武士道とエロス
著者 氏家幹人
男達の恋「衆道」を通して語る江戸の心性史。殿と小姓、義兄弟など、男同士の恋は武士の社会に溶け込んだおおらかなものだった。彼らの「絆」の意味と変容を新視点から捉え直し、江戸...
武士道とエロス
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商品説明
男達の恋「衆道」を通して語る江戸の心性史。殿と小姓、義兄弟など、男同士の恋は武士の社会に溶け込んだおおらかなものだった。彼らの「絆」の意味と変容を新視点から捉え直し、江戸という時代を照射する。(講談社現代新書)
目次
- プロローグ──信長の草履
- “あたたかい草履”……「性的な気分」の理由……草履から下駄へ……将軍家光と忠臣……草履伝説の誕生……恋と忠の感情史
- 第一章 忘れられた敵討
- 赤石愛太郎の仇討……情痴の果て……片岡平八郎の敵討……江戸中の評判……兄弟分の契り……武士道の華……小姓と草履取……亡き主人の「弟分」に……「和合の因」……衆道敵討の記憶……異説「忠臣蔵」……他
- 第二章 君と私
- 美少年への憧憬……『同性の恋』……名家のインテリ青年……紅夢楼主人の『美少年論』……徳冨蘆花の場合……探偵小説の中で……『君と私』……特別な友人……志賀直哉の「少年愛」……摺り切れた愛読書……他
- 第三章 恋する男たち
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先祖たちの激しい情念
2002/07/06 12:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ベリ太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
元亀文禄の遺風を残した江戸時代初期は、
我々の想像を遥かに超えた激しい情念の世界に違いない。
むしろ下克上という徹底した現実主義の中での生命の争奪戦の機会の喪失が、
恋、それも男色というものにより激しい情念をもたらしたものであろうか。
恋の為に命のやり取りに及ぶ心理、
我々の先祖たちの生き様と思う時、現代の常識では愚行とされるものであっても、
なにか憧れにも似たさわやかな印象を感じることに否定できない。
この本は、そのような情念を色々な角度からとらえた貴重な文化史である。
数々の挿話は一つ一つ何か特別の印象を読者に残してくれるものと思う。
更にこの読後に例えば西鶴の武家物を読めば興もまたひとしおであろう。
歴史、或いは時代物に少しでも興味を感じる人には、
テーマにとらわれ逡巡することなく是非とも一読をお勧めしたい。
武士道と男色。
2002/01/27 01:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の絵──勝川春潮の「喫煙若衆図」がとても美しい。自然味あふれる河岸に座っている少年は、煙管を片手に扇子を広げている。それは、背後からやってきた振袖の少年(年下と思われる)を、歓迎しているように見える。そこには、男と女のものとは違う、爽やかな色香が漂う。
本書は、主に近世の武士社会における、男色の変遷を考察した本である。男色は、戦国時代の武士においては、必要不可欠のものであった。しかし、江戸時代になり世情が安定してくると、男色は廃れてしまった。それは何故か──男色を通して歴史を探る。そこからは、武士道と男色の、意外なほど密着なつながりが窺えることだろう。
難しい色恋の沙汰
2022/01/07 11:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
男色だ、少年愛だと色モノ扱いされそうなネタではあるが、近代的な自我とかいうヤツが台頭するまでは我が国ではありふれたものだった。
しかし史料ではどの翁も「こう見えてもお小さい頃は私もかわいらしかったのです」と抜け抜けと語っている。
言ってはなんだが、少年なら誰でも良かったのでは?と思ってしまう。
相思相愛なら問題はないが、好みでない家臣やお屋形様が主従関係を以て言い寄ってきたら悲劇だ。生殺与奪の権を握られているし、打刀や太刀といった物理もあるからパワーハラスメントなんて生やさしいレベルではない。
美醜の概念は時代でまったく異なるので、我々が往事の美形とされた人を見ても同じように捉えられたかは不明。
それだけに風俗や習俗の考証、研究は難しい(当事者にしても言語化が難しい場合もあるからなおさら)。
動力も電力もないからやることだけは山ほどあるが反して娯楽は少ない。傍証はあっても核心には迫れない。だから、この手の論文は面白いのだと思う。