イメージとして捉える数学
2015/12/24 06:58
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
優れた教師に出会った方、あるいはこういうものがあっさり身についている方には当たり前なのかもしれない。
私には数学部分だけで物理関連部分はパスなんだけど、今でもこの本の特定のページのイメージがしっかり頭に残っている。
普通の数学の本であればまさに最初のとこ、入口をなるほどと、なぜかイメージとして頭に残すように書いておられるのだ。
後日になって見返してみれば、そらそうだなんだ、ここし分からないとどうしようもないとこをなのである。
でも不幸にして、さらっと字ずらだけで頭に浮かぶものが無いまま進んでしまったりすると、イメージとしての捉え方がうまくいかなかったことになり、数学の構造として掴めないまま、ただ演算の慣れや証明の暗気になってしまう。分かったという実感がないまま、数学として扱えることができなくなり、演算処理するだけになってしまう。
そのイメージ化をいまいちどやってくれる、そういう本である。優れた教師に恵まれなかった後同系の方、これから大学への方にお勧めする。
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投稿者:アルファ - この投稿者のレビュー一覧を見る
定評のある物理数学の書・・・というだけではなく、実に根深い問題提起まで含む名著である。その理由を知りたいと思う方は、ぜひ通読し、最後の章に書かれている「直観化が必要な理由」を脳に刻んでいただきたい。そこで思考経済という言葉と出会い、自分のものとすることができれば、今後の自己学習が変貌することは間違いない。
読んで良かったです。
2020/02/25 21:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yaji - この投稿者のレビュー一覧を見る
独特な文章で書かれています。
特に良かった点は、行列の章と自然対数の章です。
理系のテキストに載っている公式はほとんどが、「~~の公式は次式で与えられる」といった具合で、理解に繋がりません。しかし、この本は別です。
まさかこんなに簡単に逆行列の公式を導出できるなんて思いもしませんでした。
自然対数の章も納得できる説明でした。数年前に読んだ本なので、記憶がボヤけていますが、数学を扱う人なら読んで損はないと思います。
こんな小さな文庫本にも役立つ情報が載っている場合があるという経験をしました。
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2011/9/24 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2011/12/1〜12/13
学生時代に名前だけは知っていたが,見たことがなかった本書。ブルーバックスで刊行されたのを見て買ってみた。
大学にはいってすぐ,厳密な定理の証明を延々繰り返されてさっぱり数学がわからなくなったことを思い出した。この本を当時読めていればもう少し違った道があったかもしれない。いくつかの点については非常に良くわかったけれど,やっぱりわからないものも沢山ある。まあ,数学から離れてかなりたつので仕方ないか。
でも,今現役で学んでいる学生さん達にはおすすめである。
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著者は早稲田の応物のOB!
物理数学の基礎と熱力学・解析力学の概念を、かなり簡潔にまとめてある。
なかなか内容はしっかりしており、読み応えがある。ただこれだけで学習するのには向いてないか。
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学生時代に出会っていたらなあ,という本。ベクトル解析やフーリエ変換,複素関数論,解析力学など,基本をイメージで把握しようという本。結構有名な本らしいけど,誰も教えてくれなかったよ…。
複素数の掛け算は回転+拡大だ,とか,rotは流速の差による渦の回転軸を向く,とか,個々の話はどこかで聞いているが,それがまとまっているのが良い。厳密さを犠牲にして徹底的にイメージ化してるのも分かりやすい。
それはそうと,この普及版の解説を書いているのって,出身研究室を継いだ先生だ…。
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物理数学をとっつくにあたって立ち読みして面白そうだったので購入。
この手の本の中では最も古く、かつ最もまとまっていると各所でレビューされていたが、比較的そのような印象を受けた。
それよりも個人的には「やや長めの後記」に非常に感銘を受けた。三体問題(2つの天体における位置の計算は容易だが、3つ以上の天体の位置を計算しようとするととたんに難しくなる)に端を発して、ここ300年程度の人間社会の振る舞いを作用マトリックスで説明しようとしており、あまりに細分化しすぎること、その細分化したものだけを考えることへの警鐘が鳴らされている。
細分化によって失われる、全体の不可分な性質は普段から気をつけているのだが、行列で考える事でなんとシンプルに表現できたことか、と目から鱗であった。
ぜひ理工系の学生には一読してもらいたい、と一理工系の学生として感じた。
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「物理数学の直感的方法〈普及版〉」長沼 伸一郎
ブルーバックス・数学。
通商産業研究社から1987年に初刊刊行されたものの普及版。
ベクトル解析、フーリエ変換、複素積分などの物理数学の持つ意味を直観的に解説。非常に噛み砕いて説明してくれる参考書。
物数って、意味を把握してなくてもテクニックとして覚えてしまえばある程度は問題なかった気がする。
そもそもテクニックとして使える、というかテストで点取れるまでが大変で…
数学もイメージで意味を捉えた方が、物理の問題とつながったときにとても面白い。と思う。
ただ、この本を読んで直観的理解をしても、演習で身につけなければいけないのは変わらないだろうな。
個人的には、複素積分とフーリエ変換の章は学生時代に読んでいたかった!
線形代数とラプラス変換についても書いてほしい…
ベクトル解析と解析力学の章は、自分の理解の仕方で合ってたって感じ。
熱力学の章はこの本で読んでももやもや分からない… やっぱり苦手。統計力学も苦手。
これはぜひ物理やってる学生さんは読むべきだと思います。目を通してるか通してないかで、全然理解の容易さが違う。
おすすめ。(5)
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大学1年の時に買っておきながら、ずっと積ん読→読まないから売り払ったのだけれど、ブルーバックス版になっていたので、暇つぶしの読書で読むか・・・くらいの気持ちで購入。
そして思い知りました。
この本はすごい本です!
もっと早く読んどきゃよかった・・・
(物理)数学を、竹を割ったようにすっぱりと解説してくれます。
フーリエ級数や複素解析論など、どれだけやっても「結局これはどういうことに相当するんだろう?」という気持ち悪さが残っていたのですが、それがこの本を読むときれいサッパリ消え失せていく爽快感がありました。
ここまでイメージ豊かに表現できている数学書はちょっとないと思います。
星25個くらいあげたいくらいです!!
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物理の授業って、式の誘導をしてる時に何が目的なのかさっぱり分からなくて、いつも不満でした。この本みたいに教えてくれたらよかったのに。。と思わされる内容。
教養とか専門基礎の授業を受けているときにこの本を読んでいたらなぁ。でも当時はあんまり勉強に時間を割かなかったから、この本があっても結局積読だったかも(笑)
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タイトルからすると直感的な問題の解き方が書いてあるような本をイメージするが、実際には物理数学の公式化された公理、定理の教科書では説明が省略されてしまっている部分、つまり根本部分の理解を促すことを目的とした本であった。このためある程度数学の知識を持っていないと読み進めることは難しい。また、ここで取り上げられている項目について疑問を持っていないと何が問題なのか?ということにすら思い至らない。そういった意味では読む人を選ぶ本である。残念ながら書いてある事の半分もわからなかった。しかし「やや長めの後記」で三体問題に端を発する「ハーモニック・コスモス」が思想化されて現代社会にどのような影響を及ぼしたかという考察は面白かった。面白かったのだが本書の内容からすると蛇足であると感じた。別の論文等で述べるべきではないかと思う。
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何を学ぶにしても、全体像を理解し、個々の内容について具体的なイメージを持つというのは大変重要なことです。しかしながら、物理数学は定石となる公式の運用に終始しがちで、一応の計算は出来るけど、結局、何をやっているかピンとこない、となりがちです。
本書はタイトルのとおり、物理数学の重要な論点について、読者に対して、あれやこれやの手段で、具体的なイメージを喚起しようとするもの。抽象的な専門書に格段と取り組みやすくなること、間違いないと思う。また、学部の授業のアプローチも本書と極めて近いものだった。良い教育機会を与えてくれた出身校の学科・教官に感謝したい。
私の場合、通商産業出版社から刊行された自費出版版に引き続き、普及版となるブルーバックス版を購入して二冊目です。
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数式をどのようなイメージから見るかは理解にとって非常に重要である.さまざまなイメージがあると思うが,各章,うまい一例を示してくれている.
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物理数学を数式だけではなく、直感的に理解させようとする本。
微積、線形代数、複素関数、フーリエ変換、熱力学、解析力学などを扱っている。ブルーバックスの新書サイズなので、若干紙面が狭い気がした。
分かりにくいことを、直感化して分かりやすくするのはよいと思うが、若干古くなってきたかなとも思う。以前に比べて、この分野の良書が増えてきていると思うので。
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すごい本。
理工系の学生だったので、学部生、特に1、2回生のときに出会っていればと悔やまれる。理工系の学生には、絶対にお勧めできます。
それぞれの内容について歴史的な経緯・関連、なんのために必要とされるのかが書かれているため、理解しやすい(腑に落ちる)。
また、第二版で追加されたという11章は、現代の科学の出発点的な発想になっている「デカルト的合理論」の限界について三体問題の話から行列を用いて指摘し、学問、遺伝子工学、経済にまで発展させているところは非常に興味深い。
(最も、行列によるそのようなモデル化が可能かということについては理解が及びませんでしたが。)
特に経済についての箇所では、(国家による)富の再分配は、経済的な平等という概念で正当化されるものではなく、社会的(系)にとって「縮退」を防ぐために意味があるものと思えた。