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電子書籍
なぜ、あなたの薬は効かないのか?~薬剤師しか知らない薬の真実~
著者 深井良祐 (著)
風邪をひいたとき、頭痛のとき、腰や膝に痛みが走ったとき、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状が出たとき、私たちは薬に頼って痛みや症状を緩和させますが、「自分は薬の...
なぜ、あなたの薬は効かないのか?~薬剤師しか知らない薬の真実~
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なぜ、あなたの薬は効かないのか? 薬剤師しか知らない薬の真実 (光文社新書)
商品説明
風邪をひいたとき、頭痛のとき、腰や膝に痛みが走ったとき、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状が出たとき、私たちは薬に頼って痛みや症状を緩和させますが、「自分は薬の性質をよく知っている」という人はどれくらいいるでしょうか。また、「薬はなぜ効くのか」というシンプルな問いに正しく答えられる人はどれくらいいるでしょうか。「セルフメディケーションの時代」に必要な考え方を、この一冊で学ぶ。
著者紹介
深井良祐 (著)
- 略歴
- 1986年岡山県生まれ。岡山大学大学院修士課程修了。創薬化学(メディシナルケミストリー)専攻。医薬品卸売企業を経て独立。薬剤師として臨床にも従事し、医療系コンサルタントとして活動。
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紙の本
薬についての最適な門前書。
2016/02/09 23:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「この人は、公平だ」医療従事者である私が思った読後感がこれです。
薬は毒だから飲まない方がいいとか、薬に関しては極端な本が多い中でクールな分析がもたらされた本です。
もしですね「8割の人に効果のある薬です」って言われると、例えば掃除機みたいに自分の買った掃除機がひょっとしたら動かないかもしれないって、普通はないですよね?満足のいく結果が得られないと、薬は悪者だと罵りたくなります。
新薬創出の現場では理由はわからなくても薬の効用が見つかればいいと考えられて研究開発が行われています。一般的に有名なアセトアミノフェンという解熱剤がなんで効くのか?ってのは今のところ詳しい機序はわかっていません。「ひとまずやってみよう、数多くの実験を行えば、その中で一つは正解が見つかるだろう」という心理があるわけです。
「そんないい加減な!」って思うかもしれませんが、とにかく効いてくれたら、もし副作用とトレードオフでも利益が上回っていたらいいというのがベッドサイドに横たわる人の願いであります。
政府はジェネリックを推進することで医療費削減を望んでいます。で、ジェネリックは安いとか、そのメリットはTV画面を通じて見れば、十分PRされているのですが、そのデメリットってのは公平に伝達されているとは言えません。
慢性腎不全の治療薬として用いるある薬によって、逆に速いペースで腎不全が進行したことがあり、品質問題に関しての悪いイメージが残っていること、日本では、もともとの自己負担額が少ないからジェネリックにしてもそんなにお得感がない。薬の有効成分の特許が切れても、製剤に関する効果があります。例えば、湿布剤が伸びてくれないなど、使い勝手の差があります。そして、過去に良かったから、この薬を使い続けたいという「こだわり」もあります。
とはいえ、ジェネリックは悪者でもなく、ジェネリックにしてよかった例も挙げています。
医療は情報の非対称性があり、専門家からの父権主義から「あなたの自己判断ですよ」っていうセルフメディケーションとか、自分で考えて選択し、判断するという悪く言っちゃ「丸投げ」があるのですが、とはいえ、病院は敷居が高いです。待ち時間とかあるし。アメリカでは薬剤師が無料で市民の相談を無料で行ってくれる何でも話せる身近な存在として活躍し、地域の薬剤師が患者さんの健康を総合的に見るという役割を担っているそうです。
著者が先輩薬剤師から言われた忘れられない言葉として「君は、これまでにどれだけの患者さんを救ってきたの?」という言葉が載っています。薬剤師という職業上、疑義照会というチェッカーとしての役割が薬剤師にはあるのですが、医療事故を未然に防いだり、薬の受け止め方から、患者の深層が垣間見えたりします。
医療用麻薬を拒否するのは、麻薬が怖いという知識不足からじゃなくて、麻薬を使わないといけないくらい症状が進行しているということを認めたくない、とか。
一般の人にわかるように不特定多数の読者を想定した「書き方」になっています。この筆致に触れるだけでも、筆者のみんなにセルフメディケーションを考えてほしい、っていう本気度が伝わってくる良書であると考えます。