遙拝隊長・本日休診(新潮文庫)
著者 井伏鱒二 (著)
復員しても、いまだに戦争中だと錯覚している元中尉の異常な言動を描いて、戦争と戦争思想の愚劣さを痛烈にあばき、真の戦争犠牲者に対して強い同情をよせた『遙拝隊長』、“本日休診...
遙拝隊長・本日休診(新潮文庫)
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商品説明
復員しても、いまだに戦争中だと錯覚している元中尉の異常な言動を描いて、戦争と戦争思想の愚劣さを痛烈にあばき、真の戦争犠牲者に対して強い同情をよせた『遙拝隊長』、“本日休診”の札を出した病院に、その札を無視してつぎつぎと訪れる庶民の姿を洒脱な老医の視点から描く『本日休診』。戦後の救いなき世相を反映させ、ほろにがいユーモアをただよわせた2編を収録。
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「遙拝隊長」は嫌味たっぷりの作品
2019/01/28 10:20
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後まもなくのころの情景を描いた2作。「遙拝隊長」は嫌味たっぷりの作品だ。遙拝というのは、辞書によると「遠く離れた所から神仏などをはるかにおがむこと」ということで、戦時中に精神がいかれた元中尉が拝んでいるのは勿論宮城のことである。幼年学校を経て将校になった悠一は戦時中に負傷して精神に異常をきたしている。復員間もなくのころは名誉の負傷ともいわれていたが、まもなくすると口の悪い連中は「気違いの家系なのだ」と言い出す。お国のためにがんばった挙句がこの様なのだと井伏は世相を笑う。「本日休診」は老医の温かいが冷めた目で戦後間もなくの貧しい庶民の生活を描き出している