紙の本
著者は一番の作と言っておりました。
2013/09/04 13:55
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投稿者:おこめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
私としましては、私小説などのジャンル分けをする前に、この人たちの行動のその心境を、度々ページを閉じては考えさせられた作品であると言いたいです。
きっと、本音だけで書いたらこういう作品になるのだろうな、とも思いました。
編集や書籍を扱う人の手をよく通ったなとか、ついつい裏側を考えてしまう程、この時代に出せた奇跡も念頭に。
男性にはちょっとお勧めしにくい作品…でも容赦ない現実とそんなに変わらないかな~とも思ったりしています。
「かがみ」のような作品です。
紙の本
半世紀前の作品
2016/09/26 15:55
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投稿者:端ノ上ぬりこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
知子は離婚の原因となった若い男性凉太と再会し、8年間不倫関係にある慎吾との間で揺れる。慎吾の妻と、凉太との4角関係でドロドロになりながら、生きていく知子。
いまから50年以上前の作品とは思えない内容で、よく出版されたと思う。心のありようが細かく描かれて、ある種のみずみずしさも感じる。寂聴さんは若い時からすごかったということですかねえ。すごいとは、変な意味ではなく凄みというか達観してるというか、とにかくすごい。自分の語彙の少なさにイライラ。適切な言葉が見つかりません。
電子書籍
知子は、
2021/11/12 22:29
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
確かに世間一般のモラルに反するし、法的にも民事裁判では損害賠償を請求されるようなことをしています。しかし、その感情のおもむくままに、と、考えたら知子の気持ちは理解できなくもない。一方、分からないのは妻の気持ち。こんなに割りきれるかな……
紙の本
昭和の女傑誕生す
2003/01/15 23:35
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
女は怖い、です。
今や古典に説法にTVにと八面六ぴの大活躍の寂聴さんですが、この作品の主人公は妻子ある作家と不倫関係にあり、かつ若い恋人との間を揺れ動くお話。内面の吐露が微細余さず描かれます。
女ってこーゆーこと考えてるのかー。そしてこういう風に泣くのかー。はぁー。
若い頃は美人でモテモテだったんでしょうね。そして現在までにいたるわけだ。いや、今の寂聴さんだってだって活力に溢れて十分に魅力的、まだまだいけます。
昭和の女傑誕生の瞬間です。
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非常に不安定な状況設定に関わらず、落ち着いた筆運びで、かといって河野多恵子のような息苦しさもない。そのバランス感覚は面白いかもしれない。
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彼女の半生を宮沢りえ主演のTVドラマで見て、読んでみたいと思った。
2人の男の間で揺れる女心。人にはいろんな考え方があると改めて感じさせられた。
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Dec.21 2007
不倫暦8年。そして復活した恋と平行して数ヶ月。なんのやましさも感じなかった主人公、知子はふつうの感覚を取り戻さなければと必死だが、そんな心と裏腹に別れの覚悟が決まらない。
不倫されている妻もあまり騒ぎ立てないのは、経済力のない夫を不倫相手の知子が援助し、家庭には経済的ダメージを全くもたらさない、そのうえ家庭ではよき夫で、よき父であるからだろう。亭主留守で元気がイイ!って。。。
きっと三角だからこそバランスの取れた家庭、不倫が成り立っているんだと思う。
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男と女の不毛な関係をうまく描いています。最初に読んだ時は理解出来なかったのですが、読むたびに味わい深い一冊です。
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瀬戸内寂聴さんのお話を聞きに行ってその場で購入。
84歳にして あの声の張りといい、しゃきしゃきしたしゃべりといい
すごい人だな と思う。
これから書く小説は今までと違ったものにしたい。
妥協することなく、自分の可能性を信じてる。
話の中で一番印象に残ったこと。
一緒に暮らしている男性が毎晩々泥酔して帰ってくるので
”なぜ”かと問うたところ
”この家には気迫にみちている。見えないガラスの壁があって
家に入るためには、それを割らなくてはいけない。だから
酔わなくては家に入っていけない”というのだそうだ。
小説を書く寂聴さんの、気合や気迫、魂などが家中に満ちていて
とても入っていけないのだと言う。
それを聞いて、即座に”別れましょう”と言ったと。
うーーーむ
ガラスの家かぁ。仕事をしているしていないに関わらず
世の中の夫たちは、見えないガラスを感じているのだろうか。
などと思ってしまった。
寂聴さんの、何事にも真摯に取り組む姿というのがそこにあって
鬼気迫るものを感じたのだろうけど、きっとそこは
その男性が求めている 安らぎとか癒しの場ではなかったのかな。
と感じた。2006/8
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ここまで正確に書き連ねられる冷静さが、
美しくはかなく、彼女を頑強にする。
習慣による常識の逸脱や、
それによって発される異様な存在感。
これを読むことで、私も整理された。
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「あふれるもの」「夏の終わり」「みれん」「花冷え」
主人公は官僚かなにかの妻だったのだけど
終戦後の混乱のさなか、男をつくって家を飛び出してしまう
それはもしかすると
戦争に負けてなお国家によりかかる生き方しかできない
そんな亭主への失望があって
そういうことになったのかもしれないし
またそうではないかもしれない
どっちにしても、その年下の男とは長続きせず
次には売れない小説家の愛人となって、8年間をやり過ごすのだが
そこに再び、かの年下の男があらわれるのだった
…どうも主人公には
オイディプスやエレクトラに自らを擬そうとする願望があって
そのためのお膳立てを無意識におこなっているようにも思えるんだが
そんなことで周囲の人間が、望みどおりの役を演じてくれるわけはない
結果的にこれらの短編群は
再現不可能性を通じた物語批判となっており
そういう意味で
戦後自然主義のありようを非常にわかりやすく…はないものの
あらわしていると言えるだろう
「雉子」
雑誌の取材で、堕胎手術に立ち会う主人公だったが
そこにおいて彼女が発見したのは
自分こそ、娘に殺されるべき存在であるという事実ではなかったか
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2013.9/20 初瀬戸内寂聴作品。時代の空気感が目いっぱい漂ってなかなか良かった映画。人間関係をも最小限の台詞で空気感だけで伝える感じがもやもやさせられて、即原作買いに走ったのにどこも売り切れ...しょうがなく図書館で借りましたが、昭和41年初版本定価90円って、新潮社は販売戦略を間違ったようですね(;^_^A 読んでみると、著者の細に入り微に入りの心の詳細な描写を台詞ではなく演技で見せてくれていたんだと納得させられます。また、やるせない気持ちの描写に幸田文との類似を感じました。
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不倫と頭ではわかっている、それでいて年下の元彼とも。でも抑えられない気持ち。夏日に不倫相手の自宅を目指してさまよう描写がお気に入り。瀬戸内さんホント題名つけるの上手い。
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読書会の課題図書。
瀬戸内寂聴さんのことはテレビでたまに見かけるぐらいしか知らないし、本も初めて読んだのだが、とても「女性」を感じた。
「恋」が「愛」に変わっていく様や、「習慣」が想像以上に人を支配し安住させている様や、それらをスパッと断ち切ることのできない様や、恋の終りの冷静なすがすがしさや、それらのあくまで個人としての女と男のダメな感じや、人間的なもどかしさなどがそっと心に寄り添う感じであった。
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初の寂聴さん作品。一人で生きるのも大変な今、不倫なんて絶対できないと思いつつ、主人公の女性の心も理解できるところがあり。最後に男性との別れを実感、確信するくだりは特に響いたな。私もそんな年齢になったってことか。