投稿元:
レビューを見る
「NOVA」での短編は特になんですが、
精緻ではない、鉛筆で書かれたラフ設計図のような文体が SF的美しさを際立たせていると感じました。
文庫化されたのでもう一度読んでみたいと思います。
「忘れ去られたプログラム」というSF的ロマンも秀逸。
投稿元:
レビューを見る
『グラン・ヴァカンス』の前日譚を集めた短編集。前作で残された謎の一部が明らかになり、緻密な設定の一端が伺える。阿形渓や<数値海岸>など退廃的で美しい登場人物、舞台が複雑に絡み合うのもたまらない。
投稿元:
レビューを見る
廃園の天使シリーズ中・短編集ということでしたが、一作目の背景が語られていて面白かったです。一作目で、イマイチぴんとこなかった用語にも説明がついて、ほっと一息というか。
表題作も好きでしたが、ランゴーニの過去が語られる『蜘蛛の王』が一番楽しかった。彼にもナイーヴな少年時代があったんだなぁみたいな…。
投稿元:
レビューを見る
「グラン・ヴァカンス」に引き続き、とても良かったです。「夏の視硝体」は前作の後で読むと切なくなりました。
個人的に最も印象に残ったのは「魔述師」。これ、未来版『非実在青少年』問題…ですよね?
現在リアルに起きている論争に関しては、フィクションを愛する者の端くれとして規制に反対ですが、この作品内の<ダイ・イントゥ>の行動には一定の倫理的正当性がある、と感じてしまう。そんな自分に気が付いて少しだけぞくっとしました。
フィクションは現実を直接的に変えたりはしないけれど、優れたフィクションは現実を解釈する私達の内面を揺さぶる。
文章の持つ力というものを見せ付けられた気分です。
投稿元:
レビューを見る
スピンアウトもの、という範疇ではないのだけど、続編ものの短編集でここまで質が高いものはなかなかない。ほのめかす程度に物語が絡み合っている、そのさじ加減がたまらない。
投稿元:
レビューを見る
作家「飛浩隆」はSFとしてのフレームワークがしっかりしている事が好きな理由であるが、SFであるのに多彩な色・香り・風景・音などを感じられる希有な作家であると理解している。物語の内容については前作で語られなかった背景や、異なる平行時間の物語の入った短編集。期待が裏切られることは無いと約束する。
SFファンでなくとも本シリーズは読んでいただきたい作品の一本である。またこれは個人的ベストSFランキングの中では比較的近年にランクインした作品でもあり間違いなくベスト3に入る。
追伸:いつも読み返す時期は冬~春であり、これから暖かくなって行き、初夏を迎えるまでには「夏の扉」を読み返してみたくなる不思議な物語。
投稿元:
レビューを見る
前作の『グラン・ヴァカンス』は寓話的すぎて物足りなかったが、こちらを読むことで〈数値海岸〉の世界観の深みを感じることができた。
投稿元:
レビューを見る
前作よりこっちの方が好きだけど、前作を読んでないと面白くないです。世界観が解明されてくる短編集な感じ。あっち側とこっち側の話が交錯してます。「ラギッドガール」と「蜘蛛の王」が特に面白かったです。見事な世界観。ゆるぎないですね。
投稿元:
レビューを見る
「ぼくはね、現実世界に対してなんで右クリックが利かないのか、それが子どもの頃から歯がゆくってさ」
「ばかみたい?でも私は気づいてしまったの。小説の酷い場面に眉をひそめている私たちこそが、ほんとの実行犯なのよ」
投稿元:
レビューを見る
前作、グラン・ヴァカンスの続編。
表題作はアンソロジーで先に読んでいたがいまいちピンとこなかった部分があった。だが前作のグラン・ヴァカンスを読んだあとではすっきりした。
グラン・ヴァカンスの続き、別視点からの話なんだなと。あのVR世界の開発者や大途絶の原因の事件を描いている。
いつもどおりの残酷な世界。思うにこのようなVR世界だと世界破滅ものが不自然ではない。んまあ現実世界以上に魅力的なものをもってこないと説得力がないが。
箱庭世界で神として世界をコントロールしたい、徹底的に破壊したいのは人間としての業なのかと読後に考えた。
VR技術として「似姿」という方法をもってくるのは非常にリアルだ。面白い。
さて、三部作の最終巻はいつ出版されるのかなと……
投稿元:
レビューを見る
グラン・ヴァカンスでは描かれきれてなかったところを補完した短編集。
AIの人権。情報的擬似の心。制作者と利用者のエゴ。そして読み手への当事者意識。
謎は解けた。あとは3部を待つばかり。
投稿元:
レビューを見る
『グラン・ヴァカンス』を読んだのはたぶん1年ぐらい前だけど、これは連続で読めば良かったなー。
『グラン・ヴァカンス』を読んだときは、”数値海岸”、”夏の区界”…etcと一つ一つの単語からも感じる凄まじいこだわり、静謐ってこういうことだなと思わされる文章力からなる見事な世界の美しさに圧倒された。そして、それとは全く正反対とも思えるんだけどやはり美しい残酷な痛み・苦しみの表現、これも本当に凄かった。
本書でも飛浩隆の書く世界の美しさというのは改めて感じ入った。が、それよりも彼の書く世界というのが”数値海岸”の中だけでなく、ちゃんと現実の理論があってフィクション(数値海岸)があるとまで練られているところが驚きだった。もちろん、この現実の理論もフィクションではあるのだが、まるで別世界か遠い未来でも見てきたんじゃないかと思えるほど虚構が理に敵っている。第三作が本当に楽しみです。
投稿元:
レビューを見る
グラン・ヴァカンスを読み終えてから、だいぶ時間をおいての読了。
飛作品には、生と死が溢れている。
生と死が、モザイク状に作品を形造っている。
数えきれないほどの側面があるように見えても、生と死には実は境界はなくて、時には全く一続きのものにも見える。
どのように生きるのか。
自分の、どの欲望に沿って生きるのか。
どのような死を選ぶのか。
自分の、本当の欲望はどんな形なのか。
そんなことを問われている気がした。
投稿元:
レビューを見る
先にこっちを買ってしまった廃園の天使シリーズ。面白かったので①を読もうと思ったら、地元の本屋は全滅。
投稿元:
レビューを見る
長編よりも中小編の方がやはり切れ味が有ると改めて思いました。
前作「グラン・ヴァカンス」の伏線を回収していく中編集。
あちら側とこちら側の視点で描かれるどちらの世界も美しい文体で綴られ、
最早中毒気味です…次回作が楽しみ過ぎます!
「魔述師」「蜘蛛の王」辺りが個人的には好み。