量子宇宙を飛翔する雪風はジャムという魔を祓う矢だ!
2016/03/03 15:04
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投稿者:やきとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作「グッドラック」からのまんまの続編。
作者はOVAの「雪風」(特に最終話)に触発されて本作を書いたと思われオープニングを飾るのは「ジャムになった男」ロンバート大佐の地球人へのジャムの宣戦布告からスタート。そして今回の戦場はジャムが用意した「リアル空間」。そこで主人公達の生き残りをかけた戦いが始まるのだが・・・このリアル空間、ジャムや戦闘知性体が認識してる世界で作者の別の作品「敵は海賊」のラジェンドラが対人意識機能というフィルタを通さないで記述した世界に非常に似ている。
普通の人間には認識できない世界であり、零たちFAFの特殊戦は雪風やジャムが中継して強制的に認識させた「リアル空間」に放り込まれる。そこは可能性の海であり時間も空間もあまり関係ない、ある意味何でも起こりえる世界。物語の前半はこの「リアル空間」が何なのかの考察、そして後半はこの空間からの脱出にフォーカスされる。自分たちがどこにでもいてどこにもいないという量子的に未確定な状態にいるということを理解したうえで「雪風と零」と「ジャムとロンバート」は自分達が本来帰るべき世界への確定をかけて超空間通路の先の地球を目指す。。。。
いやー本作もマジ面白かった。でも内容が難解なのでこれが物語の骨子(核)だと思っているとどんどん論旨が展開されていって流されてしまい結果、あれ?さっきは何の話ししてたっけと置いて行かれたことが何度もあった。その意味ではこの物語を理解することは作者と読者の戦いでもある。
今回気に入ったのが「人は真の自分を理解できない」という下り。何故なら自意識とは無意識の上に載った仮想なもの(代理人)であり無意識下の本人すべてを表現(言語化)することはできないとし、ジャムが人を認識する為には言語化したもの:自意識を通じしてしかできないというこの皮肉。前作冒頭の「我は我である」というジャムのフレーズもこの意味を知って読むとまた違って見えてくる。
しかし一番すごいのはこれだけのボリュームを使っても、雪風という物語はほとんど進んでいないということ。
1週間ぐらい進んだ?
ギガースを読んで
2015/09/10 00:30
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投稿者:yasu - この投稿者のレビュー一覧を見る
ギガースを読んで、そのあとがきに「戦闘妖精・雪風」の紹介があり、読み始めて3巻の本書を購入。まだ、読んでいないけど、楽しみにしています。
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遂に文庫化を発見し、即買い。
前2作と異なり、(文章の中で)現実なのか非現実なのかという点が、非常に分りづらくなってしまっている。
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この文章を書いている私や、これを読んでいるあなたがいま、雪風のコクピットに座っていないと、どうして言えるだろう。
いまあなたが思い浮かべた「言葉」は、確かにあなた自身が生み出したものだと、どうして言えるだろう。
なんてことを考えずにはいられなくなります。
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雪風3作目。どんどん観念的な世界に入っていくなあ。今までが非常に冷たい世界観だったように感じていたが、今度はより感覚的な世界観になった。
ジャムとの戦いは総力戦となった。その最前線、特殊戦が直面するのは凄惨な殺戮…(も一部あるけど)ではなくて、ヒトや機械知性の<意識>や<自分>とは何かという哲学的な問題。重い。これはエンターテイメントではない(良い意味で)。
それこそ哲学スキーなジャックが楽しそうで楽しそうで仕方ないのだが、物語各所で登場人物がそれぞれの「意識を独白」する場面があり、(読んでいるとやや退屈だけど)それが物語の重要な線になっていて、クライマックスはちゃんと盛り上がっていく。面白い読ませ方だと思う。
内容は観念や概念を中心に持ってくるので、今までより読みにくい感はあるけど、この本は多分、読む人によって印象がかなり異なるんじゃないだろうか(本って元々そういうものだけど)。それこそ、登場人物たちの持つ世界観がそれぞれ異なるみたいに「読んだ感想」ではなくて「本に対する印象」そのものがずれるだろう。そういうずれも含めると、これはもっと面白く読めるかも知れない。
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一気に読んだ
前作を読んでからそんなに経ってないと思っていたが、10年近く経ってたらしい
第一作目からまた読み直したくなった
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皆が認識をハックされてしまい、雪風/ジャム/他人の視点でものを見る、というわけのわからない状態に。何が何だかわからないのに面白いからすごい。雪風と大尉は今回もラブい。
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グッドラック 戦闘妖精・雪風の発売から10年.
待ちに待った続編がアンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風です.
地球への侵攻をもくろむ異性体ジャムはこれまでと異なったアプローチを開始.
戦争を見守る者,ジャムとなろうとする者,対抗しようとする者,それぞれの視点から物語は進められ,それらを伏線とした物語で人類とジャムの攻防が新たなステップへと進められます.
実に600ページ以上の大作で読み応え満点.
ハードなSFらしい内容にSF小説好きには堪らない一作品です.
逆に読みなれていない人には辛い作品かな.
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難しい。なんか観念的過ぎてよくわからなかった。神林長平の本を読みなれている方であれば集大成として楽しめるのではないであろうか。
「グッドラック」までは割とエンターティメント性も合ったのだが、ラストを除き、この本にそれを求めてはいけない。神林ワールドにどっぷりつかりたい人向け。
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「雪風」シリーズ三巻目。最高です。文学作品としても、SF小説としても、人間存在を扱う哲学書としても見事に成立する傑作。こんなやり方があったのかと感動し、戸惑ってもいます。
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時間がかかったが、読了。
神林長平は、凄い凄いと思っていたが、やっぱり凄いとまた思った。
彼はフェアリィにいるんじゃないだろうか。
作中、膨大な情報処理を無意識にこなしているが、人はそのごく一部しか意識出来ないし、無意識下において考えられたことを言葉として意識上に登らせているのも、ごく一部だ、と云う様な事が書いてあった。懇切丁寧に、繰り返し繰り返し。
それは感覚としてはとてもよく分かるし、「何となく」身に覚えがあることだ。
だけど、それをこんなにはっきりと言葉として物語として形にできる神林長平と云う人は、人って云うか最早彼がジャムなんじゃないだろうかと疑いたくなる。
作家とは、こんなに凄味のある存在なんだなあ、と思った。
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相手が人であれ機械であれ異星体であれ、コミュニケーションがいかに重要な意味をもつか思い知らされます。
そして何より重要なのは自分を意識すること、さらにいえば無意識を意識すること、でしょうか。
自分の無意識すら、言葉であらわさねば意識できない。
考えてみれば当たり前で、人間は普段から無意識でこれをやっているのが面白いですね。
このことをキャラクターの心情や会話を通して、丁寧すぎるくらいに丁寧に論理的に、かつ分かりやすく説明する作者の力量に感服します。
冷徹なまでに論理的に言葉を操り物語を成す。これぞSFといった感じですね。
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「言葉」と「意識」、「機械」と「人間」。それらのキーワードをコミュニケーションという別のキーワードで繋ぎ合わせたような雪風シリーズ3作目。
深井零やブッカー、リン・ジャクスンら人間よりも機械知性体としての雪風のパーソナリティが全面に出てきた。そして物語はより哲学的な思考へダイヴしていく感じ。
30年を経て雪風をどう着地させるのか、今後も期待したい。
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シリーズ物の第三作。表紙が戦闘機の割には巻を追うごとに空戦描写が減っていきます。今回は登場人物それぞれの世界の認識に関するお話でした。人物の会話は、なんだかとてもややこしい。1回じゃわからないな。もう一度通しで読んでみたいが、前二冊を実家においてきてしまった。
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3冊を一気読みしました。巻が進むごとに難しくなって会話が増え皆さん饒舌です。
アンブロークンは★4かなと思ったけど最後のシーンがよかったので5つです。
哲学的で疲れますがやっぱり面白く、次も読みたいです。