目から鱗の刺激溢れる本です!
2014/03/30 17:40
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
「里山」は日本の原風景ですから、ノスタルジックな田舎暮らしを勧めている本かなあと勝手にイメージし、今まで読む気が起きませんでした。ところが、本書は新書大賞作品で、バカ売れしていると聞き、衝動買いしました。
内容は、マネー資本主義とは別の生きる道(循環型の完結社会)を模索しようという野心的なものに仕上がっています。
カネ本位の現代に、まさに逆転の発想です。しかも夢物語を語っているわけではありません。現在進行形で過疎地や離島で進んでいる話であり、若者が率先して行動に移していて、静かに浸透し始めているとのこと。本書では、日本国内での具体的な取り組みを紹介している(第1章・第3章)ほか、国家的取組としてオーストリアの実例が紹介されています(第2章)。オーストリアは、林業による循環型社会の効用に、他国に先駆けて気が付き、国家を挙げて取り組んでいるとのこと。結果、ユーロ危機の影響をほとんど受けていないという事実には驚きました。
全世界が無闇に突き進んでいるマネー資本主義(=経済成長至上主義)は、国家間エゴの衝突を先鋭化させていて、日本も渦中にいます。ただ大借金を背負った日本が、アベノミクスでバラ色になるとは思えませんし、それゆえに漠然とした将来の不安は拭えません。この里山資本主義が、今後行き詰るであろうマネー資本主義のバックアップシステムとなり、地方が田舎が里山が復活する日を信じたいと思いました。
一方で、里山資本主義とは対極にあるTPPが締結された時には、このバックアップシステムは大丈夫でしょうか?「地産地消」さえも非関税障壁とみなされ、断罪される可能性があると聞きます。そういったことも横目で睨みながら、里山資本主義の可能性と成功を切に願いたいと思いました。
目から鱗の刺激溢れる本です!
2015/08/07 09:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
「里山」は日本の原風景ですから、ノスタルジックな田舎暮らしを勧めている本かなあと勝手にイメージし、今まで読む気が起きませんでした。ところが、本書は新書大賞作品で、バカ売れしていると聞き、衝動買いしました。
内容は、マネー資本主義とは別の生きる道(循環型の完結社会)を模索しようという野心的なものに仕上がっています。
カネ本位の現代に、まさに逆転の発想です。しかも夢物語を語っているわけではありません。現在進行形で過疎地や離島で進んでいる話であり、若者が率先して行動に移していて、静かに浸透し始めているとのこと。本書では、日本国内での具体的な取り組みを紹介している(第1章・第3章)ほか、国家的取組としてオーストリアの実例が紹介されています(第2章)。オーストリアは、林業による循環型社会の効用に、他国に先駆けて気が付き、国家を挙げて取り組んでいるとのこと。結果、ユーロ危機の影響をほとんど受けていないという事実には驚きました。
全世界が無闇に突き進んでいるマネー資本主義(=経済成長至上主義)は、国家間エゴの衝突を先鋭化させていて、日本も渦中にいます。ただ大借金を背負った日本が、アベノミクスでバラ色になるとは思えませんし、それゆえに漠然とした将来の不安は拭えません。この里山資本主義が、今後行き詰るであろうマネー資本主義のバックアップシステムとなり、地方が田舎が里山が復活する日を信じたいと思いました。
一方で、里山資本主義とは対極にあるTPPが締結された時には、このバックアップシステムは大丈夫でしょうか?「地産地消」さえも非関税障壁とみなされ、断罪される可能性があると聞きます。そういったことも横目で睨みながら、里山資本主義の可能性と成功を切に願いたいと思いました。
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投稿者:がぶがぶがぶ - この投稿者のレビュー一覧を見る
進化する里山資本主義を読みたいと思い本棚から引っ張り出して再び読みました。やっぱり楽しいしワクワクします。二拠点生活を始めようとしているので真剣になりますね。このご時世元気にしましょうアイディアは無限ですね。
「逆手流まちづくり」(私が勝手に記憶している名称)の生み出した成果を収集して、「マネー資本主義」に対する「里山資本主義」という概念にまとめ上げた作品でした。
2016/12/07 10:21
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「逆手流まちづくり」(私が勝手に記憶している名称)の生み出した成果を収集して、「マネー資本主義」に対する「里山資本主義」という概念にまとめ上げた作品でした。実態としての資本・経済と結びついていた本来の「資本主義」から大きくかけ離れ、金=金融に支配された現在の資本主義を「マネー資本主義」と命名したのは私には実にしっくりとするが、対する概念を「里山資本主義」と命名したのは少し範囲を狭めているのではという気がした。
「里山資本主義」とは金の循環が全てを決定することを前提として構築された「マネー資本主義」という経済システムの横に、こっそりとお金に依存しないサブシステムを再構築しておこうという実践である。お金が乏しくなっても水・食料・燃料(エネルギー)が入り続ける仕組み、謂わば安心・安全のネットワークを用意しておくという実践である。続けて、このような実践を可能とするのは、「マネー資本主義」の下では条件不利と見做されてきた過疎地域、つまり人口一人当たりの自然エネルギー量が大きく、前近代からの地域資産が不稼働のまま残されている地域にこそより大きな可能性がある、と述べている。(P-121~122)このように観てみると、後半の条件は確かに「里山」の可能性を強く示唆しているが、前段における哲学は「里山」に限らず実践可能なように思える。
実際、本書の中でも、P-146~148「分業の原理への異議申し立て―マネー資本主義へのアンチテーゼ3」の中で、「マネー資本主義」の究極の産物と見られている日本のコンビニエンスストアのシステムに、「里山資本主義」的な一人多役の哲学が具体化されていることを指摘しており、終章では、「里山資本主義」が過疎地域救済のみならず、少子化を食い止め、高齢化社会対策・社会福祉対策にも有効であるとその展望を述べている。
これまで急速に進んできた「マネー資本主義」下での生活様式を一篇に変えることは出来ないし、その効果も微々たるものとして一般的には見えにくいものではあるが、確かに変えていかざるを得ない時期に来ているし、その変革方向の一つとして非常に魅力的な提言であると思える。
生き方を考えさせられる良書
2015/07/23 10:44
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投稿者:bellbellmare - この投稿者のレビュー一覧を見る
田舎暮らしに飛び込みたくたくなる一冊。
都会に住む人たちは?
2017/11/15 19:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kurosuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
持続可能な社会を誰もが望んでいるが、それに向けたアクションが取れているかということか? 自分の利益も重要ですが、他人、突き詰めれば地球の利益も尊重する必要がある。地球環境問題は語られて久しいが、いよいよ個々人のアクションが問われる時代に突入したように思う。
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デフレの正体が分かりやすかったので、藻谷氏の本を購入してみました。
マネー資本主義とは一線を引いて、地方の魅力に迫った本。中国地方の岡山県真庭市は木材バイオマスを使った自然エネルギー発電によって町の電力の10パーセントを賄う。それは、自動車産業のように、幅広い雇用も生み出す。
オーストリアの世界のバイオマス発電の事例も含めて、地方にはこんなに、魅力的な資源があるのだと思わせてくれます。しかも、オーストリアは国民一人あたりの所得がトップクラスと言う。当然、豊富な森林資源を持つ日本ともダブル。
ものが溢れる都市部よりも、何もないからこそ工夫する地方の方が日本の1歩も2歩も先を行っている現実。普段の生活でも、例えば、お金を出してコンビニで買うよりも自分で手間隙をかけた方が料理なんかも美味しかったりする。それは、本当にお金をかけるに値するか、もう一度考えてみたくなる本でした。
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里山資本主義は、マネー資本主義と対比し、金銭換算できない価値がある。
地上主義であり、物々交換などが行われ、都心にいるよりは健康的に生活ができ、健康寿命も伸びる。
今までは不便であった里山も、スマートシティ化していくことによってより住みやすくできる。それには自然エネルギーとITが不可欠であり、自分としては、そのような分野についてのモチベーションが上がった。
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グローバリズム、マネー資本主義から来る大きな不安を解消するためのオルナタティブな動きを中国地方の山間地の事例をもとに紹介。与党の長期政権が予測される中、これからの日本を考えていくうえで健全な批判精神を持つことが重要と感じました。とても希望に満ちた本です。
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藻谷氏と言えば、人口動態に着目して日本経済の構造分析をした
『デフレの正体』が有名です。その藻谷氏の、3年ぶりの書き下ろ
しとなる本書が、何故、「里山」なのか。そもそも「里山資本主義」
という聞き慣れない言葉は何なのか。俄然、興味が高まります。
「里山」は、「奥山」に対する言葉で、文字通り里に近い山です。
農山村にとって、里山はまず何よりも薪炭林でした。昭和30年代に
「エネルギー革命」が起きてプロパンや石油に置き換わる前、農山
村における煮炊きや暖房のエネルギー源は、山から切ってくる薪で
あり、木炭でした。その里山も、エネルギー革命後は、無用の雑木
山となります。同時に、里山を舞台にした人と人、人と自然との交
流もなくなっていきます。里山が経済的価値を失う過程は、人と人、
人と自然との関係が失われていく過程でもありました。
農山村においてすら「関係の解体」が進んでいった果てに何が起き
たか。お金に最大の価値を起き、お金で何でも済まそうとする「マ
ネー資本主義」の台頭です。しかし、「マネー資本主義」は、人を
幸せにしません。お金で何でも買えるならば、かけがえのない存在
(文字通りPricelessなもの)がなくなってしまうからです。そして、
自分のことすらかけがえのない存在であると思えなくなり、存在の
不安を抱えることになります。
そうなると、人は、自暴自棄で刹那的な行動に走ったり、他人に対
する攻撃的な行動に身を任せたりしがちです。すなわち、マネー資
本主義の行き着く先は、不安を抱えた個人によって構成される攻撃
的で不安定な社会なのです。
そのマネー資本主義に対するアンチテーゼとして著者達が掲げるの
が「里山資本主義」です。それは、マネー資本主義の下では経済的
価値がないとされてきたものの価値を再発見し、お金による交換に
替えて物々交換を行い、規模を追わず、地域で完結できることは完
結する、そういう経済のあり方です。それをマネー資本主義に対す
るバックアップ、或いは保険として、社会の中に組み込んでいく。
そうすることで、マネー資本主義の毒を中和しつつ、マネー資本主
義と里山資本主義のせめぎ合いの中から、新しいシステムを生み出
していく。それが本書の提唱する世直し戦略です。
要は、買って済ますのでも、行政任せにするのでもなく、作れるも
のは作って済まし、もらえるものはもらって済まし(でもお返しが
必要です)、できるだけお金に頼らず生きてみようじゃないか、と
いうことだと思います。そうすることで思いがけず楽しい人生が送
れるし、人や自然とつながり直すことで、かけがえのない自分を確
認することもできる。実際、そうやって生き始めている人達が全国
にはいっぱいいるのだということを、本書は教えてくれます。
自民の大勝で、マネー資本主義が力を増していきそうな予感がする
今こそ読んで頂きたい一冊です。
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▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)
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「金を稼ぐという話になると、どうしても都会には勝てない。でも、
金を使わなくても豊かな暮しができるとなると、里山のほうが、地
方のほうが面白いのではないかと私達は思っています」
「木材は、投資は少なくてすむ一方、地域に多くの雇用が発生する、
経済的にもとても優れた資源なのです」
「里山資本主義」とは、お金の循環がすべてを決するという前提で
構築された「マネー資本主義」の経済システムの横に、こっそりと、
お金に依存しないサブシステムを構築しておこうという考え方だ。
持つべきものはお金ではなく、第一に人との絆だ。
持つべきものの第二は、自然とのつながりだ。失ったつながりを取
り戻すことだ。自分の身の回りに自分を生かしてくれるだけの自然
の恵みがあるという実感を持つことで、お金しか頼るものがなかっ
た人々の不安はいつのまにかぐっと軽くなっている。
「我々にできることは何なんだろう、とこの島に来てから考えるよ
うになりました。単純に自分のところの利益を最大化するのはいい
話ではなくて、地域全体が最適化されることで、自分たちにも利益
がまわってくるのです。だからこそ、地域をまず改善していく取り
組みをしたいと考えています」
「東京かなんかだと、政府が悪いとか、何か絶対助けてもらわなけ
れば困るとかいうけれど、僕らはそうではない。僕らが田舎の手間
返しと呼ぶものは、お金じゃなくて人間の力。僕ができることをし
て、隣でしてあげて、僕ができないことを隣がしてくれる。僕が作
れない時間を作ってくれる。僕が作れん時間を作ってもらったら、
僕は手間で、またそれを返す」
戦後の日本人が享受してきた経済的な繁栄は、別段失われていない
し、事実をしっかり認識し、ゆっくり落ち着いて適切に対処する限
り、今後とも失われない。さらにいえば、仮に今のマネー資本主義
的な繁栄がゆっくりと弱まって行くようなことがあったとしても、
里山資本主義的な要素を少しずつ取り入れて行けば、生活上はそん
なに困ることもない。
「日本全体が成長していれば個別の問題も自動的に解決に向かう」
というようなこともありえない。
複雑で巨大な一つの体系に依存すればするほど内心高まっていくシ
ステム崩壊への不安を、癒すことができるのは、別体系として存在
する保険だけであり、そして里山資本主義はマネー資本主義の世界
における究極の保険なのだ。
正に保険とは安心を買う商品であり、里山資本主義とは己の行動に
よって安心を作り出す実践なのである。
里山資本主義は、大都市圏住民が水と食料と燃料の確保に関して抱
かざるを得ない原初的な不安を和らげる。それだけでなく里山資本
主義は、人間らしい暮らしを営める場を、子どもを持つ年代の夫婦
に提供する。
人間の価値は、誰かに「あなたはかけがえのない人だ」と言って���
らえるかどうかで決まる。人との絆を回復することで、そして自分
を生かしてくれる自然の恵みとのつながりを回復することで、よう
やく「自分は自分でいいんだ、かけがえのない自分なんだ」という
ことを実感できる。そのとき初めて人は、心の底から子どもが欲し
いと思うようになる。自分にも子どもがいていいのだと思えるよう
になる。
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●[2]編集後記
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この日曜日は、住んでいる街のお祭りでした。三月に今の街に越し
てきてから初めての本格的なお祭りだったのですが、お囃子の太鼓
が鳴り始めたのが朝の6時。それから街を山車と神輿で練り歩き、
最終的に神輿が宮入りして祭りが終わったのが、何と夜の8時です。
消防団はお祭りの警備に駆り出されたので、炎天下、最初から最後
まで交通整理をして過ごしました。おかげで自分の娘が太鼓を叩く
姿をまともに見ることもできず、ただひたすら交通整理の一日。
消防団員は辛いですw。
しかし、一日、祭りを間近で観察できたので、なかなか興味深かっ
たです。何より感心したのは、「お祭り男」達の存在。ほんと、祭
りになると俄然張り切る人達がいるんですね。普段、何やってる人
なのかよくわからないw。でも、町会議員よりも自治会長よりも、
誰よりも威張って、現場を仕切っているのです。まさに無礼講です。
そういうお祭り男だけでなく、お囃子の太鼓を叩く少女達も、神輿
を担ぐ男達も、みんなとても光り輝いていました。祭りに参加する
男女は、その時だけ、特別な存在になるのですね。何をしている人
かとか、どんな身分の人かに関係なく、普通の人が輝ける場所があるというの
は素晴らしいことだと思いました。
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田舎暮らしを勧める本はあまたあれど、資本主義(産業)として成り立つ田舎暮らしを紹介している希有な本。
著者はエコノミストの藻谷浩介とNHK広島。NHK執筆部分は実にNHKっぽく、独特の読みにくさがある。ヒューマンドラマいい人いい話にもっていこうとする傾向。エコノミスト執筆部分は数字や金の話が「ちゃんと成り立つのか?」「成り立つというそのロジックは?」がちゃんと書いてあるので、ビジネスマンとしてはこちらの方が読みやすい。
それでよく分かったのが、マクロでは、木質バイオマス(木材を熱エネルギー源として利用する)は十分産業として成り立つし、逆にそれゆえにそれなりの資本投下が必要ということ。
他方、ミクロでは、「田舎暮らし」という言葉でイメージされる晴耕雨読/自給自足/物々交換が年金という安定した現金収入前提でしか成り立たないところにも「地域通貨」「生きがい」という観点から事例を見つけてきたり、大小様々なレベルで全体として面白い。
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副作用もなしにできるなら他の誰かがとうにやっている、ということは認識しておいた方がいい。って言葉がp255に出てくるんだけど、これがひどく残念。新しいコンセプトを紹介する形の本で従来のやり方を批判する際にこのロジックを出してはいけない。ブーメラン。フィールドスタディは素晴らしいし、トレンドをつかんでいる。データも適切で、特に地域社会における収支の分析からの地域経済におけるバイオマスエネルギーへの期待は読みごたえがある。一方でマネー資本主義とラベルをつけてのグローバル経済への批判は控え目に言ってもレベルが低い。新書の限界かもね。そこは読み飛ばしていいような気もします。まとめとして僕が感じたのは、人口が減るのは長期的にはいいこと。なぜなら持続的な生活をするならば中沢新一の贈与経済圏に戻らなければならないから。短期的には限界集落とか、耕作放棄地においてはこのようなことが起こる。その際、短期的には木材をコンクリートの代替にする工法が法的に保護されるかが大きい。そうすると、地方のデパート位は木造で行けるかも。
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藻谷浩介氏の前著『デフレの正体』から3年ぶりの新著。
といっても単独でなく
NHK広島放送局の2人のディレクターとの共著。
書名の「里山資本主義」はNHKディレクターの
井上氏のネーミングだが、
藻谷氏のアベノミクス批判が秀逸。
公共投資へのばらまきで金融市場と輸出企業の
市場価値が上がってもなにか変だぞと感じている
正体不明の気味悪さ。
その幽霊の実像が見えた感じ。
アベノミクスの行く末、とくに第二のギリシア状態になったときに
日本経済を救うサブシステムとしての里山資源。
国土の7割を占める山林や
棚田や山畑、さらに沿岸の魚介、
さらにそれらの景観などが含まれるが
それらを活性化させるキーワードは「おもしろいから」。
この辺がなんとも単純明快でいい。
もっともマクロ経済的には歯牙にもかけないということなのかもしれないが、
雲をつかむ話よりも、
目に見える地域のネットワークから何ができるかを必死に探求している者にとってはおおいに示唆に富んでいる。
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「デフレの正体」で注目された著者の新作。前作に続き、独自の視点から現状分析をし、処方箋を発信している。アカデミックに論理をかざす学者さんからは批判されがちだけど、積極的に解決策の方向性まで目指す点はむしろ素敵だと思う。
資本主義の限界があって、そこを補完する新しい動きがローカル中心に起こっていると説く。地方の可能性を感じられる一冊。ローカルビジネスに挑む人生も愉しいよなあ。。
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ベストセラー『デフレの正体』の著者の久々の著ということで、話題の1冊です。
ここで紹介されている岡山県やオーストリアの事例。確かにこれだけでは本当に日本が抱える諸問題の解決策になる、とまでは言い切れない内容だとは思います。でも、何か明るい未来への1つの解決策を示してくれていると思います。
今、経済の再生にあたって、リフレ派と反リフレ派の論争がまだまだ続いています。明確な答えは分かりませんが、少なくとも、藻谷さんの主張は、決して悲観することのない、そんな未来をデータから示してくれます。それは前作と同様、理解しやすく、納得しやすいものです。
リーマンショックや東日本大震災により、今の経済のあり方に疑問を持ったならば、それを全否定するのではなく、現状を認めた中で、もっと違うやり方はないのか模索する義務があるのだと思います。
「里山資本主義」
かつて人間が手を入れてきた休眠資産を再利用することで、原価0円からの経済再生、コミュニティー復活を果たす現象。安全保障と地域経済の自立をもたらし、不安・不満・不信のスパイラルを超える。
日本では、国にできないことを先に地方からやってしまうことが、コトを動かす秘訣
日本人は「辺境民」(内田樹)→海外から輸入された単一の原理にかぶれやすい
「ニューノーマル消費」=つながり消費を求め、所有価値から使用価値に重心
「オールドノーマル消費」=成長が是とする考え
・発売から2年以内に消えるヒット商品の割合:52%
・新しく発売された商品が利益を得られる期間:1.5年
・仕事の満足度:39%
「日本経済衰退説」への疑問
①ゼロ成長と衰退の混同
・過去20年、日本のGDP総額は増えていないが、減ってもいない
・1人あたりGDPも世界17位だが、絶対額では微増
・生産年齢人口当たりのGDPは、今でも日本の伸び率は先進国最高
・平均寿命は世界最高水準・凶悪犯罪は現象・困窮者が暴動を起こしていない→経済が衰退している国の姿ではない
②絶対数を見ていない「国際競争力低下」論者
・国際競争力を失っているのに、なぜ円高か?
・経済的繁栄→自国通貨高は世界の常識。円高なのは輸出が増えているから
・バブル最盛期の1990年の輸出額は41兆円。2012年は61兆円で1.5倍
・貿易赤字の原因は、化石燃料の価格が高騰し輸入が増えたからであって、輸出=日本製品の海外での売り上げ低下ではない。欧米・東アジアからは貿易黒字
・海外から受け取る金利配当(所得黒字)は2012年に14兆円。
③「近経のマル経化」を象徴する「デフレ脱却論」
・通常の国はインフレなので、日本がデフレを続けると円高が進行し、結果として国外から見た日本の経済価値は減らない
・リフレ論者=「市場経済は政府当局が自在にコントロールできる」という確信=「近代経済学のマルクス経済学化」
<この本から得られた気づきとアクション>
・現状を疑ってみる。別の方法がないのか探ってみる。
・シロかクロかの二元論に陥らず、現状のバックアップなどを考えてみる
<目次>
はじめに 「里山資本主義」のススメ
第1章 世界経済の最先端、中国山地―原価ゼロ円からの経済再生、地域復活
第2章 二一世紀先進国はオーストリア―ユーロ危機と無縁だった国の秘密
中国総括 「里山資本主義」の極意―マネーに依存しないサブシステム
第3章 グローバル経済からの奴隷解放―費用と人手をかけた田舎の商売の成功
第4章 “無縁社会”の克服―福祉先進国も学ぶ“過疎の町”の知恵
第5章 「マッチョな二〇世紀」から「しなやかな二一世紀」へ―課題先進国を救う里山モデル
最終総括 「里山資本主義」で不安・不満・不信に訣別を―日本の本当の危機・少子化への解決策
おわりに 里山資本主義の爽やかな風が吹き抜ける、二〇六〇年の日本