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電子書籍
地団駄は島根で踏め~行って・見て・触れる《語源の旅》~
著者 わぐりたかし (著)
日本語は現場で起きている――言葉が生まれた土地におもむいて、探偵気分で語源の謎を調査・推理・解決。いざ、うんちくや雑学でおわらせない、日本語の奥深さにふれる旅へ。
地団駄は島根で踏め~行って・見て・触れる《語源の旅》~
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地団駄は島根で踏め 行って・見て・触れる《語源の旅》 (光文社新書)
著者紹介
わぐりたかし (著)
- 略歴
- 1961年東京都生まれ。放送作家・語源ハンター。「日本フードジャーナリスト会議」代表。
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紙の本
島根で楽しく地団駄を踏み、徳島でうだつを上げよう!
2011/10/02 12:17
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「なぜ、恋に落ちると言うの?恋に上がる、でもいいのに」
これはフランス映画『パピヨンの贈り物』という映画で、ミシェル・セロー演じる老人に8歳の少女が
問いかける台詞です。
英語でもfall in loveと言いますが、フランス語でも同じなのでしょう。なぜ、落ちるのか?
そんな疑問を少女は持ちます。
この本はまさに、少女の「なぜ、恋に落ちると言うの?」精神を日本語でやり、その語源を調べよう
という旅の記録です。
著者のわぐりたかしさんは、放送作家ですが名刺には「放送作家、語源ハンター」と堂々と印刷
しているということで、この言葉の語源はなんだろう?に大変興味を持っている方です。
まえがきで、今、なんでもすぐにインターネットで調べられるけれど、それを鵜呑みにしていない
だろうか?普段何気なく使っている言葉は、何故そう言うのか、わかって使っていますか?とあり
わぐりさんは、辞書などで語源に地名が出てくるとそこに実際行き、語源を探す旅を繰り返して
います。
「うんともすんとも」(熊本県)「あとの祭り」(京都府)「もとのもくあみ」(奈良県)「つつがなく」
(山形県)「うだつが上がらない」(徳島県)・・・そして「地団駄を踏む」は島根県からきた言葉、いいまわしです。
そして、わぐりさんは、語源ハンティングの旅に仕事の合間をぬって全国に飛びだしていきます。
文中に過去仕事で「地名をめぐる旅」という番組にたずさわったことがあるそうで、そんな事から
言葉の語源に興味を持たれたのではないかと思うのですが、特徴としては、どの言葉(いいまわし)
もその発祥地に行くと神社や寺があり、祭事がきちんとあり地元の人にとっては有名なこと、
また伝説がありそこから能や狂言が作られていることが多いのです。
『世界珍獣図鑑』で珍獣というのは、その動物が生息している地域の人たちにとっては珍しくも
なんともない動物である、という記述がありましたが、言葉も実はそうなのでした。
「あこぎ」というのは、三重県に阿漕という町があるのですが、実は「しつこく、ずうずうしく、義理
人情に欠けあくどいこと」という今の使われ方とは違う、親孝行なある漁師の物語であり、
確かに禁漁区で密漁をして処罰されたのは事実だそうですが、そこに伝わる伝説は
あくまでも親を楽にさせるため・・・そして処刑されても成仏できない哀しい伝説となっていて
その鎮魂の神社、塚がちゃんとあるのです。
「どろぼう」は泥棒ではなく「土呂坊」というお坊さんの名前から来ている。
地団駄は、島根の刀鍛冶のためのふいごを足で踏む工具からきていて、実際、体験できるそうです。
写真は、楽しそうに「地団駄を踏む」わぐりさんの姿。
わぐりさんの文章は決して、知ったかぶりをせず、わからなかったら文献で調べるだけでなく
実際その土地に行って、語源を知り、または、自分なりの仮説を立てという「言葉って楽しい!」
という感じがイキイキと出ています。
阿漕では、どこもかしこもあこぎと名のつく店が多く、あこぎな「あこぎ不動産」、医療費ぼったくりの
「あこぎ医院」なんてものはないかなあ、などときょろきょろしている姿がそのまま正直に描かれて
いて、さすが放送作家、ちゃんとオチまでついているという、堅苦しさが一切ありません。
楽しくて!楽しくて!もっと知りたい!なんで???そうだったのか!!!がとても素直なのです。
そして、行った土地では美味しいお土産のお菓子をイソイソと買って紹介しています。
それもちゃんと「語源」にちなんだものをしっかり選んでいるところ、さすが語源ハンター。
旅に出て、「語源が知りたいので来ました」というと、ほとんどの土地の人が大喜びでその土地の
歴史や文化を紹介してくれる、という言葉だけでなく、その周辺の歴史や文化の広がりも楽しめる
一冊です。
なによりもいいのは、わぐりさんが旅を、言葉を楽しんでいる、ということですね。
源をたどる、というのは言葉だけでなく何でも「最初」があるわけですから様々な広がりを
想像することも可能です。
ちなみに「やばい」は東京ですが、中央区小伝馬町にある牢屋敷跡、「厄場(やば)」からきている
そうです。ここに投獄されたら首切り処刑。吉田松陰もここで処刑されていることからここにきたら
もう危ない・・・というそうです。
今、なんでもかんでもやばい、やばいを連発する若い人は、もとは「厄場」を
連発していることになりますね。当然、時代によって意味も変わってくるのでしょうが、これから
「やばい」はあまり使いたくないなあ、と正直思ってしまったのでした。
紙の本
続編を待望します
2018/02/16 19:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々な語源ゆかりの地を訪ねる旅行記です。
例えば「急がば回れ」は草津、「どろぼう」は岡崎、「のろま」は佐渡を訪ねるといった具合です。祭りや伝統芸能由来の言葉(「縁の下の力持ち」「一人相撲」「あとの祭り」「のろま」「二の舞」)があったり、従来の解釈とは異なる解釈が見えたりと、現地取材ならではの気づきもありました。また、地方の豊かな文化に触れることもできました。
本書執筆時点で147カ所にのぼる語源ストックがあるとのことですが、未だに続編がでていないのは、私のように面白がる人が少なかったのでしょうか。