投稿元:
レビューを見る
「ワクチンが効くものなのか」を知りたくて購入。
はっきりいって物足りなかった。
タイトルの内容にいきつくまでが長い。
知りたい内容である効果/副作用までたどり着くのに10章のうち8章までひたすら歴史が語られる。
結局タイトルの答えとなるのは、接種する価値があるワクチンが存在し(すべてではない)、そのうちインフルエンザワクチンは効果があるということだった。
例えばポリオ不活化ワクチンのように、本来は接種すべきワクチンの種類、接種するためのアクセスなどをもっと知りたかった。
投稿元:
レビューを見る
なぜ、ワクチンは嫌われるのか。開発と副作用による事故をめぐる歴史も振り返りつつ、今の日本の医療政策、メディア、そして医療の受け手側の問題点などを一つ一つ明らかにしていく。新型インフルエンザ、多剤耐性菌問題、ホメオパシー、ゼロリスクなど、最新のトピックも分析しながら、ワクチン問題の「好き嫌い」と「正邪」の部分を切り離し、読者を新たな視点に導く、新しいワクチン論。
投稿元:
レビューを見る
岩田健太郎先生の著書と言うことで、購入しました。
よくインフルエンザの予防接種を勧めるとき、「予防ワクチンを打っても感染するよね」と言われることが多く、周りの人の為に打つのよって言っても、独身の人は特に「周囲の人が打てば、かかりにくい」とか、「タミフルがあるから」とか言われてしまいます。
ダブルバインドという言葉がこの本で出てきますが、予防接種の問題を考えるとき、ぴったりの言葉で、今後の感染管理教育の時に使える!と思いました。
また、子供の予防接種において、副作用の問題の方を重要視して、免疫に対してあまり知識のないお母さん達が予防接種を敬遠してしまうこともあり、特に子供の健康に熱心な人ほどその傾向があり、この本の中で「ホメオパシー」に偏りすぎた考えに踊らされている考えの本があることを知り、わかりやすくお母さんたちに予防接種の必要性と、その効果を伝えられるような活動をしていきたいなあと考えました。
この本を読み終わったころ、子宮頸がんのワクチン、肺炎球菌、ヒブワクチンの予防接種が札幌では1月1日から無料になったとの情報がありました。札幌市もがんばってるなあ~ 税金納めてるかいがあります。
投稿元:
レビューを見る
ワクチンに対する嫌悪感、懐疑心、果ては陰謀論まで世の中には予防接種に対して冷静な態度を持てない人がたくさんいる。
原因の1つとして、メディアをはじめ真に公平な立場から客観的なデータを取り上げ、判断するといったことができない人があまりに多いからだろう。加えて、善いか悪いかでしか判断しないことも原因に挙げられるだろう。
著者は、ワクチンに対して、善いか悪いかだけの議論を捨てどちらの側面ももつものとするという立場をとっている。
そして、本書の良い所は、議論を曖昧なままにすることなく、歴史的経緯を踏まえながら様々な事例を考察し、1つの見解を打ち出しているところだ。
これはまさに科学的な態度だと思う。
まえがきにもあとがきにも強く主張されているが、こういった「バイアス」のかからない考察をすることの大切さを、ワクチン事情を通して示した良書である。
投稿元:
レビューを見る
仕事で役に立つと思う。集団を守る公衆衛生か。時代とともに感染症も変遷する、適度に見直す時期と法整備関連が必要。
投稿元:
レビューを見る
予防接種について研究結果、統計などの事実を提示し、考え方を伝える本。
日本やアメリカで行われてきた予防接種の多々の事例を紹介しながら、予防接種に対する考え方を伝える。
予防接種を受けることで、受けた自身だけではなく、その人がいる集団の疾病も予防することが出来る、という話などがある。
予防接種についての詳細は読めばわかるが、本書ではそれ以上に伝えたいことがあるように感じた。
それは、事実に基づいて考え、状況が変われば意見も変わってしかるべき、ということ。
日本の戦後間もない頃には衛生状況も悪く、多少の副作用に目をつぶっても集団での強制的な予防接種が必要だった。
現代では衛生的で栄養も十分にあることが当たり前なので、あまり深刻な流行り病にかかることは少ない。
そのため、ごく少数の副作用が注目され、それによって予防接種を行ったことが悪とされる。
本書にあることで大事なことは抜けてもいるが、時代の移り変わりとは大体こんな感じだった。
このように時代背景によって考え方は変わるのだから、それに応じて柔軟に考えなくてはいけない、ということを伝えたいように感じた。
多くのことに対してこれは言えるだろう。
著者は日本社会に対して考え方の予防接種を行いたかったように思う。
投稿元:
レビューを見る
岩田健太郎先生の書籍。
「予防接種は安全か」の内容が古くなった今、日本人の手による予防接種本では、最高のものではないでしょうか。
ポリオ生ワクチン緊急輸入、副作用、前橋レポートなど、よくぞわかりやすくまとめて下さった、という内容です。
新型インフルエンザの検疫騒ぎについて記載があれば良かったと思います。
投稿元:
レビューを見る
抑制的な、でも情熱の溢れる文章。
エビデンスを明示して、慎重な立場ながら丁寧な論証。
難しいことをわかりやすく。
単に噛み砕くのではなく、丁寧な思考過程を理解させる。
投稿元:
レビューを見る
予防接種やワクチン嫌いに対してちゃんと向きあった現時点での調査結果を記している一冊。
ということはタイトル通りなのですが、著者の考えがものすごく共感を覚えた一冊。
ワクチンにしろなんにしろ、「◯◯に書いてあった」とか、「××さんがこういった」とかでそれ以上考えることをしない、いわゆる思考停止状態を断固拒否して、現実に向き合っている姿が素晴らしい。
結局、ワクチン嫌いを治すことを目的としていなくて、どうしてワクチン嫌いとなったのかを考えることに集中している。そこが素晴らしい。
投稿元:
レビューを見る
ポリオ予防のニュースが気になって、子供に予防接種をどう受けさせようか考えるためにいくつかの関連書の一冊として購入。
現代医療と予防接種の歴史、予防接種政策が大成功したケース、大きな事故や失敗事例とその原因・考察などをベースに、メリット・デメリットを説く本です。雑誌やネットで予防接種は受けさせない方がいいという記事を目にして接種に不信感を持ってしまった人向けですが、実際に現行のそれぞれの接種にリスクがどれだけあるかなどは言及が少ないと感じました。予防接種自体の不安感を軽減できる材料は沢山盛り込まれています。
インフルエンザについては、前橋レポート以降の研究を紹介して、集団予防効果について述べています。チメロサールと自閉症については、ネットで乳児期全体での暴露量についての文章を見かけていたので、もう少し深い調査があればなぁと思いました。
投稿元:
レビューを見る
山陽新聞2011.02.24夕刊「そと読み2冊」佐藤淳子・文より。
予防接種をしましょうという啓発本ではなく、自ら判断できるようワクチンについて解説してくれるものだということです。
投稿元:
レビューを見る
客観的に、ワクチンの歴史・国内での扱われ方・米国での取り扱われ方を紹介するという、ワクチンの「好悪」の部分と「正邪」の部分を切り離すことに、エネルギーを費やされた本。後は、読者が判断してよ、と。
本旨ではないが、優れた医師が持つ実際的な心理学的見識の高さ(恐らく、臨床心理学への発展のために身につけておられるのだろう)が、書籍の各論においてこの筆者からも垣間見られ、その点も楽しんで読めた。
投稿元:
レビューを見る
親として、昨今のHibや肺炎球菌、ポリオの生ワクチンなど、
予防接種について気になる話題が多い。
そんな予防接種の位置づけを理解する一冊。
現在の予防接種の大半は、
「打たなくても殆どの人がその病気にはならない」
というものもある。同時に、
「打っても殆どの人は何も(副作用が)起こらない」
また、
「打ってもその病気にかかってしまう」
ことも稀にあるが。
(例:インフルエンザ。実際には軽症化できたり無意味ではない)
しかし、ごく一部の事例をあげて予防接種が悪である。
という論調がおきている。(起きるから導入されない)
一部の予防接種は確かに運用が正しいか疑問。
それは打つリスクと打つことで受ける恩恵のバランスが取れていないからだ。
たとえばポリオの生ワクチン。
昨今ではポリオという病気が殆ど発生しないのに、
予防接種でポリオにかかってしまうケースがごく稀にある。
しかしリスクのない医療行為なんてありえない。
殆ど無視できるゼロに近い数字なだけでゼロではない。
そのリスクをとってもいいケースとのバランスが大事。
予防接種もリスクはゼロではない。
かかってしまえば重症化する病気であれば、
例え発生率が低くてもその恩恵は大きい。
また重症化が稀であって、感染力の強い病気であれば、
それを打つことで集団の予防になるし、
母数を減らすことで、重症化を抑えることが出来る。
10人1人が重症化する病気でも100人感染すれば、
10人に10人が重症化する病気と同じである。
個のためのが群れのためになる。
もちろん副作用によって苦しむことになる
ごく一部のケースを「運が悪かったね」で片付けるわけではなく、
そのことを認識して、ケアすることも責務である。
打って病気になっても、打たなくてその病気が広がっても。
どっちにしろ厚生労働省はマスコミなどに叩かれる。
ならばその事実を明確にして全てを受け入れられる仕組みを作ろう。
投稿元:
レビューを見る
本の帯にある内田樹の推薦文はちょっとずれている。しかし、だからと言って本書の価値が下がるわけでは全くない。私はこの本によって、適切な予防接種リテラシーを得ることが出来たのだから。
医学とりわけワクチンの功罪ある歴史からひもとき、世の迷妄を正してくれている。ネット上で出回っているワクチンに対する誤解は、ほぼこの本で解消できる。★5つにできなかったのは、新書では仕方ないのかもしれないが、新旧のワクチンの副作用(とりわけ死亡例)やその出現「率」が知りたかったからだ。
以下、興味深い記述。
・一般的に「あれか?これか?」という命題の立て方は、一つレベルの低い、幼稚な命題です。「あれも、これも」という考え方だってあるのです。
・耐性菌の問題。抗生物質ばかり使っていると耐性菌が増えて大事な抗生物質が効かなくなってしまう。だから抗生物質がワクチンを完全に代用することはない。
・一番恐ろしい病院は「うちには耐性菌も院内感染もありませんよ」と喧伝する病院です。
・アメリカ黒人へのタスキーギ実験。
・アメリカでは予防接種に関しては、副作用に苦しむ人のための無過失補償制度を運用している。
・最近発見される小児麻痺はすべてワクチンの副作用。
・任意接種の場合の救済制度。
・腸チフスワクチンを例に取った副作用の悪い書き方。
・MMRが自閉症の原因だったという論文はでっちあげ。
・EBMが生まれたのは、1990年代。
・子宮頸ガンワクチンを打つと不妊症になるのはデマ。
投稿元:
レビューを見る
予防接種の歴史、背景や数値を含め、どのように考えるか判断の基準を再度勉強した感じがする。
単に、副反応が怖いからや義務だからという観点だけではなく総合的に判断するというのが重要なのだと思った