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投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
朋子の母親の郁代は白痴美ってやつかな。
母親が「御職を張りました(風俗店で今月もトップだったよ!の意)」なんてのんきに手紙送って来るとか、たまらないだろうなと思う。
しかし男にだらしない母親でも最後まで従ってくれる下男がいるというのもまた朋子にはイラッとする事実。
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絢爛な色彩と感触の世界。「女」を花柳界の中心で生きる美しすぎる母親と、針で支える娘。あまりにも「女」をどっぷり生きていて、圧倒されます。
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有吉佐和子さんの本の中で一番お気に入り。女性の内面の感情描写がすごいです。大正(明治かも)から戦後まで行きた女性主人公の生きざまの話。主人公が賢く仕事も出来る人で好き。遊女の母への愛憎っぷりがすさまじいです。超憎いし腹立つけど結局許して受け入れる親子愛。主人公が同じ名前だから余計感情移入。
最近の小説って人生の若い一時期だけに焦点当ててるものが多い気がするけど、有吉さんの作品は一生を描いていてとてもいいです。
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大学3年生の後期、図書館で試験勉強の合間に、手に取りました。息抜きがてら、のつもりが、読み始めると止まらず、一気に読み通しました。
花柳界に生きた母娘の物語で、身勝手に生きる母親・郁代に対して、憎しみを覚えたり、(母親なのだからと)心の支えにしてみたり、娘の朋子のめまぐるしく変わる愛憎が描かれています。
印象深いのが、郁代の最期と、母の死を知った朋子の言葉。
郁代は、娘が急病で危篤であるとの知らせを受けて、狼狽えて、慌てて表に飛び出したところで、ジープに跳ねられ即死してしまいます。回復してから、母の死を知らされた朋子は、「お母さん、死んでしまったんですねえ。(無様な死に様を見せず、何の迷惑もかけずに葬られ)帳尻を綺麗に合わせて死んでしまったんですねえ。」と、静かに涙を流します。
このシーンに、彼女たちの関係の全部が表れているように思います。
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わーやっと読み終わった・・・
もう絶版なのか本屋で売ってないから古本で購入。
まだ有吉佐和子の小説は3冊目だけど、登場する女性達、私好きです。
もう時代とか関係なく、彼女らの何かに固執する強さとか
ぶれない芯みたいなものを揺ぎ無く押し通す姿勢って
見てて気持ちいいし、天晴れだと思います。
朋子が母の遺言通りに、田沢の家にお骨を納めにお願いするために
赴き、ざっくりと断られた後、
「三つ重ねの包みを受け取るや否や、朋子は田沢家の門柱めがけて、発止と投げつけると、次の瞬間にはもう車中に戻っていた。「走って頂だい、早く。和歌浦へ戻るのよ」」
「あんな家は、一度火を点けて燃やしてしまえばいいのだ。そうすれば、棲んでいた人間たちも頭が切り替わるだろう。焼け爛れた東京が今のように復興したように。」
こんな台詞を朋子に吐かせる有吉佐和子の世界をもっと知りたいと思う。
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祖母、母、子、孫の脈々と受け継がれていく、女としての運命。
『芝桜』と違って、花柳界よりも宿屋の方が分量的に多かったかな??
芸者から女将になっていくのは『芝桜』と同じ展開。
でも、正子&蔦代の親友って関係と違うのは、郁代&朋子が親子って関係であるところ。
郁代がいつまでたっても若々しく、ずっと女であり続けるのは、恐ろしいくらいでした。。
「おかあさん、あなたが何度も結婚をし子供を何度も生んだりするから、
私は結婚も子供もできないんですよ……!」
とまで、実の娘に言わしめる母親は、強かで計算高くけれど信心深い蔦代をはるかにしのぐ、
強烈な女でした。。
この作品を読んで、人の死があまりにもあっけないことをすごく実感した感じ。
有吉さんは、超大事なことを、さらっと書いてしまって、物足りない気がしてたのだけれど、
そのさらっと書かれたために、余計心に凛と刻まれるって効果があるのかもと気づきました。
花柳界には殆ど触れてないのが物足りないけど、女の執念・生き方みたいなのが
仔細に書き込まれていて、勉強になったというか、自分も同じ女であることが
怖くなりました。。
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奔放な母と真面目な娘の40年間、というわけですが、私が娘なら許さないですね、この母。
そしたら妹の安子が全くその態度で。ってことは私も安子・・・?てか郁代???
朋子のように強くかっこよく生きたいと憧れますが、その朋子の胸の内にももやっとした闇があったりして。
久々読む有吉作品の女たちはやっぱり生々しかったです!
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親子3代の話。
名門に生まれながら、祖母の死後、母の放蕩で身を持ち崩す娘。
それでも母を見捨てられない、情の深さ。
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自分の美しさを傲慢にひけらかし、自分の美貌にしか興味の
ない母親郁子のもとに産まれた朋子の幼少から老年までの物語。
母親らしいことは何一つしてもらえず、母親は自分が困ると
娘を頼りにし、困ってない時は娘を顧みない。
朋子は祖母に育てられ、母親の再婚家庭に引き取られたかと
思えば、すぐに芸者に売られ、更に同じ妓楼に遊女として
母親まで売られてくるという壮絶な日々を送る。
しっかりもので自分の将来をみすえ芸者から一流料亭の女将へと
出世していく朋子とだらしなく傲慢で自分の事しか考えてない
郁子のやり取りに苛立ちを覚え、大変疲弊する読書だった。
更には郁子の2回目の再婚相手との子供安子まで、
母親そっくりの美貌でそれでいて気は効かなく困った時だけ
姉を頼りにするので読んでいて朋子のお人よしに苛々した。
ただ最後の結末は人生の妙を感じるような、今までの母娘の
確執がすっとぬぐいさられるような終わり方でとても良かった。
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有吉佐和子の紀州弁が含まれている小説はいいなぁ。女性の一生を描かせたら有吉は素晴らしい。紀ノ川に通じるものもあるが、また違う趣きの作品。
読み応えがあり、途中なかなか止められない小説だった。自分の母親にも、母親としての自分にも似ていない郁代なので共感はできなくても、とても面白かった。さすが有吉。賢くて我慢強い朋子が不憫で、どうにか結婚するなり、子供を生むなりせめてどちらかは実現して欲しかったのに、作者はそれを与えなかったのが残念でならない。自分としてはもう少し朋子が報われる内容だと良かったな。
郁代が死んでしまった時はさすがに泣けた。「最後に帳尻を合わせたんですね」とつぶやく朋子。朋子がそう思えるなら、それは救いになって良いと思った。そして、自分の骨を半分は朋子に残して欲しいと言っていた事実もまた救われる。もしかして、遺言を実行して欲しかったからかもしれないが、それでも郁代がそう言っていたと分かるのは良かった。
星が5にならなかったのは、どうにも最後の江崎に対する執着がしっくりこなかったのと、なんとなくここまで来たら朋子の最後も知らないと気が済まないなー、と読後思ってしまったから。
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木下惠介監督の映画「香華〈前篇/後篇〉」を観たあとに読んだ。当然・・・・、登場人物に音羽信子やら岡田まりこが浮かぶ。
最初に読書すべきだったかな・・・・と反省。
それにしても、木下監督はほぼ忠実に小説を映画化している。
だから「長く」なったのでしょうが、それでも安子は郁代には似ず美しくなかったし、色事は省かれてもいた。
有吉の作品に登場する女性はどれも結局は「強く」生きているようだ。
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今まで身近な死を見送りつづけた朋子が「生」についての認識を新たにするところが印象的
少し光が見えたようで救われた
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奔放な母と、それに振り回されるしっかり者の娘の愛憎を描く。
そりゃあ誰が見ても母は最低の母親なのだろうが、振り回される方も悪いんじゃないか、もっと毅然とすればいいのに、と思ってしまうのは私が若いせいなのか、それとも時代のせいなのか。
確かに母は褒められた性格ではないのだけど、それでもどこか憎めない。
人は誰しも、自分の思うままに生きたいと思うものだけど、それすなわち誰かを傷つけても構わないということになるのかもしれない。
誰かを傷つけないように生きれば、自然自分がどこかで傷つかずにはいられない。
母にも娘にも感情移入はせず、ただ親子の情愛の不思議さを思った。
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芝桜、木瓜の花の正子と性分が似ていると思います。賢くて生真面目で品格のあるところ。だけど朋子がどれだけ正しく清らかに生きても世間一般からみるとけっして堅気ではなく本来ならば、こいさん、お嬢さんでいいところの奥さんになるはずの人が波乱の運命をわたります。
時代背景と風習そして着物、布地などの描写が興味深く毎回勉強になります。
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毒親とはこういう人をいうのだなぁ。
朋子の幼少期の心の描写が興味深かった。
2人の幼い娘を育てている今、自身の立ち振る舞いがこうも子に影響するかと思うと恐ろしい。
ただ、郁代のように育児の責任感を一切感じずに生きていけたらどんなに精神的にラクだろうと思う。
毒親の祖母の世話を甲斐甲斐しくしている我が母に勧めたい1冊。