商品説明
「雨」の言葉だけを集めたユニークな超辞典時雨・五月雨・にわか雨・春雨・夕立・通り雨・篠つく雨に車軸を流す雨。季節と自然の移ろいの中で生きる日本語のうちから豊かで美しい「雨」の言葉だけを集大成。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
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紙の本
雨の多い国だから
2002/06/25 13:25
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:亜津木もなか - この投稿者のレビュー一覧を見る
霖雨,秋霖,梅雨,時雨……「雨」に関する日本語(漢語)って,
すごく綺麗で,見ているだけで穏やかな気分になれると思いませんか?
この本は,その「雨の言葉」ばかりを沢山集めたものです。
「雨ってじめじめしていて嫌」とか,「やっぱ晴れのほうが良いじゃない?」
と思うかもしれませんが,例えば夜,大雨の降っている時。
電気を消して,窓を開けてその側に座って,そして目を閉じてみてください。
冷たいしっとりとした風と匂い——すごく気持ち良くありませんか?
そう感じることの出来た人は,ぜひこの本を手にとってみてください。
嫌いな雨も,どこか楽しみになってくるはずです。
紙の本
詩情、民俗学、気象情報と、雨についてのすべてが楽しく学べる
2000/11/28 18:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:井上真希 - この投稿者のレビュー一覧を見る
和歌、俳句から演歌、歌謡曲、ポップスに至るまで、日本には雨を詠ったものがたくさんあると思ったら、統計資料からも、日本は雨が多い国なのだ。全地球の平均降水量は約1000ミリメートル、北緯30度から50度の緯度帯が約900ミリメートルに対して、日本は約1800ミリメートル、乾季もあるが雨季に大量の雨が降り続く東南アジアの国々や、霧や小雨に煙るなかを常に開くことのない傘を装身具として持ち歩くロンドンよりも、梅雨、秋の長雨、台風、日本海側の時雨、豪雪と、日本は四季を通じて雨量が多い。
そこで、「雨籠り」を決めこんで日がな一日「八重雨」の「雨音」を聞きながらテレビの「雨傘番組」を観る、「雨承鼻(あまうけばな)」に雨が入るのもいとわず「肘笠雨(ひじがさあめ)」のなかを走る、「昨夜の雨(よべのあめ)」はまさに「遣らずの雨(やらずのあめ)」だったとしみじみ物思いにふける……、といった具合に雨に親しむ暮らしのなかで雨に関するボキャブラリーが増え、雨が詠われてきた。「雨の降る日は天気が悪い」(きわめて当然のこと。わかりきったことの意)のことわざどおりだったのだ。
本書は、こんな「雨のことば」を方言や言い回しも含めて1190語余り選んで解説し、詩歌にみられる用例もあげた辞書だ。もちろん50音順に配列されている。巻末には雨の慣用句・四字熟語・ことわざ・言い伝えがまとめられ、特定の季節の雨の異名を四季別に分類した索引「四季雨ごよみ」のおかげで雨の歳時記としても使える。
監修者は気象庁出身でNHKの気象キャスターをつとめる人物とあって、コラムにも詩情と科学的なデータがうまくブレンドされている。
コラム「五月雨と恋の歌」「時雨と無常の雨」によれば、詩歌に詠まれてきた雨の双璧は五月雨(さみだれ)と時雨(しぐれ)だ。田植えどきの稲作にとって大切な雨が五月雨で、その時期は田の神に敬意を表し、王朝時代の宮廷では「五月の御精進(みそうじ)」として天皇と后は離れて生活し、一般の男女もセックスを慎まなければならなかったから、長雨の空をながめて満たされない気持ちややるせない気分が多く詠われたという。また、平安の都、京都に降る時雨は冬の訪れを告げるとともに人の世の寂しさを感じさせ、戦乱時代あたりからは無常感を象徴するものとなった。
また、気象庁の予報用語で分類した雨の強さ(やや強い雨/強い雨/激しい雨/非常に激しい雨/猛烈な雨)と降り方、NHKの気象予報に使われる通称で分類した雨の強さ(小雨/弱い雨/雨/やや強い雨/強い雨/激しい雨/非常に激しい雨/猛烈な雨)と降雨状況が紹介されたコラム「雨の強さ」は、気象情報として貴重だ。
アフリカ南部ボツワナの通貨単位「プラ」は雨を意味するのだそうだ。米作りに雨の恵みが欠かせない日本でも、正月の雨は豊作のしるしとして「御降り(おさがり)」や「富下り(とみさがり)」と呼び、雨を富に見立ててきた。「雨乞」の名のつく山も各地にある。
日本に連綿と伝わる四季折々の雨の風情を楽しみながら、雨の民俗学や、天気予報の
「時々雨」と「一時雨」はどちらが雨に降られる確率が高いかも学べる。 (bk1ブックナビゲーター:井上真希/翻訳・評論 2000.11.29)