- 販売開始日: 2013/10/24
- 出版社: 岩波書店
- レーベル: 岩波科学ライブラリー
- ISBN:978-4-00-007462-9
クマムシ?!
著者 鈴木忠 (著)
乾燥すると樽型に変身.真空,高温,高圧,放射線にも耐え,レンジでチンしても平気──.不死身伝説に満ちた身近な微小生物,クマムシ.その真相やいかに? 研究の歴史や,試行錯誤...
クマムシ?!
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商品説明
乾燥すると樽型に変身.真空,高温,高圧,放射線にも耐え,レンジでチンしても平気──.不死身伝説に満ちた身近な微小生物,クマムシ.その真相やいかに? 研究の歴史や,試行錯誤で飼育する笑いと苦労の物語など,生物研究のオモシロさ満載! 観察方法,ファン必見の超レア物図版も多数掲載! 日本初のクマムシ本,ついに誕生.
目次
- 目 次
- はじめに
- 1 クマムシってなに?
- クマムシってムシ?
- どんなムシか
- 動物の中での位置
- からだのつくり
- 名前の由来
- どこにいるのか
著者紹介
鈴木忠 (著)
- 略歴
- 1960年愛知県生まれ。名古屋大学大学院単位取得退学。
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書店員レビュー
雨ニモマケズ 風ニモ...
ジュンク堂書店福岡店さん
雨ニモマケズ 風ニモマケズ
絶対零度ニモ151℃のアツサニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
放射線ヲアテラレテモ 真空ニサラサレテモ
静カニ樽ノヨウニ耐タエテイル
クマムシ
苔の中でのっそり生きている凄いヤツ
ソウイウモノニ ワタシハナリタイ
福岡店理工学書担当 福田
身近にいたのか!クマムシ!!
2006/08/16 23:59
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おこじょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
クマムシという小さな生き物のスーパーぶりについては、以前からとても気になっていた。体がある状態にな ると、真空の中でも、放射線をあびても、絶対零度の中にあっても死なない…電子レンジでチンしても平気と言われているけれど、本当のところはどんな生き物なんだろう?と思っていた。そんな疑問にも答えつつ、この本はクマムシの不思議について、科学的に力いっぱい解き明かしてくれる。
クマムシといっても、昆虫ではない。8本足だがクモやダニの仲間ではない。体長1mmにも満たないこの生き物は「緩歩動物」という特別な分類をされている。のろのろ歩くので、「緩歩動物門」なんだそうだ。ページをめくるたびに、今まで知らなかったクマムシの素顔が次々あらわれる。クマムシ研究がいつから、どんなふうに、誰の手によってなされてきたのか、研究の歴史にも興味をそそられた。しかし、なんといっても魅力的なのは、クマムシの生態だ。何を食べ、どんなふうに増えるのか、どこでどんなふうに生活しているのか…。実は、陸にも海にもクマムシはいるのだそうだ。何より、身近な苔の中で生活していることを知って、私は最近、苔を見る目が変わってしまった。ありがたいことに、巻末ではクマムシの観察の仕方を紹介している。イラストで知っていた、かっこいいクマムシのイメージは、本書の写真によって実にかわいらしいイメージになっていったが、知れば知るほどクマムシはミステリアスで魅力的だ。クマムシを飼って観察しつつこの本を著わした著者の、クマムシへの愛を感じつつ、私も飼ってみたいと思ってしまった。まだまだ謎がいっぱいのクマムシの続編が著者によってまた世にでてくることを、もう私は待っている。
こういう本から「いきもの好き」が育って欲しい。「可愛い!」「へん!」ブームにのらず、クマムシも
2006/10/15 12:19
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
緩歩動物門というおおきな分類単位に分けられるのにその全体像がまだよくわかっていない動物、クマムシ。この本は「何をしても死なない」みたいな「へんないきもの」として扱われたりする巷の噂に迎合せず、真面目に楽しくクマムシを紹介している。一般向けのクマムシの本としては日本でははじめて、とあるが一般的な紹介としては良い本がでたと思う。
著者の語り口はときにはにやりとさせたりする面白さもあり、易しくもあるのだが、何よりも生物学を著者自身が楽しく真面目にやっている雰囲気が伝わってくる。実際はもっと「最先端」の研究をしているのだろうが、分類や観察、これまでの研究の歴史を中心として書かれているので、それがちょっと古典的な生物学の香りをも思い出させてもくれる。本文中の飼育の描写などは、こちらもわくわくと読んでしまった。「飼えるのか?」という章では昔あった「採集と飼育」という雑誌を著者は懐かしんでいるが、なんでも飼ってみたかった子ども時代の気持ちをこちらも懐かしく思い出してしまう。巻末には観察の仕方の丁寧な解説もあり、ついやってみたくなる。
それにしてもクマムシというのは「可愛い!」と言わせてしまう形態をしているのも事実である。この本に載っているちゃんとした形態の記載図や、走査電子顕微鏡の写真でさえ、幼児のような体型に「可愛さ」を感じさせる要素がある。何十年も前の学術書に記載されたたスケッチを描いた学者も、書いているうちに可愛くなってしまったのではないか、と想像してしまう、肢や頭部。そういう可愛さばかりが強調されるのも「善し悪し」ではあるが。
最初にも書いたが、クマムシは緩歩動物門という大きな分類単位を構成している。良く研究されている、哺乳類や節足動物などとは明らかに違う、独自の体制を持つ一群の生物。まだ我々の知らない独自の生き方を持っていることはおそらく間違いないだろう。「生き物」について、「生きること」について、今後の研究で何かを教えてくれる生物になって欲しい。
こういう本から「いきもの好き」が育ってくれれば嬉しいと思う。出版社が気を入れすぎたのか、ヌイグルミをつくったり、と少し変な方向に誘導されてしまったのではないか、が気がかりではあるが(出版社さま、あまりあおらないでください。)、著者の手を離れたクマムシが、世間の荒波の中(我ながら古いなあ)、「真面目な生物」としてすくすくと育っていくことを祈りたい。
ようやく出版された「ニッポン初のクマムシ本」
2007/04/18 16:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
ようやく出版された「ニッポン初のクマムシ本」である。え,クマムシって何だって? クマムシつうのはですね,緩歩動物門(ヒトは脊索動物門)に属する……というか,正しくは緩歩動物門という門がこのクマムシたちのために造られたというぶっ飛んだイキモノで,頭を含めて5つの体節性を示し腹側の神経系を持ち,関節のない4対の肢の先には爪あるいは吸盤状の指がある。なんでそんなに有名かというと(オレが知らないのに有名かよ,と口を尖らせるなかれ。趣味が違うだけである)この生物,「不死である」という伝説があるのである。
もちろん火の鳥ぢゃあるまいし死なない生物なんていない。この伝説の元になった事実は,この生物が「適度な速度で乾燥すると樽型に変形」し,その状態にあれば「真空,高温,高圧,放射線に耐え,凍らせても平気,レンジでチンしても大丈夫」ということ。で,この本はその不死身伝説の真実に光を当てた日本語で読める初めてのクマムシ専門書,なわけですわ。いやしかしこの本,目の毒サイフの毒である。私なぞ巻頭の口絵を眺めているだけで,これを観察できる実体顕微鏡が欲しくなってしまいましたがな。
不死身伝説の真実が明らかになった!
2006/08/27 18:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
クマムシは近頃、最強の生物、不死身の動物として有名である。マイナス270℃の超低温、150℃の高温、放射線、真空、乾燥、冷凍、電子レンジでのマイクロ波加熱、これらの極限状態に曝されても死なない。これらの情報が流布している。この話を本で読んで興味を持ったが、詳しい事実を紹介した本はこれまでなかったようだ。不死身の噂は実は真実でもあり、誤りでもあるようだ。極限状態の環境にたえられるのは、通常の活動する形態ではなく、ゆっくりと時間をかけて完全乾燥状態になった樽型である。仮死状態でありどの程度の生命活動をしているのかも不明である。しかし、この状態で極限状態の環境に曝された後でも、通常の環境条件の下で水に浸すと通常の活動解体の戻れる。
これまでに読んだ本では、断片的に述べられているだけで、ここまで詳しくは書かれていなかったので、普通の状態で動きまわる虫が、極限環境にも耐えられて生きられるのだと思っていた。それで非常に不思議で興味がわき、その生命力の解明研究が何故生物学会のブームになっていないのか、疑問にも思った。
クマムシは都会のビルの屋上にも付着している苔などにも住み着いている、何処にでもいる1mm以下の小さな虫であること。乾燥した苔を採集して水にひたしておくと、乾燥状態から活動形態に戻ったクマムシが見つかること。緩歩動物門という独立の門(界門綱目科属種)に属するということ。門は三つの綱からなり、新種が次々と見つかっており、名前の付いていない種もいろいろいること。海や温泉にも生息すること。環境、餌、産卵、生長、などの生活誌の概要。クマムシ伝説の由来と真実。クマムシ研究の現状と将来。コンパクトな文量でも以上のことが、分かり易くまとめられている。
八本足の小熊のような可愛い?姿と不死身の噂との組み合わせから、一部の人にはアイドル的存在になっているらしい。私自身も、極限環境にも耐えられる不死身の動物というキャッチフレーズに魅せられてきた。その真実が明らかになり、顕微鏡があれば自分でも実物を採集し観察するのも難しくなさそうで、ますますクマムシに魅せられている。