紙の本
ドストエフスキー五大長編のひとつ
2021/01/13 10:05
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投稿者:kisuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドストエフスキーに凝っている父のために購入しました。
激動の人生を送ったドストエフスキーですが、家庭人としては良い夫、愛情深い父だったそうです。口述筆記のために雇ったアンナさんと結婚し、借金に暮らしながらも幸せだったそうです。ちなみに借金は、お兄さんが残したもの、面倒をみなくてはならない親族がたくさんいたこと、加えて自身の賭博癖によるもので、アンナさんの服を売り払ったため彼女が外出できなかった、というエピソードさえ残っています。
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未成年とは、主人公のアルカージイでありその父ヴェルシーロフであり、そしてようやく農奴解放が成ったばかりのロシア自身の姿であるのかもしれません。
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散漫な印象ながらもかなり面白かった!
高い理想を掲げながらも、混沌とした現実に巻き込まれる主人公アルカージイの一人称で語られる文章と心情がリンクしてて、狙ってこの文体を書いた
のならドストエフスキーはやはりさすが!というほか無い。
この頃のドストエフスキーは保守派の思想なのだが、決して社会主義を排他するものでないのが分かる。社会主義=無神論では決してなく時に矛盾す
る「民衆の心理」を鮮やかに提示している
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『未成年・上巻』の終盤あたりから面白さが増してきて、下巻は過去に起こった出来事や事件が、主人公・アルカージィを通しながら明るみになってゆく。
感銘したのは、アルカージィと実父ヴェルシーロフが感情をむき出しにして、じっくりと語り合うシーン。
父親をだんだんわかりはじめてきたと率直にその場で告白する息子と、父親は息子のナイーブな喚声が大好きだと言いながら、語る言葉一つ一つに深い思想がしみとおっている。
『未成年』はアルカージィの成長過程を描く手記で、回想と記述のプロセスによって自分自身を再教育している。
私が個人的に好きな登場人物、タチヤナ・パーヴロヴナ伯母さんは、主人公をバックアップするいい立役者であり、最も厳しい教育者であったように思う。
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片手で人物相関図を作りながら読んだのがかなり助けになった……。
『白痴』や『悪霊』なんかに比べると"日常"との距離が近いような印象を受けた。生きている人間の体臭さえ感じさせるリアルさがあった。一人の未成年者が巻き込まれた怒涛の出来事の連鎖と彼の成長。1300ページ?ぐらいあるうちの半分はほぼ一気読みだった
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私には難しかったです。まず登場人物の名前! 同一人物でも何の断りもなく複数の名前で呼ばれるので、中盤辺りからは誰が誰やらわからなくなってしまいました。そこを圧して最後まで目は通しましたが、テーマも非常に複雑で、どこがメインで、なにをどう考えれば良いのか、個人的には理解できませんでした。新しい訳がでたらまた読んでみようと思います。
ただ1つ、面白く思ったのは、解説の「マカールの言う神の名を頻繁に唱える無神論者とは、ドストエフスキー自身のことではないのか」という指摘です。通読中は気付かなかったのですが、言われてみれば確かにそうかもしれません。個人的に、ドストエフスキーは神を信じてはいないが、神を信じる人々を尊敬し、自身も信じられるようになることを望んでいるのではないかと常々感じながら彼の作品を読んでいるので、こうして自分の信心の薄さをこっそりと告白しているというのは充分ありうると思います。そういう深い読みができるようになれれば、もっと読書が楽しくなるのでしょうね。精進したいと思います。
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ドストエフスキーの本は一度読んだだけでは理解が完全ではないと言われてますが、この本は苦戦しました。
まず、登場人物が多い!
これから読む方は書き出しながら読むのをお勧めします。
内容としては、とにかくごちゃごちゃしています。
というのもヴェルシーロフが何人もの女性を抱えるのは今で言う「ゲス不倫じゃないか!」とも言えますが、調べてみるとこの頃のロシアは離婚という法律がなく、一度結婚したらずっと離婚をせず、ヴェルシーロフのようにカテリーナに結婚を申し込むような二重三重結婚はよくあることだそうで、日本人の感覚で言うとちょっと信じられないから余計に混乱してしまう理由の一つでもあると思います。
一番好きなシーンは戸籍上の父親マカール公爵とアルカージイとの会話。
マカール公爵は彼にとって有益な言葉を沢山残して、またその語口が凄く好きだなと思いました。
まだ、よくしっかり内容を掴む為に、時間を置いて再読したいと思います。
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養父マカールが亡くなってからの終盤の実父ヴェルシーロフの独白に近い対話が迫真。写真について、神について、恋愛における慰みでなく愛について。
白眉はヴェルシーロフが聖像を叩き壊す場面。その後も分裂する人間像が余すところなく描かれる。
タチヤナ・パーヴロヴナの人の良さも少ない叙述ながら、光っていた。
完全な理想的人物はありえず、どこか破綻しているが、憎めないのがドストエフスキーのメインキャストか。
最後の先達のコメントがこの小説の歴史的な意義を示しているのも嫌味がなく、構成的にさすがという他ない。
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瞬間的に社会に強く訴えかけるような迫力は感じつつも、語られる思想と、行き当たりばったりの物語がちぐはぐな関係にある作品に見えた。でも思想の部分で理解が追いつかないのは半分はぼくの問題でもあるなぁ・・・。
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ドストエフスキーの中で、頭一つ抜けて面白い。紙とインキでこんなことができるともっと早く知っていたら、物理をやってはいなかったに違いない。
繋がりがあるようでばらばらな話(逆のパターンは世に溢れている)が、未成年の思想を糊付けする、そんな、ばらばら感の点で最もドストエフスキーらしい。
物語の中に、罪、罰、白痴、悪霊、といった言葉も登場するが、これらは…ちょっと気を利かせ過ぎかも知れない??
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『未成年』読了。
何か月かかったかな?
途中で他の本も読んだり、なんたって長いし、、、
しかし面白かったです。
ドストエフスキーは何冊か読みましたが、
いつも思うのは、
■人物造形が秀逸
——庶民から大富豪まで。聖人から変態まで。
あらゆるキャラが出てきます。
とくにゲスな人物が妙にリアリティがあり、印象深く物語を彩ります。
ex.『カラマーゾフ』のスメルジャコフ、『罪と罰』のスヴィドリガイロフ
『未成年』ではそこまでゲスい人はいなくて、
実父ヴェルシーロフと義父マカール老人、
そしてそして、口は悪いが実はとっても人のいいタチアナ小母さんの
年配三人衆が素敵でした。
■緩急つけた(つけすぎ?)な構成
——とにかく長い!
一人ひとりのセリフも長い!
※ドストエフスキー作品中の「○○分の会話」をセリフどおりに実演したら、
実際に○○分かかったそう。
要約しない・割愛しない・はしょらないということでしょうか。
前半は、主人公の設定やら周囲の環境やらそういった伏線が
決して分かりやすくなく、くどくどと描かれ、、、
しかし後半は一気読み。
物語があるポイントを超えると、
ドストエフスキーの筆が途端に勢いづきます。
『未成年』は、
私生児の主人公と実父との愛憎が物語の主軸なのですが、
夏目漱石『こころ』の主人公と先生との関係を思い出しました。
父への慕情の裏返し、父のミステリアスで理知的な雰囲気、
やっと父を理解できたと思ったら、永遠の別れ…
(と思ったら未成年のほうの父は復活するのですが)
もう一つの主軸が「未成年」な主人公の成長。
青臭く、私生児として孤独に育ってきた彼。
プラス彼の生い立ちや周囲の人々のストーリー。
みんなどこかで繋がっている。
そのエピソードが次から次へと出てきて
かなりプロットが入り組んでます!
頭がごちゃごちゃになるところですが、
相関図書いておいて良かった。
ドストエフスキーの中ではサスペンス色の強い一冊。
ロシアの宗教や政治的背景に知識があれば、
もっと深く理解できたかも。
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いやぁ、どうなることやらと後半は一気に読んだけど、それほど私にはごちゃつき感があり、面白くなかったので、ほかの本に脱線したりとなかなか進まなかった。
ドストエフスキーはだいたい代表作は読んだけど、一番面白くなかったわー。
ヴェロシーロフって二面性がある。
綺麗な話しておきながら、おかしな行動に出る。やってることバラバラ。こういう人は苦手だわ。
騙されてる感じで。
マカールが綺麗ままだったようだけど、そんなんでは生きていけないしって思ってしまう。
カテリーナはクソ女。
愛憎と金への欲望をごちゃごちゃした中で書かれたもの。
とにかく、ヴェロシーロフは変なおっさんという印象が一番残った。
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なんだか少し話に入り込めなかったというか、ついていけなかったというか。登場人物はそれほど多くないのだけれど、なんでだろう。
もう一回読んだらまた変わるかなあ。
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5大長編のひとつ。もっとも起伏に乏しい。ドストの作品は相容れぬ人物たちが一同に会して喧々諤々やるところに高揚感があるのであり、それらの人々がなんら譲歩することも「成長」することもないままに死ぬところに爽快感があるのである。だが本作品は「教養小説」のかたちを取っており、一人称で語る主人公が一応の成長を遂げたことになる。べつにドストにそんなことは期待していないのだ。ロシア文学には、というかドストにはクズがクズのまま死ぬ話を期待している。/バフチンはドストの作品のカーニバル的側面として聖と俗の混交を発見して、現代人から見ればこういったモチーフが物語のおもしろさの太い支柱になるのだが本作品にはそれもあまり見られない。主人公自体が貴族と農奴の子どもという設定なのだがやはり一人の中にそういった両面が混じり合うというのはダイナミックさには欠けるのだ。/父親の口を通してドストの思想がかなり詳細に語られているのはよかった。/自分の至らない点を補いたくて、かくなるうえはロズチャイルド並の富豪になるしかない、という、人生をチギるために客観的に見ればより大変な方向へ自らを追いやっていくという造形は見事。ロシアは女性名詞であり、父を喪失した余計者ととらえる感覚が文学にはあるようだが、父が不在の余計者の青年を描かせるとドストの右に出るものなし。
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「未成年」はドストエフスキー五大長編の中でも難解、つまらないなどという噂を良く聞いていたので、読み始めるのが少し躊躇われていましたが、
これこそ躊躇わずにできるだけ若いうちに読んでおきたい本だと強くお勧めできる作品でした。
主人公による一人称の手記として記述されているため、登場人物の激しい心の動きに主人公のこれまた激しい心の動きが重なりあって、確かに全ての筋を理解するのは難しいでしょう。
しかし、自分のことも他人のこともなかなかわからない主人公の目線に入り込んで、「あぁ、この人はこういう人だったんだ」と登場人物を徐々に理解しつつも、たまに裏切られたりする気持ちを共有して読み進めると、登場人物が皆「生きている」ことがわかってきます。
ドストエフスキーの作品の醍醐味はやはり、登場人物が本当に「生きて、悩んでいる」ことが"理解できる"のではなく、ジワジワ自分事のように"感じられてくる"ことだと思います。
「著者に作られた人」が登場人物ならば理解することもできるでしょう。
しかし、ドストエフスキーの作品の中では「生きている人」が動き回っています。
我々が現実世界において「生きている人」たちをはじめから理解することなんてできないのと同じく、ドストエフスキー作品の登場人物とはじっくりと関わり合って、徐々に分かり合っていくような気持ちで読んでいくのがよいと思います。
生きているものは総じて難解なのです。