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宰相不在
著者 上杉隆
2代続けて政権を投げ出したお坊ちゃま総理、早くも官邸崩壊寸前の3人目のお坊ちゃま麻生太郎。宰相不在が続く日本に明日はあるのか? そして政治の監視役を務めるべきマスメディア...
宰相不在
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宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く
商品説明
2代続けて政権を投げ出したお坊ちゃま総理、早くも官邸崩壊寸前の3人目のお坊ちゃま麻生太郎。宰相不在が続く日本に明日はあるのか? そして政治の監視役を務めるべきマスメディアの情けない現状とは? 迷走する政治とメディアを痛烈に批判し続け、安倍政権の崩壊を予見した気鋭のジャーナリストによる最新時論集!
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紙の本
日本はどこへ行くのだろう?
2009/11/17 18:15
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:7ひきのこぶた - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸川柳に「売家(うりいえ)と唐様(からよう)で書く三代目」というのがある。「唐様」とは、中国風の、武士などの上流階級が使う文字体(フォント)のこと。つまり、そういう文字体は、それを使う“おぼっちゃま”を象徴している。一代目が苦労して築きあげた財産を、なんの苦労もせずに受け継いだ三代目は、食いつぶして売家にするしか能がないという意味である。日本の国会議員は二世、三世が大挙して顔を連ねている。それでいいのだろうか。「自民党では、海部俊樹を最後に二世政治家以外の「総理総裁」は誕生していない」、そして本書発行以後、下野した自民党はまたもや谷垣禎一という二世議員を「総裁」に選出している。もっとも、対する民主党とて、鳩山総理自身、四代目と言えなくもないが。
「三角大福中」といわれ首相の座を争った5人は、みんな一世である(最終的には、みんな“総理の座”に着いた)。「三角大福中」の1人・中曽根康弘元首相は「二世、三世は図太さがなく、根性が弱い」と言ったそうだが、まさしく至言である。
著者の経歴は「議員秘書として五年、米紙記者として三年、フリーランスのジャーナリストとして七年、筆者は長い間、政治の渦中にいる」そうだが、大新聞の政治記者上がりのいわゆる政治評論家とは、一味違うようだ。世間の常識とは異なった分析をしていることが多い。一昨年、鳩山邦夫法相(当時)が「私の友人がの友人がアルカイダなんです」という“アルカイダ発言”をして騒ぎになった。マスコミはそこだけ切り取って、鳩山法相の発言の軽率さを責めたが、著者はむしろ軽率なのはマスコミなのではないかという。なぜなら、鳩山法相はそれに加えて、「その男はバリ島中央部の爆破事件に絡んでいた」「事件後に、二回も、三回も日本に来ていたようだ」「いまもテロリストは日本国内にうろうろ」「防衛、警察、法務などの役所に伝えたが、みな動かなかった」。つまり、鳩山法相が真に言いたかったことは、「テロリストの存在を、関係部署に伝えたが、みな動かなかった」のほうで、「アルカイダ云々」は前置きに過ぎないのだ。それなのに、「アルカイダ」のを中心に取り上げたほうが、おもしろおかしいから、表面的な発言で叩いた。
加藤紘一議員がその翌々日の自身のブログに「私と大臣の議論の中で、大臣がアルカイダの幹部の動きを察知していたのは、疑惑ではなく本当のことであることがはっきりしてきました。さらに法務省の入国管理局が、アルカイダの幹部が入国しているという事実を、鳩山邦夫氏から聞き及んでいるにもかかわらず、なんの対応も採らなかった疑いもでてきました」と、記している。どちらかといえば、これまで鳩山法相に批判的な加藤議員ですら、そうなのだる。マスコミは片言隻句を取り上げる前に、情報を収集し、それを分析するのが先ではなかったか。
鳩山法相絡みで“死神事件”もあった。鳩山法相になってから、やけに「死刑執行」が多かった。平成に入ってからの人数は過去最多だという。だから、非難する人がたくさんいる。だが、法務大臣は刑事訴訟法に定められていることに従っているのだ。そして、刑事訴訟法を定めたのは国会である。メディアや弁護士会が、死刑停止を主張するならまだしも、国会議員が反対するのは筋違いだそうだ。
先ごろ、注目を集めた“記者クラブ問題”がある。記者クラブに加盟していなければ、記者会見にも出られないのはおかしい。そういう変な規則があるのは日本だけだと声を上げ、是正を訴えた。政権交代で、いく人かの大臣の耳に届き、記者クラブ未加盟でも記者会見に参加できるようになったようだ。
本書にある《アフリカ開発会議の低調さが示す「援助だけで能がない」日本外交》の【追記:POSTSCRIPT】では、形は違うが洞爺湖サミットのことを取り上げて、閉鎖的なマスコミ(対策)を批判している。「すべての海外メディアは、会場から三〇キロも離れた留寿都のメディアセンターに閉じ込められた。記者クラブ加盟社以外は一歩たりとも会場に近づくことができず、各国首脳の様子もモニターすら設置されていないため、NHKテレビで見る以外に方法はなかった」。だが、そんな理不尽な状況も、みんなに知らされることはない。理由は、放送社、新聞社は記者クラブに加盟しているからである。