ以上に、憤りさえ覚えたのが、ジェシーの父親の態度。
「犠牲」が必要な方法を「いいニュース」と言いながら、自分の娘が、その「犠牲」になる事を知った途端、やめさせようとする。
・・・「身勝手」としか言いようがない。
ただ、この父親の態度は、「集○的自○権」の話でも、そのまま当てはまりそう、と思った。