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  • カテゴリ:一般
  • 販売開始日:2014/04/09
  • 出版社: KADOKAWA
  • レーベル: 幽ブックス
  • ISBN:978-4-8401-2751-6

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怪談文芸ハンドブック 愉しく読む、書く、蒐める

著者 著者:東 雅夫

「怪談の定義」「ホラーとの違いは?」「創作怪談と実話怪談の違いは?」「長篇怪談の書き方教えて」「怪談名作ブックガイドを知りたい」「怪談の歴史を知りたい」・・・。『幽』編集...

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怪談文芸ハンドブック 愉しく読む、書く、蒐める

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商品説明

「怪談の定義」「ホラーとの違いは?」「創作怪談と実話怪談の違いは?」「長篇怪談の書き方教えて」「怪談名作ブックガイドを知りたい」「怪談の歴史を知りたい」・・・。『幽』編集長・東雅夫に寄せられたさまざまな疑問に、お答えする一冊。なぜ今、宮部みゆきや京極夏彦は「怪談」を書くのか?「怪談」ブームの仕掛け人である東雅夫が、文学的に、歴史的に、怪談の魅力を紹介していきます。

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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.4

評価内訳

  • 星 5 (3件)
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  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

特盛りの1冊

2009/05/21 02:16

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:マッチパフェ - この投稿者のレビュー一覧を見る

一陣の風に吹かれ、桜の花弁が舞い散る或る夜のこと。
怪談について理解も知識も乏しかった私は、細く長い村はずれの道をあてもなく歩き続け、桜並木もいつしか遠くなり、川沿いの柳の木の下を過ぎると、やがて音もない闇の中に一人で佇んでいました。

その時です。
鼻先を火薬の臭いが掠め、ぽぅっとほのかな明かりが球状に広がり、それが闇を少しずつ溶かしていきます。
光は徐々に大きくなり建物のような形へと変わり、何と目の前に現れたのは一軒の古い薬局でした。
どこまで続くのか分からない程に奥へと続く薬棚。
入口近くの棚の前には、年代物の天秤計りを手にした、ニヒルな笑みを見せる主の姿がありました。

嗚呼。
中医に姿を変えてはいるものの、私の記憶に間違いがなければ。
怪談、ホラー、幻想文学に幅広く精通した我が心の師匠、東雅夫氏ではありませんか。

夢か現か幻か。
思わず私はこんな言葉を漏らしていました。
「昨今書店に溢れる怪談、ホラーの書籍の山。数はあれども、どれを読めばよいものか全く見当が付きません。私は怪談という読物を甘く見ていたのかもしれません。もし許させるならば。師よりお導きの幾つかのお言葉を頂きたいと思うのです」
師は優しい目をして頷くと、次々と薬棚を開いていきました。抽斗からは薬草、蜥蜴のような形をした黒い乾物、掌でひらひらと蠢く白い虫、等々。一体幾つの品が出てきたのか、今こうして思い出せる範囲で思い出そうとしているのですが、残念ながら全てをここに書き記すことはできないでいます。

そう。
まさに「怪談文芸ハンドブック」は、秤の上に載せきれない程の東氏の知識を特盛りに、また決して喉越しは滑らかではないものの圧倒的なデータ量をもって古今東西の怪談をぎゅぎゅぎゅっと濃縮した、怪談文芸の特効薬と言えるでしょう。
後半第2部の怪談文芸史では至る所にびっしりと古典から現代までの(何とてのひら怪談までも)怪談を取り揃え、読み進むにつれて、新学期にとても分厚い教科書を手渡されたような、くらくらした心持ちにさせられます。
そして目次にはショートカットとして機能するような気の利いた小見出しは無く、一通り読んだ後にふと思い出して見たい箇所を探そうとしても、また1ページ1ページ繰らなくてはなりません。

しかし思えば近頃の本は読者に親切になりすぎてしまいました。区切りよく内容を要約した小見出しを素早く眺めただけで読了した気分になってしまう事も少なくはなく、本そのものの成分を旨味も苦みも含めて完全に自らの血肉にできないでいるのではないか、と。

振り向けば、いつも歩きやすい道ばかりを選んで進んではいないだろうか。

この本を読んでいるとそんな考えに、はっと気づかされました。



簡単に服用できるカプセルでも錠剤でもない、昔ながらの生薬さながらに仕込まれたこの特製ハンドブックが、貴方の怪談ライフに快方の光をもたらしますように。

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紙の本

「怪談の探求」とは、「人の世の営みそのものの探求」だった。

2009/05/27 00:50

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

これは、「語り」なんだろうな、と思っていた。

「講義」であって、「講義ノート」では、ないんだろうと。

結語が「御静聴、ありがとうございました」だったことが、
妙に嬉しくなってしまったくらいだ。

目の前にいる人に、愛してやまない世界を語るのが
嬉しくってしょうがないような気持ちで語る、
代わりに、文字を綴っていたのだと想像する。

テキストに、「書くように/読むように書かれた」ものと
「話すようように/聴くように書かれた」ものとがあると考えるならば、
これは後者なんだろうと思う。

ここにすべての答えが書いてあるから
辞書のように引けばいいというものではなくて、
情報の入り口を書いた未完成の地図なのだ。

探求しようとする者がノートを作っていく
最初の手がかりが示されているのだ。

著者の書斎には引用した資料が一次資料も二次資料も
くまなくそろっていて、
文献リストだって、年表だって、作品同士、作者同士の関係図だって、
メモ書きか、頭の中に、きっとあるはずなのだ。

だけど、それはここには書かれていない。

そこまで書いたら、きっと持ち歩けないような
辞書的ハンドブックになっただろう。

それを書かないことで、語りを聴いた私たち探求者たちの
「仕事」を残してくれているような気がするのだ。

読んで満足しておしまいではなくて、
次なる行動を、怪談を読むこと/書くことを、引き出すことを
意図している本に違いないのだから。

目次にしたって、本当は、この行間が埋められたものが
存在するのではないかと思ってしまうほどにシンプルだ。

はじめに

第一部 怪談をめぐる七つのQ&A
 Q1 怪談の定義とは?
 Q2 怪談に特有の魅力とは?
 Q3 ホラーと怪談の違いは?
 Q4 なぜ今、ホラーではなく怪談なのか?
 Q5 創作怪談と実話怪談
 Q6 長い怪談と短い怪談
 Q7 怪談の蒐集執筆のコツは?

第二部 怪談の歴史を知る
 第一章 古代の文学と怪談と
 第二章 欧米怪談文学史をたどる
 第三章 日本における怪談文芸の系譜

あとがき

著者は、ご自身がアンソロジストだからこの本は
アンソロジー的書物になったと述懐しているが、
読み手の私自身はというと、図書館勤めをしたことがないのに
根がどうしようもなく図書館屋気質のようである。

あるいは、言葉を音声として捉えるよりも文字として捉える、
聞くよりも読む方が得意だからこうなるのかもしれないが。

章の下の節の部分というのか、
それぞれの部分でどの著者のどういう作品が紹介されていたのか
それがどういう関係でつながっているのか、
一次資料か二次資料かなのか、整理したくてしょうがない。

参考文献リストや年表を作って、
いったいこの本を支える作品たちは
いくつあるのだろうかと数えたくてしょうがない。

困ってしまった。

私は、怪談を読む人でも書く人でもなかったはずなのに・・・。

だいたい、ホラーと怪談の違いといったような
用語定義系がごちそうだったのである。

目次を眺めて、傍と止まった。

答えられない問いがあると頭が答えを求めて検索を始めてしまう。

定義に絶対的なものは求めておらず、
著者がどう名づけをするのかに興味があっただけなのだけど、
これらをめぐる用語がどう変遷してきたのかを示し、
「怪奇」と「恐怖」と「幻想」と「怪談」をそれぞれ「名付け」、
そして、「ホラー」と「怪談」は、
どちらが「上位概念」かも示されていたので、
この世界の「分類目録」が、なんとなくわかって、落ち着けたのだった。

第一部の結語は、とても深淵で、
なぜだか、読んでいたら泣きたくなってしまった。

   そもそも怪談とは、人と人との深い関わり合いの中から
  喜怒哀楽を交えて生み出され、
  人から人へと語り継がれ読み継がれることで「物語」として
  生命を繋いでゆくものであり、
  そこには当然のことながら、人の世の営みの総てが、
  千変万化する万華鏡さながら、
  妖しく、美しく、反映されています。

   それゆえ、怪談の探求とはすなわち、
  人の世の営みそのものの探求に他ならないのです。
  自分を取り巻く人々や社会や文化、その過去と現在と未来に
  絶えざる好奇のまなざしをそそぐこと
  ―これこそが怪談探求の第一歩であることを、
  どうか心していただきたいと思います。

  (p.84)

今まで、私自身は、怪談とはあまり縁がないと思っていた。

だけど、これは怪談だとは思わずにインプットしていたものは
たくさんあったことに気づいた。

近代文学も日本民俗学も、怪談の探求から誕生していたという証拠が
確かにこの中に示されていたし、
フィールドに出て実際に当事者の話を聞くことは、
怪談を執筆することに限らず、
人文社会系の調査研究の大切な手法の一つである。

私の専門とする障害福祉は、現実を生きながらにして、
人が心の中で現実の世界に作り出す異界について考える
という一面もあるではないかとさえ思ってしまった。

また、本書は、書評の書き方の指南書としても読めると思った。

このように書いたら紹介されている本が読みたくなるという語り口を
理屈ではなくて、
実際に語って見せてくれているように思えたのだ。

私と本書の出会いは、『リトル・リトル・クトゥルー』に続いて、図書館の新刊書架だった。

図書館の選書担当の人は怪談好きなんだろうか。それとも・・・。

さて、このびっしりの付箋、どうしてくれよう。

私の頭の中はどうやら探し物をはじめてしまったようなのだ。

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紙の本

著者コメント

2009/02/28 15:50

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:東雅夫 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ひと晩でサクッと読めて、怪談を書いたり読んだり蒐めたりするときに必要な基本知識が総て身につく……そんな入門書があれば便利だなと思って構想執筆した本です。結果的に、一種のアンソロジー的書物(特に第二部)になったのは、アンソロジストの性(さが)でありましょうか(笑)。これから怪談入門を志す方はもちろん、すれっからしのマニアにも、それなりに面白く読んでいただけるのではないかと思います。どうかよろしくお願いいたします!

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2013/03/11 21:13

投稿元:ブクログ

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