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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「33年後のなんとなく、クリスタル」を読みたくて,その前提としてこちらも購入。「うんうん,そうだったね」と独りで頷きながら読んでしまった。好きか嫌いかと言われれば「嫌いな著者」かもしれないが,賛同する評価・視点も多い。同時代人なのだけれども,もちろんこんな優雅な生活はしていなかった。もちろん,こんなにモテなかったしね。いや正直に言おう。全然モテなかった。でも、たしかガールフレンドと旅行に行ったときに借りて読んだのだっけ…。今回気がついたのは,解説が秀逸だということ。「注釈が本文で,本文が注釈」という見方は目から鱗だった。そう思って読むと,現代史の貴重な資料として読める。「33年後のなんとなく、クリスタル」が楽しみだ。
田中康夫氏が1980年に発表した当時の一大ベストセラ―で、一斉を風靡した作品です!
2020/05/31 11:03
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、作家、田中康夫氏が1980年に発表した小説で、我が国におけるポストモダン文学の先駆けとされる作品です。内容は、東京に暮らす女子大生兼ファッションモデルの主人公・由利の生活を中心に、1980年当時の流行や風俗を独自の視点と文体で描かれています。東京で生まれ育った比較的裕福な若者しか理解できないブランドやレストラン、学校や地名などの固有名詞があちこちにちりばめられており、それぞれに著者の視点を基にした丁寧な注釈と分析が入っており、それが話題になった作品でもあります。文藝賞にも輝いた同書を、ぜひ、読んでみてください。
なんとなく、クリスタル
2015/09/28 10:48
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投稿者:Carmilla - この投稿者のレビュー一覧を見る
「軽薄な作家が、軽薄な学生のことを書いた小説。何でこんな小説が『芥川賞』の候補になったのか、訳がわからない」
それがこの本を読み終えた第一印象だった。一流大学に通う、セレブな階層に所属する女子大生が、誰もがうらやむような生活を送る様子を描く小説。格差社会の現代で、こんな小説を発表する作家がいたら、周囲から総スカンを食らうことは確実である。ところが、作者のあとがきを読んだとたん、その印象は一変した。彼によれば、自分で読みたい青春小説を書きたかったのだという。今まで彼が読んできた「青春小説」は、現代の大学生の実態とはあまりにもかけ離れていた。そのことに違和感を覚えた彼は、それだったら自分で、今の大学生が何を考え、どう思っているのかをみんなに知ってもらいたかったのだ。そういう意味では、この作品は’80年代を代表する小説といえるかも知れない。
「クリスタルなのよ、きっと生活が。
2014/11/23 23:24
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投稿者:森羅万象 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なにも、悩みなんてありゃしないし……。」
高校生の頃に途中で挫折した小説。
膨大な量の注釈に辟易した。
今回、33年後を読むために、新装版でチャレンジ。
おもしろい。
小説本文よりも、注釈がいい。
注釈の説明のために、小説部分があるって感じ。
注釈読みたさに本文も読む。
そういう読み方がされる小説と言っていいのかもしれない。
由利の33年後が楽しみだ。
余談だが、さだまさしの注釈が当たり過ぎて笑えた。
それにしても、唐突に終わる、この小説本文は。
そして、人口問題審議会「出生力動向に関する特別委員会報告」等が掲載されている。
ここまで含めての『なんとなく、クリスタル』なんだよね。
そして何故だか、今とても、依井貴裕の『記念樹(メモリアル・トゥリー)』をなんとなく読み直したい気分だ。
そんな気分にしてくれるのが、この『なんとなく、クリスタル』なのだろう。
1980年文藝賞受賞作
2016/03/18 16:35
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
全編を通して固有名詞の乱出には、いささかうんざりした。しかし40年以上前の作品だが、今の若い人たちの虚無感を予感したかのような描写だ。
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酷評が常、一方で、ある時代を象徴する小説として、決して表舞台から消えることなく、ついには新装版が発売される作品に興味を覚えて。
バブル期の人たちって、何にも考えずにふわふわしてたの?理解不能って思っていたけれど、作中の大学生のちょっと冷めた、でも軽い感覚はリアルで納得できた。巻末に、明るい未来を予感してないのもすごい感性。クリスタルだもの。壊れるんだよね。想像してたより、ずっと面白かったですよ!
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若く美しく、経済的にも恵まれたエピキュリアンたちの生活
これこそが戦後日本のハッピーエンドであり
ここに添えられた大量の註釈は、いわば戦果の目録である
終わったはずの物語のなかで
人々は、快楽に浸りながら、それが永遠に続くものと信じている
新装版の表紙はセピア色の写真をイメージしたのかもしれないが
あんまりいい趣味とは思えなかった
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光源からの光を受けて輝く「クリスタル」のように派手な生活を送る学生たちのストーリーと、著者のユーモアと皮肉が盛り込まれた注というストーリーが並行して進み、最後に日本の将来を(まだ甘いながら)悲観的に予測する政府の統計が示される。
注には今では聞かないブランドやショップの名が並ぶ。1980年の大学生はいま50歳前後。
高橋源一郎さんの解説も冴えています。
続編の『33年後のなんとなく、クリスタル』も読んでみたい。
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新装版が出たので、再読。今でこそ、日本文学のマッチョな教訓的なものとは違う軟派な欧米化された小説は村上春樹や片岡義男などにより見慣れたものとなったが、当時は賛否あったのだろう。業界用語の連続のように横文字が並び、それぞれに細かい注釈が本文に溶け込んだ補足のように不思議に書いてある。現代人の、都会人の小説。
あと、高橋源一郎の解説レベル低すぎ。この人もう『さようなら、ギャングたち』と『ジョン・レノン対火星人』ぐらいで終わってるからそろそろ静かにして欲しい。
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舞台は1980年代前半。なんとなくブランド物を身につけて、なんとなく美味しいものを食べて、なんとなく楽しいところで遊んで…というお気楽な大学生たちの物語。
悩みもなく、金銭的な心配もなく、未来を憂うこともない。本当にそういう時代だったらしい。
ちょうどその年代に生まれた私からすると、羨ましいの一言だけど、たった30数年で日本の国力が随分と落ちてしまったってことでもあるのだと思う。
かるく読めるから何も考えたくないときにはぴったり。
たぶんこの小説はタイトル通り“なんとなく”読むのが正解だと思う。
物語は右半分だけで、左半分は脚注みたいになってる変わったつくりの小説だから、あっという間に読めてしまう。その脚注もちゃんと見るとけっこうシュールでおもしろい。
こういうおしゃれっぽくて重たくなくどこか乾いている小説、発表された時代にはきっと新鮮だったのだと思う。
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いったいどの位前に読んだのか思い出せない。内容もすっかり忘れていた。この話のその後が出ると知ったので、読んでみたくなった。読み終わっての一番の感想は、これを書いた人は、コンプレックスのかたまりじゃないの⁈、ということ。
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35年前の小説ですが、いくつかの固有名詞を置き換えれば今のことを書かれているかのようで、びっくりしながら読みました。と同時に、なんだか私たちの時代のその先が恐くなりました。「なんとなく」というのは適当に生きてるわけではないのだけれども、確たる感じもないので…。それをこんなふうに、ある意味見事に開陳されてしまうと、自分で保てる自分の身の置き場がない感じになるというか、落ち着かなくなります。なのでこの小説は結構ショッキングでしたが、『33年後の~』も気になってしまいます。
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2015年2月の課題本です。
http://www.nekomachi-club.com/report/18418
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留年した学生時代に一気に書き上げたというこの作品、見開きの左半分は注釈という特異な形式もさることながら、それ以上に今までにはなかった、感覚で生きる自分たちの世代の青春小説を描きたかったという。
主人公は、青学とおぼしき大学に通う女子大生。モデルの仕事もこなし、同居するミュージシャンの恋人がいながら複数の男友達もいる。経済的にも恵まれ、ファッションも音楽も生き方も、すべてを自分のセンスで選び、何ひとつ不自由することなく、なんとなくクリスタルな毎日を楽しんでいるが、その視線は常にどこか冷めている。
1980年といえば、バブルにはまだ間があるものの、物質的には豊かになる一方の日本だった。ブランド品がもてはやされ、きらびやかなファッション雑誌が女の子たちの生き方を先導し、How to本を片手に男の子たちが恋愛のノウハウを学ぶ。
クリスタル族という言葉が生まれ、社会現象にまでなったこの作品は、そんな軽薄な若者たちのバイブルのように感じ、当時はふふんと小バカにしていた記憶がある。
でもそれは、私がまさにそのお年頃、主人公たちと近い世代であったため、本質が見えていなかったんだ。小説として楽しむ以前に、ブランドやらレストランやら、その他の溢れかえるカタカナを嫌悪し、私はこんなふわふわした生き方はしない!と、反感を持っていた。だから、そんな表面的な捉え方しかできなかったんだなと、十分な大人になった今、青臭かった自分に気付き、ちょっと懐かしくもなった。
おそらくこの作品は、読者の世代によって捉え方が大きく異なるだろう。年配の方は理解に苦しみ、若い世代はこんなお気楽な時代があったんだ、へーと感じるのでは。で、ほぼ同世代の人たちは、それぞれ当時の自分の立場によって、共感したりしなかったり…。
ストーリーそのものよりも、やりたいことが何でもできたあの時代にしか存在しなかった、あの年齢の若者たちを描いたという意味で、非常に貴重な作品だと改めて感じる。同時に、それを今になって、身をもって感じることのできる自分の立場にも、感謝!
33年後を先に読んだが、考えるところも多く、順番としては正解だった。
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33年後から読んだが、そちらがあまりにも酷かったので、期待していなかったが…
当時の文化を残すと言う意味で価値のある本だとは思う。しかし、内容は薄い。そう感じるのは自分の読み方が薄っぺらいだけか…