ザーッと降り続いていたような
2015/03/26 10:55
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投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
窪美澄さんの本は不思議と手に取ってしまう。あまり陰鬱になってしまうような作品は好きではないのに。読んでいても苦にならなかったのは雨が好きだからかもしれない。夜中のあいだずっとザーッと降り続いていたような静かな雨を想起させる作品。
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投稿者:ななこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
官能的なお話が多いです。
さりげないけど鋭い話が好きなので、ちょっと期待外れかな。
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投稿者:ななこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
官能小説的な要素が強く、期待した内容とは少し異なりました。私はセックス描写は苦手なので、この作家はもう読まないかもしれませんが、文章自体はステキかと思います。好き嫌い別れるかと思います。
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作品を発表するたび候補なり受賞なりされている窪さんの新刊は短編小説です。これもものすごく出来が良いから驚きです。どの短編も短さを感じさせない、軽くなく、どんよりとした深い小説。そしてすこし虚しく哀しい物語たち。性と生を描かせたら右に出るものはいないのでは、と毎度思うけど今回も感じさせられました。
直木賞とるのも時間の問題だろうな。勝手な要望としては短編小説ではなく長編小説で受賞してほしい。
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窪さんの作品におけるタイトルや装幀が空に関する事は非常に窪作品の根幹に関るものだと思う。
世界を構成する大地と空と海。
窪という単語から思い浮かぶのははやはり大地であり、在り来たりな事を言えば海は母性の象徴で母でもある窪さんの視線はそこに含まれるとして、だからと言っても息子さんの母なだけで僕ら読者の母ではないのだけども、あとは空だ。
神様とは空の抽象化に過ぎない。太古から人は自然に恩恵を受けながら畏怖してきた、故に崇めてきた。
紙と木で作られた日本家屋は火山の噴火や地震によって何百年に一度すべてが崩壊し、それでも生きていく日本人の日本的な観点だしそれが諸行無常という価値観を日本にもたらしていた。
五つの短編の中には東北東日本大震災にまつわるものが数編含まれている。それは確かに突如起きていろんなものをひっくり返して一部の人が見せたくなったものを露にしてしまった。
その事が起きた現実を窪さんはきちんと物語の中に落としこんで書いている。そこから目を背けないと言われているようだ。その現実の世界で生きている僕らはもう大震災が起きなかった時間軸にはいないのだから。
日々の中でゆっくりと積もる心にある暗いどろどろとしているような気持ちは突然何かの言動で現れたり行動に出るというだけではなくその積み重ねの爆発であることが多い、そのきっかけはほんの小さな出来事だったり何かだったりする。そして、他者のそれに僕ら当人は気付けない。ウインドブレーカーの彼女の言動のような仄暗い想いみたいなものとか。
性への衝動と生と死の狭間でずっと連続運動のようにして続く生活の中で諦めていくもの、数編の終わりにはもう絶望しかないような寸前で物語は終わる。読者にある種委ねる。それは僕ら読者の心の中の湖に大きな石が投げられて波紋が続く。
それは小説だとできるはずだと窪さんはわかっているから書いていると思う。答えを求めるだけではなく受け手に委ねてのその中でいろんな感情を巻き起こすもの。
雨の日に読めば小説の世界と閉じられた世界が繋がり、サウンドトラックは名前の知らない雨の音だ。
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どのお話にも雨が絡む5つの短編。不穏な作品である…共感なんて生易しいものではなく心の奥まで刺す哀しい叫びと痛みさえ感じる。短編でも何れも本当に濃い内容だった。覚悟して読む必要がある…素晴らしい作品を堪能。頁に文字がたくさん詰まった文章は読み応えがある。
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今まで読んだ著者の作品は生きて行けば未来は開けて来ると言ったメッセージが伝わって来たが、これは八方塞がりな未来を感じさせた。あるいは、下には下の境遇の人がいる。今の自分はそれほどでもない。というメッセージなのか?とにかく暗くて閉塞感を味わった。次回作を読む場合は皆のレビューを読んでからにしたい。
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窪美澄さんの本は、「ふがいない僕は空を見た」が出たときから読んでいるのだけど、”生”と”性”がテーマになった作品が多い。
今回の「雨のなまえ」ももちろんそうで、5人の主人公を描いた物語だ。
読後感は決してすっきりするものではないけれど(私の感想では)、この物語に出てくる主人公がいまよりも少し幸せになれたらいいのになと思えたから、きっといい作品なんだと思う。
いいことばかりありゃしない。
まさにそんな人間の生きざまをリアルに描いた1冊。
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内容(「BOOK」データベースより)
妻の妊娠中、逃げるように浮気をする男。パート先のアルバイト学生に焦がれる中年の主婦。不釣り合いな美しい女と結婚したサラリーマン。幼なじみの少女の死を引きずり続ける中学教師。まだ小さな息子とふたりで生きることを決めた女。満たされない思い。逃げ出したくなるような現実。殺伐としたこの日常を生きるすべての人に―。いまエンタメ界最注目の著者が描く、ヒリヒリするほど生々しい五人の物語。
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短編が5個ほど。
最後の3つくらいは大地震の起きたときのお話だった。
日常の中に、受け入れられないものとか我慢してるものがあって、それをうまく消化できずにいると自分で思ってる以上に日常を壊しちゃうのかな。
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またこっち系の話し…って感じの、良くも悪くもこの作家さんらしい短編集。デビュー作はすごくすごく好きだったけど、虚しさや淋しさを伴う性描写から始まる話はやや食傷ぎみ。性行為だとか大地震だとか、刺激の強いシーンを無駄に入れなくても、ちゃんと固定ファンがつく作家さんだと思うのに。
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雨の風景が絡む短篇を集めた一冊。
デビュー作以来のストレートな性表現が特に多いように感じた。
どの話も救いのない結末で、日常は綺麗に終わることなんてないというヒリヒリした感覚が残る。
報われることの少ない人生をどう生きていくのか、年をとるごとに難しさを感じる。
『雨のなまえ』
勤務先の設計事務所が倒産し大型家具店で働いている主人公は、
妊娠中の妻がいながら客として出会った女と不倫をする。
裕福な家庭で育った妻との価値観の違い、常に存在するズレが生々しい。
『記録的短時間大雨情報』
パート勤めをしているスーパーに入ってきた大学生アルバイトにほのかな恋心を抱く主婦の、報われない日常。
一番痛々しい話だった。
『雷放電』
不釣り合いなほど美しく出来た妻を得たサラリーマンの物語。
ミステリ仕立て、全体として現実感がない世界観のため、オチを理解するのに少し時間がかかった。
『ゆきひら』
いじめにより自殺した幼なじみを救えなかったというトラウマを抱えた中学教師。
転校してきた女子生徒に幼なじみの面影を重ね気にかける。
なんだこのラストは、と急転直下の予想外だった。
真実、何が起こったのか明確にはされず、本当のことはわからないけれど、どういう正解にしろ主人公は報われなさすぎていたたまれない。
『あたたかい雨の降水過程』
離婚し息子をひとりで育てると決めたシングルマザーのお話。
唯一良い方に未来が広がっていく感がある。
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決して、すっきりとは言えない読後感。
だからこそ、より生々しく感じる物語。
誰にでも、どうしようもない負の気持ちや感情はあるし
それを消化する方法もある。
けれど、大人になれば色々な理由で消化する事が出来なくなる。
そして、いつか少しづつ、そんな状態にも慣れてしまう。
窪さんの作品は一貫して
生と性
について書かれているが、今回もそのテーマは変わっていない。
地震の事や、結婚・子育ての事など
日常生活の暗い部分や、人に見せたくない部分も描かれている。
私達は登場人物そのものではないが
登場人物達が思い考えている事は、私達のものでもあると思う。
私が窪さんの作品を好きな理由は
どの作品の中にも
誰から言って欲しい言葉
が必ずあるからです。
だから、これから読み続けると思います。
装丁もキレイで素敵です。
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人気があるようだったので手にとったけれど、あんまりのめり込めず途中で読むのを止めようかと思うほどだった。
表現が回りくどく、どの登場人物のことを言っているか分かりにくい。だから同じどころを何回も読み直してしまい、すっと文章が入ってこなかった。
内容にハッとさせられることもなく、頭の上空を物語が素通りしていく感じ。
私には合わなかったのかも…。
先の作品の方が評判がいいみたいだから、そっちを読んでみようかな…。
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短編なので読みやすい。
ただ、短編だから少し物足りなくて不完全燃焼な感じがしました。
どっかで読んだことあるような感じというか。
「あたたかい雨の降水過程」だけ唯一未来に向かって明るい光が射して終わったけれど、他の4編は落ち込んだまま終わってしまいました。
「雷放電」は私の頭が追いつかなかったし、「ゆきひら」は最後の最後が違和感だったし、全体的にちょっと物足りなかったです。