地形分布と生物の類似性、そしてまとめ
2018/05/29 17:12
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投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ダーウィンの残りの課題である生物の分布についての話がメインになる。ダーウィンは様々な地域の知見を探し、どの地域にも同じような生物が確認されることを強調し、自身の仮説を強めていく。そして最後に、まとめがあり、これまでの議論の総括を行っている。
ここまで科学的な態度を徹底したダーウィンがなぜこれほどまで世間で誤解を受けているのか?それがわからる圧巻のまとめである。
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チャールズ・ダーウィン『種の起源』と
川端康成の『山の音』を平行して読み上げました。
『種の起源』は言わずと知れた近代生物学の礎となった大著、
方や。あの山本健吉をして「戦後日本文学の最高峰」と言わしめた名品です。
実を申し上げますと、『種の起源』は学生時代から何度か挑戦し、
いつもその難解さに断念していました。
それが、光文社古典新訳文庫版でやっと読み終えることができました。
原書を読んだことがないのでよくわかりませんが、
翻訳家によりますとダーウィンさんは悪文で有名なんだそうです。
だから、英国国教会が「あなたを誤解し、最初の我々の反応が誤りだったために
まだ他の人々があなたを誤解していることに対して謝罪する」
という表明をようするまで、150年近く時間を要したのでしょうか(笑)
一方、『山の音』は透明で繊細な筆致は、
『伊豆の踊子』『雪国』を読んでいるようです。
その分、主人公の年齢は徐々にあがり、この作品にいたっては
私と同年代になっています。
私は自分のことのようにして読みふけりました。
さて、『山の音』を読んでいますと、野良犬のテルの話が出てきます。
息子の嫁がその犬の乳の数を数えると10個あるそうです。
で、調べてみますと、猫は8個、牛4個、豚ななんと14個、
そして猿は人と同じ2個だそうです。
でも、雄にも同様の数の乳があるはずです。げんに私だって2つあります。
所がダーウィンさん自然淘汰の説に寄れば、
不要器官はやがて退化し、無くなってゆくのではなかったでしょうか?
つまり男性のオッパイは無くなってゆくハズですが~
そこで昔読んだ本のことを思い出しました。
永田和宏「タンパク質の一生」(岩波新書)という本の中に、
『元々は雌になるべく発生してきた胎児が、
ある特定のタンパク質を作り出した場合だけ雄になる』
つまり、女は「存在」だが、男は単なる「現象」にしかすぎないのだそうです。
それがため、染色体の数も女性の方が1.020個多いそうです。
世の男性諸君、崇高なる女性に喧嘩を売ろうなんてこと
ゆめゆめ思ってはなりませんぞ!
敵はあなたのはるか上をいっております。
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上巻で自然淘汰のところが終わっているので、余計にワケ分からんかった。。。
すごいなと思ったのが、メンデルの遺伝の法則の前に出てるっていうことと、明言はしていないけど、ダーウィンは大陸移動説も想定してたんでないかということです。
だから、現代で地理的に離れていても同じような生物がいたり…って話で。
しかし、自然淘汰が企業にも言えるみたいなのを読んで買ってみたけど、これを読んでもあまり経営を連想せんかったな。。。
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第8章 雑種形成
第9章 地質学的証拠の不完全さについて
第10章 生物の地質学的変遷について
第11章 地理的分布
第12章 地理的分布承前
第13章 生物相互の類縁性、形態学、発生学、痕跡器官
第14章 要約と結論
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「成長」して「繁殖」すること、繁殖とさして違わない意味での「遺伝」、生物を取り巻く条件の間接的および直接的な作用と用不用による「変異性」、「生存闘争」を引き起こし、その結果として「自然淘汰」を作用させ、「形質の分岐」と改良面で劣る種類の「絶滅」を強いる高い「増加率」。自然の闘争から、飢餓と死から、われわれにとって最も高貴な目的と思える高等動物の誕生が直接の結果としてもたらされる。
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下巻もやっとこさ読み終わった。上巻に引き続きダーウィンの偉大さに感嘆する内容だった。くどいと感じるほどに自説や対立仮説に疑問を投げかけ検証しているため、若干の読みづらさはあるけれども。
実際に読んでみるまでは、種の起源は自然淘汰説により人の起源が猿人類であることを唱える本であると思い込んでいた。
植物から魚類、鳥類、昆虫など、様々な生物に関してだけでなく、地質学や気候学など話題は多岐にわたる。遺伝の法則がわかっていない時代の著作であるから、分子生物学的な話は出てこないが、それでもこの時代によくぞここまでと驚いてしまう。
生物学を学ぶ者として、手に取ってみて良かった。
もっと視野を広げて、様々なことを学びたい。
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上巻、下巻を通じて、ダーウィンの観察眼の鋭さと、用意周到な論理にただただ感心させられた。とにかく事実をしっかりととらえて、緻密に自説を論じていく。これが、数百年たった現代でも、生物学の必読書として読み続けられている理由なのだろう。また、分からないことは分からないという潔さのに、ダーウィンの偉大さをより一層認識させられた。
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言わずと知れているが、未だ必ずしも正しく理解されていないところがある、ダーウィンの主著。
本書は、ダーウィン自身が述べるように、その全体が大きな1つの論証となっている。
すなわち、生物の起源を説明する理論として、自然淘汰説がいかに正しく、他方で創造説がいかに誤っているかを、膨大な論拠をもって論じている。
自説への反論をも「難題」として詳しく検証し、分からないことは分からないと明言する姿勢は、極めて潔く、「科学的」である。
全体を通して、創造説と闘いながら、生物の起源に見事なロジックで迫っていく、ダーウィンの強い意気込みが感じられる。
下巻末の「解説」では、ダーウィン以降の生物学の発展に触れられており、その進歩の著しいスピードや、ダーウィンの先見の明に改めて驚かされる。
この部分を先に読んでおくのもアリだろう。
入念すぎるほどの論証であり、すぐに読み切ってしまえるようなものではない。
しかし、ダーウィンの思考をよく理解できるように丁寧に訳されており、訳文はかなり読みやすい。
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個々の種は一つの地域だけで生み出され、その後そこから過去と現在の条件のもとでその移動能力と生存能力の及ぶ限り遠くまで移動した。
かつては連続的だった多くの種の分布が地理的な変化や気候の変化によって分断されるという出来事が地質時代に間違いなく起こっている。
創造の中心は一つか複数か
決して交雑を起こさない生物を考えてみよう。私の学説によればそのような種は他の個体や変種とは決して混じり合わないが相互に取って代わりながら改良されてきた変種の系列の子孫である。そうだとすれば変更と改良が継続して起こることで生み出される個々の変種に蔵する全ての個体はただ一組の親の子孫ということになる。
「創造の中心はただ一つ」とする学説に対する深刻な難題。
ー分散の手段
>
個々の種から生み出される変異した子孫は自然界の中で可能な限り多くの異なる居場所をしめようとすることから、それらの形質はどんどん分岐していく傾向があるということだった。その他個体数を増加させると同時に形質を分岐させている生物には分岐の程度や改良の程度が遅れている先住民に取って代わって根絶させてしまう傾向が常にあることも示そうと試みた。
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上巻に続き、とても深い研究書である。150年前に書かれたとは思えないほど、進化論について緻密な研究に基づく詳細な記述がある。驚きの一冊。
「自然は、個々の生物自身の利益になりそうなことならば、膨大な時間をかけてゆっくりとたゆむことなく生物の体のつくり全体に働きかける。そして、どれか一つの種に由来する複数の子孫の生殖機能を、相関作用の法則を通じて変更することができる。つまり、一カ所を変えると、それに応じて次々と別の箇所の変更も進むのだ」p56
「長い目で見ると、同じ地域にすむすべての種はなぜ最終的には変化するのかという理由がわかってくる。変わらない種は絶滅してしまうからなのだ」p129
「自然淘汰説が基盤としている考え方は単純である。個々の新しい変種、最終的には個々の新種が生み出され維持されるのは、競争相手となる種類よりも何らかの利点を有しているからである。一方、そうした利点のない種類は、ほぼ必然的に絶滅することになる。これが基本的な考え方なのだ」p137
「私の学説によれば、ある特定の意味では、新しい種類の生物ほど、高等なはずである。なぜなら個々の新種は生存闘争において、先行する他の種類よりもなにがしかの利点をそなえることで形成されるからである」p164
「小型ほ乳類が野生化した島は、必ず大増殖している」p255
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下巻では地理的条件などさらに議論の範囲が広がっている。
あくまでエビデンスを身上とし、そのため不確定なところでは断定を避けている。
そのためか、ページ数のわりに主張に精彩を欠くように感じてしまう。
それは現代からみるとそうだ、というだけなのかもしれないが。
なんにせよ冗長ではありつつ読みやすいので、一読してみることを勧める。
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上下巻合わせて約15時間かけて読み終えた。用意周到で徹底的な論証を追うのはここまで大変なものなのかと肌で感じることができた。この経験は分厚い本を読むかどうかの一つの判断として役に立つだろう。
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読もうと思った理由
前巻と同じ
気づき
・自然淘汰説が基盤としている考え方は単純である。
個々の新しい変種、最終的には個々の新種が生み出さ
れ維持されるのは、競争相手となる種類よりも何らか
の利点を有しているからである。一方、そうした利点
のない種類は、ほぼ必然的に絶滅することになる
・変化した子孫をたくさん生み出す優勢な種類は、長い
時間をかけて分布を広げていく。そしてその結果とし
て、類縁関係にある変化した子孫が世界を席巻してい
く。一般にその理由は、優勢な種類の子孫が生存闘争
において劣った種のグループにとって代わっていくか
らだと考えればよい
進化論は当時、社会から認められなかったが事実をきちんと理論立てて説明して根拠をもって語っていることがすごいと思いました。
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「種の起源」を読むと進化論の発表に際してダーウィンがどれほど慎重だったか窺える。宗教家やナチュラリストからの想定反論に対してあらゆる視点から検証し論理武装した結果、学者から一般読者に至るまで広く遍く多大な影響を与える一冊となったといえる。地質学や地域分布も面白いが、特にシンクロニシティに触れている点は革新的な着眼点だと思う。
歴史的名著は、エッセンスを知っていても、実際に読むことが新しい着想を得られるものだ。
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Unlimitedで読んだ上巻がよかったので下巻を自費で購入。
地質学まで踏み込んで、進化の途中段階が見つからないのはなぜか、を解説。さらに、古い地層には原始的な種が見つかり、基本的に原生の種は出てこない。
とにかく驚くのは、メンデルの遺伝の法則も、大陸移動説も知られていない時代に、かなり核心をつく考察を行っていること。
なぜそれができたのかは、自然についてじっくりと向き合ってきたからだろう。20代のうち6年も費やしたビーグル号の航海も大きく影響したはずだ。
進化論に異論は多いが、彼らがダーウィンほどに自然と向き合っているのかは疑問に思う。