カフェとオレの先輩
先輩! オレは「日本一の後輩」になります――。オレ、楠木洋平は世界的な大財閥の御曹司にして、容姿端麗、学業優秀、スポーツ万能の生まれながらの完璧超人。そんなオレには、何故...
カフェとオレの先輩
商品説明
先輩! オレは「日本一の後輩」になります――。オレ、楠木洋平は世界的な大財閥の御曹司にして、容姿端麗、学業優秀、スポーツ万能の生まれながらの完璧超人。そんなオレには、何故かまったく友達がいない! 上流社会で育ったオレには、「人徳」がなかったのだ!! そこで、下積みの経験をして「人徳」を身につけるべく、知り合いのカフェでアルバイトをすることになったのだが、そこにいた先輩達は、ちびっ子、超絶ドジ、ヤンキーと妙にキャラの濃い女の子たちばっかりで……!? 色んな先輩がいっぱいでオレはいったいどうなっちゃうの!? 新感覚カフェラブコメ第1弾開店!
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世間知らずなお坊っちゃまが人徳を得ていく面白さ
2011/03/28 01:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ハルヒ』の世界観を踏襲しつつ、ちょっぴり歪んだ人間関係を斜に構えたスタイルで描いたデビュー作、猛烈に冴えた妹キャラを炸裂させて、(おそらく志半ばながら)兄妹の愛情を描いた2作目。これらを受けてどのような世界観を見せてくれるか楽しみにしていた作者の3作目は、カフェという小さな世界に世間ズレしたセレブ主人公を放り込んで、様々な先輩(ヒロイン)達との関わりから人の徳というものを見つけていく物語だった。ある意味では自分探しの物語と言えるかもしれない。自己啓発的な要素を垣間見せてくれるのは良いと思う。
なかなかナイスなキャラの叔父が経営するカフェでアルバイトを始めた主人公【楠木洋平】の1週間を描いた本巻だが、この作者にしては珍しく(?)序盤のノリがあまり良くない。「日曜日」「月曜日」とエンジンのかかりが悪い感じである。しかし、明け透けな超絶ドジっ娘サブヒロインが出てきた「火曜日」辺りから俄然面白くなる。第1巻ということで手探りな部分も多く、キャラ立ちの足並みも揃っていない中で、このモコちゃんこと【蒼井萌子】は早くも作者が手の内に入れたものと推測する。天然キャラが暴走するのは面白い。モコちゃん2つ目のエピソードとなる「木曜日」の、“しりとり”を逆手に取った構成などは見事と言える面白さだった。他にも「水曜日」でギャップ格差の破壊力を存分に見せつけた【蜂矢アキラ】や、これから面白い過去が見られそうなお姉さん天使キャラの【姫野椿】、そしてメインヒロインであるツンデレの【由比川菜月】と、菜月が洋平へ好意を傾けていく過程がやや唐突にも感じるものの先輩達はまずまず粒揃いで悪くない。
メインの舞台は、この「カフェ・ハーヴェスト」になるかと思うが、このままでは広がりが若干欠けるような気もするところに学校での展開が予見されるオチが出てきたので、次巻ではさらに広がりを見せて楽しませてくれるかもしれない。個人的には、いつになったら洋平がリムジンでの通学・通勤を止めるかを楽しみにしつつ、【レイチェル】と名乗る叔父の挿絵を希望しておく。