商品説明
正岡子規と律、壮絶な兄妹愛。結核で若き命を散らした俳人・子規。無償の愛で、兄を支え続けた妹の律。死病と闘う日々、兄は妹に何を伝えたのか。生きるとは――今日を諦めないこと。書き下ろし長編小説。余は今迄禅宗の所謂悟りといふ事を誤解して居た。悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思つて居たのは間違ひで、悟りといふ事はいかなる場合にも平気で生きて居る事であつた。――<正岡子規「病牀六尺」より>
著者紹介
鳥越碧 (著)
- 略歴
- 1944年福岡県生まれ。同志社女子大学英文科卒業。商社勤務ののち、「雁金屋草紙」で第一回時代小説大賞を受賞。ほかの著書に「あがの夕話」「一葉」「漱石の妻」など。
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紙の本
全力で書評しました。
2007/11/21 23:23
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直に、結論からいって、すごくつまらない本だと、私は思いました。
つまらない、と一言で片付けてしまうのは簡単だから、
つまらない理由を全力で説明しようと思います。
原因その一。あまりにもありふれた設定
兄を理想の男としてとらえ、妹が兄に恋をしてしまうという、
もうすでに何度も見たありふれた展開が、
4分の3ぐらいえんえん繰り返されています。
これを後半の子規を看病する妹につないでいくわけですが、
その展開も意外性がまったく感じられなかったし、
予想通りすぎると思いました。
原因その二。語り手の立場が中途半端
語り手は3人称の語り手なのですが、
情報量が中途半端で、すごく歯がゆい。
妹・律の感情描写がおりおり入ってきますが、それが功を奏しているとも思えない。
律の一人称にしてしまうか、ものすごく情報をもった三人称にしてしまうかぐらいにしてほしい。
律は「兄のやっていることはどういうことかよく知らない」という設定なのですが、
語り手は、正岡子規についての教科書程度の知識はある、という感じ。
私は正岡子規について軽く勉強したことがありますが、
正岡子規の功績というのは、あまりにも手広く、深く、後の時代に大きな影響力をもったもので、それは私にもよくわかりました。
それをこの程度の知識で語るのは、あまりに浅くて残念です。
何も専門的なことを書きまくれとはいいませんが、
生半可な勉強では立ち向かえない相手なので、
もっとたくさんの知識で裏打ちしておいてほしかった。
褒めるべきところがあるとするならば、
子規の死因となる病気、脊椎カリエスの病態をよく調べ、
痛みに叫ぶ子規を表現したことです。
しかし、素人がいうのは失礼かもしれませんが、、
正岡子規は筆まめで、
病床でのことを描いた随筆も残されており、
参考文献もめちゃめちゃにあるでしょうから、
そのレベルなら、どんな作家でもできるのではないでしょうか。
この作家にしかできない、という決め手もなかったし、
また正岡家だからこそ、といえるものもありませんでした。
どんな作家でも書きうる、ありふれた兄妹の話でした。
私はもっと、理屈で説明できない正岡家における兄と妹の情がよみたかった。
読めども読めども期待を裏切られました。
裏切るなら、面白い方向にしといてよ。
お金をとって人に読ませるなら。
全力で長文でけちつけて、失礼しました。