陋巷に在り9―眩の巻―(新潮文庫)
著者 酒見賢一
数々の恐怖と苦難の試練の果てに、ヨのもとにたどりついた孔子最愛の弟子・顔回。人間の生命力を吸い上げ、精神を窒息させる危険な場所・冥界。一刻も早い脱出が必要だ! 妖女・子蓉...
陋巷に在り9―眩の巻―(新潮文庫)
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商品説明
数々の恐怖と苦難の試練の果てに、ヨのもとにたどりついた孔子最愛の弟子・顔回。人間の生命力を吸い上げ、精神を窒息させる危険な場所・冥界。一刻も早い脱出が必要だ! 妖女・子蓉とヨ、そして顔回。冥界の掟に反し、三人そろっての帰還にあくまで固執する顔回に、子蓉は、三人を二人にし、二人を一人とする、驚くべき術を提案する。冥界の規則さえも欺く、奇想天外の第九巻。 ※文庫版掲載の『連載挿し絵名作館』は収録しておりません。ご了承ください。
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悪役や敵役が魅力的な物語は面白い
2009/05/24 20:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
前半は黄泉の国における、主人公顔回子淵と魅力的悪女悪子容との掛合である。強力な悪女子容は、顔回にとっても読者にとってもますます魅惑的になる。苦難は続くが、ともかくもヒロインヨと共に3人がこの世に生還する。黄泉の描写はいろいろと象徴的な解釈も可能な印象を持った。作者はそんな意図はないと言うだろうが。ここ何巻かにわたって展開されてきた、悪女の蠱術によるヨの病と治療の物語は、決着がついた。今後に子容がどのように変わるのか変わらないのか、興味が持てる。
後半は、歴史的記録をもとにした、孔子の政治的攻防の話である。この事件の相手役も魅力的人物に描かれている。史実ではこの政治的抗争に敗れ、孔子は各国を流浪する旅に出ることになるはずだが、史書では一言二言で欠かれた事実を、次巻ではどのように敷衍して物語を作り出すのか、心待ちである。
悪役や敵役が魅力的な物語は面白い。現実の人間の性格や心理が相反する傾向が複合しているものであるいじょう、小説の登場人物も単純明快では人間が描かれているとは言えない。この本では、ヒロインヨを除く悪役や敵役や主人公の二律背反的な心理も描かれている。ヒロインヨは悪女子容の蠱術により精神虚脱状態なのだから、やむを得ない。
子蓉の悲恋と秘められた願い
2003/08/13 06:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Okawa@風の十二方位 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「冥界での神々の試練を乗り切り、子蓉と「よ」の手を取る顔回。果たして顔回は二人の魂を無事に現世に連れ帰ることができるのか? そして地上では、孔子の三桓家打倒の野望が現実の物となりつつあった。」
子蓉悲恋の巻ですね。邪悪さの中のさびしげな視線が魅力の裏ヒロイン子蓉ですが、今回も顔回との密かな願いがかなうことはありませんでした。己を愛するものを引き裂くことでしか愛を実感できない子蓉。子蓉の一番の願いは顔回と共に己を引き裂き滅びることなのかもしれません。これまで操り人形だった「よ」(旧漢字)も、今回ヒロインらしいけなげさが光っています。両手に花の顔回のダメっぷりも相変わらずですが(笑)。