野性の呼び声
ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。大雪原を駆け抜け、力が支...
野性の呼び声
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商品説明
ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがてその血に眠っていたものが目覚めはじめるのだった。苛酷な大自然を力のかぎり生きぬく犬たちの誇り高き生命の物語。20世紀初頭、アメリカで国民的な人気を博したジャック・ロンドンの出世作
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読後、無性に叫びたくなる。
2007/09/13 23:19
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求羅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゴールド・ラッシュに沸くアラスカでは、通信手段として犬橇が用いられていた。カリフォルニアの屋敷で何不自由なく暮らしていた大型犬バックは、使用人の裏切りによって極北の大地で橇犬にさせられる。
本書は、弱肉強食の厳しい世界に突然放り込まれた一匹の犬が、恵まれた体躯と知恵でたくましく生き抜いていく物語である。
血が騒ぐ、とでもいうのだろうか。
ペットに過ぎなかったバックは、過酷な世界で闘い、生き延びるうちに、次第に野性味を帯びるようになっていく。鞭と棍棒で人間に使われようとも、心まで屈服しない。強く誇り高いその姿は、いわば犬版・ハードボイルド小説といったところ。
人間の常識に動物をはめ込むのではなく、「棍棒と牙の掟」という独特の道徳の中で生きる姿をありのままに描いているところに好感がもてる。ここに甘さはない。隙を見せれば最期、命はないのだから。時には目を覆いたくなるような暴力的な場面もある。作者は一切容赦することなく、バックたちのいる世界の厳しさを硬質な文体で描き出している。
本書は7章からなるのだが、章ごとに山場が用意されているのが凄い。
例えば、ボスの座を巡って、バックと一匹の犬が死闘を繰り広げる壮絶な場面がある。普通ならクライマックスになりそうな場面ですら、まだ前半の一コマに過ぎないのだ。しかも、描かれているエピソードの一つ一つが濃い。中でも、死病に侵された犬が必死で橇を引こうとする場面には、涙が出そうになった。
「生存のための非情な闘いのなかでは、徳義心などは所詮、無益なものであり、障害にしかならない。」(P.48)との言葉どおり、徹底的に甘さを排した作品であるが、ジョン・ソーントンという一人の男を登場させたところに作者の優しさを感じずにはいられない。 力が支配する世界で、強い信頼で結ばれたバックとソーントンの主従関係はひときわ輝きを放っている。まるで砂漠に咲いた一輪の花のように。暴力に彩られているのに読後感が悪くないのは、それでも存在する愛情に気づかされるからではないだろうか。
ちなみに、原題は「THE CALL OF THE WILD」で、「荒野の呼び声」とも「野生の呼び声」とも訳されている。ただ、バックを呼ぶ声は、北の大地や他の動物からではなく、自分の内部から聞こえてきたのだと思う。だから、「野性」とした本書の訳の方がふさわしいだろう。
古典であり、かつ一級のエンタテインメント
2020/10/06 15:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
動物物語といえば、誰もがシートンの名前を思い起こすかもしれない。
子供時代の定番であったが、今でも読まれているのだろうか。
そして、同じようにジャック・ロンドンの名前と彼の代表作であるこの作品名を覚えている人も多いだろう。
1903年に出版されたこの作品は出版から40年余りで全米で600万部を売ったという大ベストセラーだが、今では立派な古典文学として読まれている。
古典文学といえば堅苦しいイメージを持つが、この作品はそんなことはない。
さすがベストセラーになっただけのことはあって、現代の読者でも飽きさせない。
なんといっても、主人公の犬バックの魅力が一番だ。
カリフォルニアの中部の判事の家に飼われていたバックだが、当時のゴールドラッシュで強健な犬が求められている中で悪い男に連れ去られ売られていく。
今まで雪さえ知らなかったバック(この犬が初めて雪を経験する数行の文章の美しいこと)だが、橇犬として成長していく。
時には仲間の犬と闘い、時には飼い主である人間たちと心でつながっていきながら、やがてバックに野性の血が戻ってくる。
橇犬としての過酷さ以上にバックを苦しめるのは、たびたび変わる飼い主の人間たちだ。
ひどい飼い主ともなれば、食事もろくに与えず、過酷な労働だけを強いる。
瀕死のバックを救ったのがソーントンという無骨な男。
野性に戻りつつありながら、ソーントンへの愛情を示すバック。
しかし、そんな人間との蜜月もやがては終焉を迎える。
人と犬との交流だけでなく、自然の美しさや恐ろしさを描く自然描写の巧さなど、今読んでも多くの人に感銘を与えるだろう。
これはやはり名作だし、一級のエンタテインメントだ。
カナダの極寒の地を舞台にした一匹の犬の物語です!
2020/05/09 09:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、アメリカの作家ジャック・ロンドンによって1903年に書かれた中編小説です。同書の内容は、19世紀末のクロンダイク地方のゴールドラッシュ(クロンダイク・ゴールドラッシュ)時期のカナダ・ユーコン準州が舞台となっています。当時は丈夫なそり犬の需要は高く、300ドルもの高値で取引される犬もあったといいます。飼い犬であったバックは、カリフォルニア州ののどかな屋敷から誘拐され、そり犬として売られて苛酷な運命にさらされます。そして、バックがその環境変化の中で人間および他の犬とかかわり方を学び、極寒の自然の中で生き残る戦いが描かれています。彼は本能に頼り、尊敬され恐れられるリーダーとなります。そして最終的には、最後の飼い主が死亡した後に、彼はうわべの文明を完全に捨てて狼の群れに合流し、インディアンに幽霊犬と呼ばれ恐れられる存在となそしてるというストーリーです。
小難しくもなく読みやすい!
2016/01/18 17:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sin - この投稿者のレビュー一覧を見る
差別・奴隷・労働搾取…深読みすれば取り方はいろいろあるだろうが、この物語からは生きることの本質を問われているように思えてならない。生き物本来のあり方や尊厳を…わが身に振り返ってみて果たして自分は自分らしく生きているだろうか?いや四の五の言わずにおもしろい!小難しくもなく読みやすい!文学と突き放さずにたくさんの方に読んでいただきたい名作です。
主人公は犬
2022/04/27 00:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
しかも、百年以上前に書かれた小説……なのに、現在読んでも、違和感があまりなくて……。涙するシーンもありました。ただ、タイトルは、これでいいのでしょうか?
翻訳のそのまま……?