紙の本
哲学の入門教科書として
2019/05/21 08:06
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投稿者:motoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
常に手元に置いて、参照するために役立ちそうです。巻末の用語集も良かった。
紙の本
哲学という山脈を辿る
2014/04/06 18:33
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やびー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の全文より、「復刊によせて」を佐藤優氏が書かれているが、本書の存在を佐藤氏の著書の中でその存在を知っていた。
偶然、書店で見かけた時にはびっくりしたが、本書は1962年に富士書店から刊行され、新たに今回、復刊に至ったとの事。
今、流行りの「超訳~」みたいな、適当に文章を抜き出し手前勝手に解説した薄い内容を読んで哲学を解ったつもりになるよりも、解りやすい文章で哲学の歴史を順に追って説明し、その深淵な思想への入口へた誘ってくれる。
具体的には二部構成で本書は書かれており、一部は哲学思想史を具体的に解説。二部では、十五人の哲学者に焦点をあてて、詳しくその思想に触れるだろう。
哲学に興味を持つあなたのガイドを努めてくれる、頼りになる一冊だろう。
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哲学の初学者は、まずはこの書籍から読み始めたら良いかと思う。
西洋哲霊は、「Plátōnに対する一連の脚注である」というのは有名な言葉である。
ただし、最初からPlátōnを読み始めるのはチャレンジングであると思う。
まずは土台を固めてから建物を作ったほうがよいのである。ここでの基礎とはつまり、哲学を俯瞰的にみた視点であり、古代から現代まで哲学が何を論点としてきたのか、ということを意識してまず眺めてみる。
本書はこれにぴったりの一冊である。
1人数十ページでまとめられており、15人の哲学者が登場する。
かなりメジャーな哲学者が多く、歴史の潮流を完璧に捉えている。が、ページ数の制約から、哲学自体の紹介はかなり荒いと思われる。
さて内容であるが、哲学とはその本質に、究極まで物事を疑いなにが真理であるのか、ということを探る学問である。数学でいう公理系を世界に対して構築するようなものである。
ある人は、物事の本質が「あり」、それが存在として表面化すると言う。ただし、その本質は見ることができない。
一方で、実在主義者は確かに本質はあるかもしれないが、それを見ることができないのでそれに意味はなく、その存在が本質であるという言う。
(さらにSartreは実在主義の観点から上記の理論を精密化している)
というように、哲学とは新しい人が新しい理論を構築するというよりも先人の理論に対して新しい解釈や反対する論理を構築するという歴史的な背景があるのだ。
(この意味で、哲学はPlátōnの脚注といわれるのであるが)
また、哲学の書籍で頭を悩ませるのが難解な単語が多いことである。その点で、本書は巻末に簡単な辞書が載っており必要に応じてそちらを参照することで理解の助けとなる。
が、常々思うのであるが、哲学の専門用語を調べると、それを説明している単語もわからなくなる。
例えば、「実在」とは真実の存在とある。そこで問題となるのは「真実」と「存在」の意味するところであるが「存在」の意味は載っていない。存在するってなんでしょうか。
哲学って難しいし、この一冊で哲学を理解したならば、たぶんそれは哲学をわかっていない証拠であろう。
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「万有の真相は唯一言にして悉す。曰く『不可解』。我この恨みを懐いて煩悶終に死を決するに至る」藤村操 批判が印象的。考える事を放棄した人間が自殺をする。答えが欲しければ宗教に向かえばよい。但し無数の教義の中から1つを選択する素朴さが必要だろう。逆に哲学は人生観の探究である。という「人生と哲学」の他に「科学と哲学」「社会と哲学」の3つの側面から、「哲学とは何か」を論証。この中で最も重要なのは「社会と哲学」である。人間は社会的動物であり社会と切り離して人生の意義について考える事は不可能だからというのがその理由である。よって「哲学とは科学的世界観に関する学問である」というのが本書のスタンスになっており、やや社会科学的側面が強いかなという印象。1部は興味深く読んだ。3部の用語集も参考にはなる。
メインは2部で、15大哲学として15人が紹介されているが、やや過不足感があるように思う。ハイデガーやニーチェが抜けてるし、著者の主観好みで入ってしまったような入門書にはどうかなって人物もいる。50年前に出版された本なので仕方ない部分もあるが、各々の説明の古臭くてわかりにくい。ある程度の知識があって、批判的に読むのが妥当な感じで、私のようなあまり知識のない人間が入門書として読むには相応しくないような。佐藤優推薦だからといって全ての読者に有益であるかというと、そんな事はないという当たり前の事実を認識した。ただし、前書きの塾講師との師弟関係の記述はちょっと感動的で、この本が彼の思い出の1冊であるというのは伝わってきた。
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大きな哲学史の流れを十五人の哲学者を紹介する形で述べられた書。表紙もポップだし、平易でわかりやすい文章で書かれているので、割とすらすら読める(といってももちろん哲学の書物です…)。600ページに哲学史の概観と15人のさわりの説明なので、やはり物足りない。ここから気になったものを深く掘り下げる形がいいだろう。私はやはりサルトルの実存主義が気になる。哲学に少しでも興味があるのなら読むべし。
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朝、出張に行く前に東京駅構内の本屋で手にした本。帯に「佐藤優推薦!」とある。そういえば、この本を紹介していた記憶があった。買うしかないじゃないか!
冒頭に佐藤優さんが「復刊に寄せて」とコメントを書いている。彼がこの本を手にしたのは中学1年生のときらしい(今から42年前!)。確かにこの本は分かりやすく書いているが、なんと中学1年生がこれを読んでいたのかと思う。赤線をたくさん引きながら、ボロボロになるまえ読んだ本らしい。いまの佐藤さんがある理由を垣間見れるような気がする。
本書がいいのは、最初に哲学の歴史的流れ(概観)がある点ではないか。2部構成になっていて、前半が哲学の歴史的流れ、後半が個別の哲学者の紹介となっている。人の営みの根底に流れる考えが、古代から近代までにどういう風に変遷してきたのか。それをザッと理解してから個別の哲学論に入るというスタイル。そこが秀逸のように思う。
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ギリシャの哲学者から現代にいたるまでの哲学の歴史を、その時代時代に影響を与えた主要な15人を紹介されることを通じて解説をされています。個々の時代において、どのような考えがあったのか、その中で哲学者がどのように活動したのか。それが連綿とはいかずともつながり、後世に影響を与え、新たな哲学を生み出した流れを一つ把握することができます。過去から今に至るまでの哲学史の教科書といえるものだと思います。本書の主要な内容としては3つに分かれており、1は哲学の歴史を一通り解説されており、2は個々の哲学者15人についての解説、3は用語の解説となっています。偏った方向に行かないように慎重に丁寧に書かれていますので、安心して読み進めることができました。思想や哲学の場合に得にくかった「巨人の肩に立つ」を感じられる必読書だと思います。
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【読書その140】尊敬する佐藤優氏の推薦の哲学書。哲学を学びたいと思っている人にはお勧めの入門書。アリストテレス、プラトン、カントなどの哲学者の考え方をコンパクトにまとめた本。
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中江兆民より
「わが日本、いにしえより今に至るまで哲学なし…すべての病根はここにあり」
「哲学なき人民は、なにごとをなすも深慮の意なくして、浅薄を免れず」
日本人について…哲学なきものの小利口。あらゆる変革がつねに不徹底、妥協的、表面的。
教育の根本を改革して人民を鍛え上げるよう努力することだ。
…と書いてあるのを読むにつけ…納得しかない。
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入門書とあるが、難しいと思う(私自身哲学は門外漢)。
特にキルケゴールがきつかった。時間をおいて再読する。
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1962年に出た『世界十五大哲学:哲学思想史』という本を文庫版で復刊したもの。まず哲学とはどういう学問か、哲学思想史の概観が解説され、その後にソクラテス、プラトン、アリストテレス、トマス・アクィナス、デカルト、ロック、ディドロ、カント、ヘーゲル、キルケゴール、マルクスとエンゲルス、チェルヌィシェフスキー、中江兆民、デューイ、サルトルの15の思想について、時代背景と主な著作の内容、著者らの分析を合わせて解説される。巻末には「用語解説」として、本文中に出てくる哲学用語を解説した部分があるので、第一編が読み終わったら用語解説に飛んでから第二編を読む、という流れがいいかもしれない。
文庫版においては佐藤優という作家の解説が冒頭にあるが、「この本は12歳の時に買いました」みたいなことが書いてあって、いきなり気分を害してしまう。分かりやすいし面白いけど、30のおれが読んでも結構何回も読み直したりして、決して簡単なものではなかった。
まず哲学の精神とは「人民の中にあって人民のために考え、かつそれを実現するために働くこと」(p.534)であるという著者の強い考えが伝わってきた。そして思想史全体としては、「感覚的には知ることができない精神とか神とか、あるいは自我とかを原理にして、そこからすべてを説明」(pp.559-60)する観念論と、「原子とか、なんかの法則とかを原理にして世界の諸現象を説明」(p.560)する唯物論という、存在に関する思考の2つの出発点があるということが分かった。さらにそれを越えようとした現代思想(プラグマティズム、実存主義など)がある、という構図が見えてきた。
以下、興味深いと思ったところを列挙すると、ギリシャ哲学が衰退し、エピクロスやゼノンのような「どうすれば各個人が心の不安なしに生きられるか、という生活術を説くもの」(p.97)が現れたかということについては、ギリシャ哲学がそもそも統治者による哲学であり、労働者(奴隷)には開かれたものでなかったから、という分析は面白いと思った。「統治者とは」という視点しか持っていないと、コスモポリタンとして世界人民の平和をという発想に至らない、ということだろうか。
ソクラテスの後への影響について述べられた部分が興味深い。「主体的な側面がより全面にでるか、比較的背後にしりぞいているか、ということは、それぞれの哲学者によってちがいがある。しかしそれにもかかわらず、主体的な問題をまったく含まない哲学はない」(p.205)と解説され、理論と実践の統一を目指す哲学像はソクラテスによって及ぼされた影響とされているのが重要な部分だと思った。
また、思想と言えばよく「形而上」、「形而下」ということが言われるが、もともと形而上学とは、アリストテレスの遺構を編集したアンドロニコスが自然学の後に(=メタ)置いた学問(第一哲学)という編集上の都合を表す言葉に過ぎない、という部分に驚いた。「わかりにくくいやな言葉」(p.251)と著者が書いているのが面白い。
次にカントの認識論における悟性、というのが高校の時勉強しても訳わからん、と思ってたけど、要するにドイツ語のVerstandの訳語で「理解力」ということだ(p.614)、というのは知らなかったし、理性とは違うものだ���いうことは分かった。そして一見すると要するにヒュームの「目による主観主義から頭による主観主義に変った」(p.383)というのは分かりやすい。
そしてヘーゲルと言えば弁証法だけど、そこから三分法によって体系化するということが言われたが、「あくまでも対象の内的運動を追求するという弁証法的方法の主旨を裏切り、かえって、外的、偶然的な理由をあげて事柄にとって余計な説明をもっと捕捉しなければならぬ破目に、ヘーゲルをおとしいれている場合が多い」(pp.424-5)というのは、なんかヘーゲルに限らず、いろんな学問の理論や、あるいは組織の規則なんかでありそうなことだなと思った。そしてこれが「観念論的弁証法」であり、エンゲルスが言う「唯物論的弁証法」というのは、「対象における矛盾の解決は、出発点にあったものより以上の具体化であり、より高い発展である」(p.491)と述べたのも面白いと思った。
最後に、チェルヌィシェフスキーという人を初めて聞いたが、この人は「25才で結婚するまえに、その婚約者に、自分には苦難の運命が、おそらくは死がまっているかもしれない、と語っていた。しかも彼は、敢てその道を進み、自らこの苦難の生活を選びとった」(p.514)人で、25年も流刑地にいたというすごい人らしい。哲学者というのは、実際はこういう人たちのことを言うのだろうか、と思った。そしてこの人の言う「あたらしい人」とは「打算」に基づいて行動し、「善と真、誠実と知識、性格と知性は、同一の概念」(p.525)となり、「気にいった有益な労働にむけられた知性は、人類の真の利益と一致するような個人的利益に合致すること、したがってもっともきびしい正義ともっとも鋭敏な道徳的感情とがもつ諸要求に合致することだけを、つねにすすめる」(p.525)という思想は、なんか悟っている感じがする。打算、というのがどういうことなのか、もっとよく知りたいと思った。
他にも、デカルトの用意周到な性格や、キルケゴールの恵まれな生涯など、思想というのはその人、その時代を見ることによって、よく見えてくるんだな、と思って、高校の時はそういう学習をしなかったので、分厚い本ではあっても飽きずに読むことができた。(14/12/27)
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偶然ブックオフで見つけた。いつもは100円コーナーしか見ないが、少し気持ちが大きくなって、違う値段帯のコーナーを見ていたらふと目についた。開きもせずに買うことにしたが、序文に佐藤優の推薦文が乗っており、彼もこれを持って哲学の入り口としたとあった。中学2年の頃だったというので恐れ入るが、しかしとても読みやすい、今までの入門書が何だったのかと思うような語り口である。今までの煩雑だった知識が見事に整理され、哲学史含めすっきりと自分のものになっていくことを感じた。マルクス主義の立場で書かれているが、一般的な理解も含めて平易に書かれ、自身の哲学的姿勢を持っているならば偏りなく学び取れる。これぞ良書。
構成は3部でできている。第一部は哲学思想史、第二部は15人の世界的哲学者の人生と思想をそれぞれわかりやすくまとめている。そして第三部は哲学用語辞典である。これも丁寧でわかりやすい。
いい本との巡り合わせは「出会い」と表現したくなる。そこには人生観があり世界観があり、深い情的な交わりがある。
2015/2/23
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序文では含蓄がある哲学についての概観、哲学への取り組み方などが端的な言葉で述べられている。続いて、第1章哲学思想史のⅠでは「哲学のすすめ」が詳しく書かれている。この数十ページを読むだけでもいかに私たちにとって哲学的考え方が大切であるかを理解することができる。哲学者については、主にデカルトを読んだ。他のデカルトに関する本の内容とも比較しながら読んだが、デカルト像が今までにも増して立体的に深くとらえることができた。
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読みやすい本。表現がわかりやすく、しかしその哲学者の思想核心にはちゃんと触れている。
しかし中には「おや?」と思う哲学者も混じっている。
それとこれを書いた学者さんがマルクス主義者のためか、観念論を唯物論より劣った思想とする主張が文章に滲み出ているので、その辺を割り引く必要がある。
あと関係ないが、佐藤優って人が何かにつけて用いる「ビジネスに効く」の売り出し文句に見え透いたマーケティング臭を感じて不快になる。
哲学ってビジネス以前に目的とする何かがあるべきなんじゃないですか。
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佐藤優氏が初めて買った哲学の概説書、ということで、PHP文庫で復刊されたもの。著者らはマルクス主義哲学の立場にあること、刊行が1962年であり、古くなっていること、OCRによる誤字が幾つか見られるなど、問題点がありますが、哲学史、15名の代表的哲学者の思想のコンパクトな解説などは、なるほど、確かに価値があると思いました。これで、1000円は安い。