読割 50
電子書籍
大久保利通 維新前夜の群像5
著者 著:毛利敏彦
維新の志士には、夭折したものや暗殺されたもの、過剰な理想主義や正義感のため政府の主流から離れていった者が多い。大久保は一貫して政治の中心に位置し、破壊と建設と二つながらや...
大久保利通 維新前夜の群像5
大久保利通 維新前夜の群像5
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
大久保利通 (中公新書 維新前夜の群像)
商品説明
維新の志士には、夭折したものや暗殺されたもの、過剰な理想主義や正義感のため政府の主流から離れていった者が多い。大久保は一貫して政治の中心に位置し、破壊と建設と二つながらやった。旧体制破壊にさいしては、薩摩藩を挙げて運動の主体たらしめるべく、あらゆる手段を通じて藩中枢に接近し、それを掌握した。新体制確立にさいしては、漸進主義を押し通した。かれのこの政治家としての資質はいかに育てられたか。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
国家の枠組みと後継者を残して去った政治家。
2010/08/05 11:51
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大久保利通といえば、明治新政府の実質的な宰相として知られている。あまりに著名な存在であるため、歴史教科書や小説での大久保しか知らない。
その大久保の姿は冷徹という印象で語られ、対比として人情家の西郷さんがいる。ときに仲間を出汁に使い、ときに仲間を裏切る術を知り、あえてババを引くことはしない。駆け引き上手は政治家の手腕の一つだが、西郷さんの言動に比べると陰湿という印象を受ける。しかしながら、欧米諸国やロシアの脅威の中、いかにして日本という国を独立国として維持していくのかを真剣に考えていた人物と見てもよい。
この大久保が優れているのは、自身の後継者を見出していたことにある。それも薩摩という藩閥にとらわれず、肥前の大隈重信、長州の伊藤博文を財政部門に据えていたことに現れている。この両者、紆余曲折、葛藤、闘争はありながらも、後に内閣を組織するまでになっているので、大久保の眼力は確かだった。
さらに、この大久保の仕事の進め方を見て行くと、欧米流のマネジメント、特にリスクマネジメントを熟知していることだろうか。通常でも三つの手を持っていて、一つのカードでダメなら次のカード、それでも駄目なら第三のカードという具合である。あえて、火中の栗は拾わない。それでいて、進める時には一気呵成に成し遂げる。
もしかしたら、こういう様様な手段は、あえて、大隈や伊藤という次世代の首相候補生に見せつけていたのだろうか。大隈の頑固なまでの意見の主張、伊藤の鋭利なまでの行政手腕に大久保の姿をみる。
しかし、十年ごとの国家としてのマイルストーンを置きながら、明治十一年には大久保は暗殺されてしまう。大久保といえども、やはり、清国やロシアと戦争をしたのだろうか、満洲の経営はどのように進めたのだろうか、そういうところまで考えながら読んでいた。
紙の本
西郷との対比のなかで。
2018/06/26 17:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:気まぐれネット購入者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
盟友とされる大久保と西郷。西郷が温情家、理想論者、民権派、地方分権派というイメージなら、大久保は冷淡家、現実論者、国体派、中央集権派といったイメージか。人気投票ならば西郷が有利となりそうな気がする。
さて、両者の功労は、やはり廃藩置県という刷新だろう。しかし、抜刀令などにより特権を失った士族が不満を募らせるようになる。
そこで、中央集権に対するカウンターとして地方分権によるバランスを模索する中で、士族という公徳ある中産階級の人材活用を図り、いわゆるガス抜きを行おうとする発想が生まれた。
これらの士族の旗印になったのが西郷であり、中央政府の中心となったのが大久保である。このあたりから両者の盟友関係にすれ違いが生じてしまった。
その大久保は薩摩武士でなくとも能力があれば、長州の伊藤博文や佐賀の大隈重信を登用した実務家でもあった。ある意味、冷淡に実力を評価するという手法は、維新が薩摩武士の働きによるものだという意識からすると理解されなかったのではないだろうか。
権力を手中にしていく中で、これまでのような盟友関係を維持できなかった二人。大久保サイドから考察するのも面白い。