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電子書籍
満水子 上
著者 高樹のぶ子 (著)
水ばかりを描く女流画家・満水子(まみこ)に出会ったノンフィクション作家の坂本は、彼女の内部に潜む「陰」に気付いた。満水子の過去に何があったのか。謎を追い、翻弄されるうちに...
満水子 上
満水子 上 (講談社文庫)
商品説明
水ばかりを描く女流画家・満水子(まみこ)に出会ったノンフィクション作家の坂本は、彼女の内部に潜む「陰」に気付いた。満水子の過去に何があったのか。謎を追い、翻弄されるうちに坂本は、満水子に惹かれていく。だが「家の火葬」という言葉に行き着いた時、不吉な気配が漂い始めた。傑作恋愛長編、待望の文庫化! (講談社文庫)
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紙の本
雑誌で情痴小説を読めば白い目で見られるけれど、三大紙に芥川賞作家がエロイ小説を載せれば、これは文学、ってホント?
2006/02/16 19:53
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「画家 湯浅満水子について婦人雑誌に文章を書くことになった坂本重治は、画廊で出会った最初から38歳の女に魅入られる」情痴小説。
綺麗に恋愛小説としたいところですが、出てくる人間に清潔感が少しも無いのと、人間関係が汚れた感じなのであえてこう定義しておきましょう。
38歳の湯浅満水子は、近年、水を描くことで有名になった、売り出し中の画家です。坂本重治は主にスポーツ関係の記事を書く文筆家で、結婚し娘と息子がいます。その彼に、「付き合いのある出版社が出している婦人雑誌に湯浅のことを書いてほしい」という依頼があったのです。
銀座の画廊“ギャラリー落田”での個展のときに会った満水子と坂本は、会期の終了時にそのまま湯沢に向かい、神立高原で夜空を見た後、近くの旅館で結ばれます。そのことを画廊の落田時子は、女の感で知るもですが、彼女は坂本に自分でも知らない満水子の姿を描いてほしいと、励ますのです。
しかし、満水子の取材に彼女が住む京都のアトリエを訪ねた彼を迎えたのは、事故で植物人間となった姉の木美子と義兄の吉田泉でした。郡上八幡に住む姉夫妻の娘世木代。彼女と暮らす塩内ヤス。落田時子の息子で写真家である照彦。舞台は京都、岐阜、北海道。駆け抜けた1996年という一年。
自分の過去を決して明かそうとしない女流画家。魅入られ、肉体に溺れ翻弄される坂本重治。画家の下に送り届けられた一通の封書がもたらした綻びが、彼らの人生をゆっくりと押し流していきます。
繰り返される官能描写と、老い始めた男の執着。そして気が抜けたような、曖昧な態度。『百年の預言』を読んだときも、これって渡辺淳一と何が違うのだろうと思ったものですが、男性を侮蔑する点だけを除けば全く代わりがありません。渡邊の『ひとひらの雪』も新聞連載でしたが、この作品も以前の『百年の預言』も発表紙こそ違いますが違うが新聞小説。
テレビのCFではサラ金のCMを垂れ流し、新聞では男性誌顔負けのエロ場面たっぷりの不倫、日本人というのは、この手のことが、よっぽど好きなのだなあと感心を通り越して呆れてしまいます。ま、新聞に載ればエロも堂々と読むことができる、っていうのは一種のマネーロンダリング、さすがマスコミは考えることがセコイ!