孤独な夜のココア(新潮文庫)
著者 田辺聖子
察しの悪い恋人にいつもイライラしている〈かおり〉、からかい半分の同僚の言葉を信じ、男性に大きなバースディーケーキを贈るケチな32歳の〈ちさ〉、年下の男性に恋をし、エープリ...
孤独な夜のココア(新潮文庫)
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商品説明
察しの悪い恋人にいつもイライラしている〈かおり〉、からかい半分の同僚の言葉を信じ、男性に大きなバースディーケーキを贈るケチな32歳の〈ちさ〉、年下の男性に恋をし、エープリルフールに妊娠を告げる〈和田サン〉。大人の女性の恋愛を、辛くも優しく描写した12の珠玉短編集。
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書店員レビュー
『新源氏物語』で知られる田辺聖…
ジュンク堂書店高崎店さん
『新源氏物語』で知られる田辺聖子による恋愛短編集。“恋愛小説”と聞くとどうしても構えてしまい読まず嫌いをしておりましたが、この『孤独な夜のココア』はすんなりと読むことができました。
12編の主人公の女性みんな、精一杯に恋をしています。彼女たちの柔らかな語り口と親しみやすい関西弁に魅せられっぱなしで、読み進めるうちに友達の相談を聞いているような気持ちに……。そんな心を許せる親しい友人の様な一冊です。
ところで、本作にタイトルと同じ『孤独な夜のココア』という短編は見当たりません。収録されている12編をひっくるめてのこのタイトルかと思われますが、読後、このセンスの良さに感服しました。
実用担当・K
濃厚でほろ苦いココアをゆっくりと味わう
2010/12/08 18:31
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
旧版を持っていた。
そしていちおうひと通り読んだ記憶があるが
当時のわたしには
この芳醇なココアを味わうことができなかった。
時を経て、かわいらしい表紙に生まれ変わった
2010年バージョンにめぐり合い、
読んでみて文字通り「胸が熱く」なった。
ここに出てくるのは
ほとんどが20代の女性たち。
まるでおしゃべりを聞いているかのように、
鮮やかに紡がれる彼女たちの物語。
女たちのせりふばかりでなく、
男たちのせりふの、なんと粋なこと。
恋ばかりでなく、日々の仕事や些事が
きちんと描きこまれていること。
むずかしい言い回しなどまるで使っていないのに
なんだか感心させられる表現の多いこと。
知らなかった。こんなに深い小説だったなんて。
一瞬、損をしていた気分になったが
このタイミングのめぐり合いに感謝しようと
思い直した。
12編のお話には
ハッピーエンドばかりでなく、ほろ苦い余韻を残すものもある。
カカオが多めの、ビターなココアは、心に沁みる。
立ち上る湯気と香りが、全身を温めてくれる。
そして、もう一杯、おかわりしたくなるのだった。
ふと思い浮かべたものは。
2010/08/19 20:06
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
しんとした静けさのなかにある、心をあったかくするもの。
この本のタイトルを見て私が思い浮かべたのはこんなイメージだ。
「孤独な夜のココア」というタイトルの作品は、実はこの本には納められていない。
12の心がきゅっとする物語が収められている。
著者の描く女性たちは皆、しっかりとした芯を持っているように思える。
恋愛も、仕事にしてもそう。自分なりのスタンスで日々を生きているのだ。
芯はあるけれど、たまにぶれたり惑わされたりもする。
その気持ちの揺れが繊細に表現されていて、心をつかまれる。
一番好きなのは「エープリルフール」だ。
大切な用件をちゃかしてはぐらしたものの、相手のほうが一枚上手。
最後の最後の場面で、グッと来た。
「春つげ鳥」も淡々と描かれている分、主人公の気持ちが浮き彫りになっている。本当は彼女が抱えているのは深い悲しみなのかもしれないと感じさせる。
冷静に自分の心と向き合っている彼女達。
そんな女性になれたらといつも思っているのだけど。
なかなか上手くいかない。
タイトルが良いですね
2023/11/30 11:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
当時の社会情勢や労働環境、職場慣行など昭和の香りたっぷりで書名が素敵すぎます。男女のほのかな感情交流から濃やかなものまでさまざまに切り取った十二編が心地よいです。
寄り添ってくれるお話たち
2020/07/19 12:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏凪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに惹かれて。
この本に出てくる女性たちというのは本当に自分の周りにもいそうな方ばかりです。そのみずみずしい空気を持ちながらも、実際にこのお話が書かれたのは昭和の年。私よりも遥かにお姉さんです。
そういえば、女性たちの雰囲気はとても身近に感じられるのに、ふと出てくる言葉の中には聞き慣れないものがありました。それでも、このお話に出てくる女性たちに親近感を覚えたり、共感できたりするのは、女性を取り巻く人間関係や悩みというものがいつの時代も変わらないものだからなのかもしれません。
それが良いことか、改善すべきことかはわかりません。でも、夜にひとりで過ごすとき、傍にいてくれるような、ほっと一息つけるような、そんな一冊でした。
気に入ったタお話は『エープリルフール』、『ひなげしの家』、『ちさという女』、『中京区・押小路上ル』。
成人女性向けの絵本集
2011/06/30 19:15
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
孤独な夜のココア 田辺聖子 新潮文庫
全部で12編ある短編集です。1篇は10分もあれば読める短さです。前半のものは創作、後半は作者の実体験ぽい。いずれの作品も女性の気持を文章にした内容となっています。登場する女性たちは、現在60歳前後となっている世代でしょう。彼女たちの20代から30代にかけての経験となっています。
22歳年上の男性を愛してしまったわたしが登場する「春つげ鳥」、ときおり作品に登場する「りちぎ」という言葉から伝わってくる可笑しさ(おかしさ)を伴うまじめさ。そのまじめさが、ラストシーンで、涙になったり、笑顔に変わったりするのが、この短編の手法であり特徴です。
男から見ると、男性心理の考察は、ちょっと違うと思わせる「雨の降ってた残業の夜」にあるようには、男は年上の女性を好きになれない。このパターンが引き続く「エープリルフール」では、年上女性が年下男性とつきあうときの年上女性の気持が記されています。この短編は逸品で、内容は女の「夢」です。
密(ひそ)やかな女の欲情を表現した「春と男のチョッキ」。昔のOL話です。(オフィスレディ)。
共働きの末、夫が女をつくって出て行ってしまう「おそすぎますか?」は、すべて、女性の責任ではない。作品全体をとおして、上品な薫り(かおり)がただよっています。標準的でないのは、男性相手が父親と同じような年齢であったり、逆に年下であったり、また、働かないヒモであったりします。それでも幸せというときもあるし、そうではないときもあります。各短編のオチは、あっけない終わり方をします。その瞬間、読み手は静かな気持になります。
胸を突かれるラストを迎えたのが「ひなげしの家」。絶品です。
学校の話は読みたくない。「愛の缶詰」。学校生活はほとんど楽しくなかった。今でも特殊な世界だったと思う。短編集の中盤から登場するのが大阪弁で、そのひとつが「ちさという女」です。総体的に、おとなの女性に読んでいただく成人女性向けの絵本集となっています。
ヒモ男を養う女性を描く「石のアイツ」、実話かなと思わせるのが、「怒りんぼ」、京都町家暮らしの維持推進を図ろうとする「中京区・押小路(おしこうじ)上ル」。全般的なこととして、小品がたくさんで、読むのに苦労しました。
苦くて甘い
2020/04/30 23:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あおたいがー - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和の恋愛小説集。
読みやすかった。
時代が古いのもあってなのか、なんだか昔の方が色々と時間がゆったりしていたり、想いが大人びている感じがして憧れる。
もちろん時代故の女性の生きづらさみたいなものもあって、男性をたてたり、結婚すべきとか固定観念のようなものは嫌だけれど。
じぶんが生きていない(キオクとして経験していない)自大って、なんだかいいなと思った。
程よい長さ
2017/10/23 16:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々なコインワンシーンを描いた、という印象を受けた短編集。ひとつひとつが短めでさらっと読めました。もうちょっと深く読みたいと思うものもありました。