- 販売開始日: 2014/08/01
- 出版社: 朝日新聞出版
- ISBN:978-4-02-261656-2
原節子 あるがままに生きて
著者 貴田庄
経済的な事情から女学校を中退した原節子は、十四歳で女優の道を歩きはじめた。野心満々とは正反対だったが、やがて映画の魅力に憑かれ、『東京物語』などの名匠の作品に出演する大女...
原節子 あるがままに生きて
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商品説明
経済的な事情から女学校を中退した原節子は、十四歳で女優の道を歩きはじめた。野心満々とは正反対だったが、やがて映画の魅力に憑かれ、『東京物語』などの名匠の作品に出演する大女優になる。膨大な資料から本人の残した数少ない言葉を発見し、「伝説の女優」の素顔を浮かび上がらせたエッセイ。
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書店員レビュー
日本映画界に今なお伝...
ジュンク堂書店盛岡店さん
日本映画界に今なお伝説と謳われる映画女優、原節子。名作と名高い「東京物語」(1953)をはじめ、その存在感は今も多くの映画ファンを魅了してやまない。日本人離れした美貌とにじみ出る気品、そして引退後、世間とはいっさいの連絡を絶った後半生。俳優としては長くない、むしろ短かったその軌跡を、映画評論家である著者が、貴重な資料を基にエッセイとして綴る。(店長)
それぞれの生き方
2012/01/21 09:07
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
原節子あるがままに生きて 貴田庄(きだしょう) 朝日文庫
原さんが出演された映画で観たことがあるのは「東京物語」、「晩春」、「麦秋」、「東京暮色」ぐらいで、いずれも小津安二郎監督となります。美しい女性です。
15歳ぐらいでデビューして、17歳ですでに世界中を旅されております。ドイツ、パリ、ハリウッド、中国、ロシアと広範囲の土地を訪れています。1930年代の景色はまだ自然破壊が進む前できっと美しかっただろう。航空機を使わない船旅、ロシアはシベリア鉄道利用となっています。同じく、日本国内もまんべんなく各地の観光地をロケやキャンペーンで巡っておられます。いっぽう戦後は、庶民同様に米や野菜を背中にかついで鉄道に乗車されています。
読書好き、旅好き、ビール好き。麻雀もやるし煙草も吸うし、永遠の処女とネーミングするのはマスコミの勝手だけれど、自分は普通の人間ですと発言する。舞台挨拶は大嫌いだし、水着の撮影には同意しない。歌もダンスもできないし演技は未熟と自己評価もしています。小津監督の死去とともに引退し50年が経過しました。
14・5才の反抗期から女優として働く。複雑な心理の思春期です。なんでもかんでも反発したい時期です。精神が不安定になります。まだこどもなのに、大人の世界でサラリーマンの何十倍もの収入を得ながら働く。いっぽう、学校にも通う。アンバランスです。
書中では、出演した映画の内容や演技が、かんばしくないという評判がいくつも出てきます。狭い設定の範囲内での役柄で輝かしい演技ができた個性の女優さんという定義にたどりつきます。本名会田昌江という人が原節子が演じる「紀子」という人物をつくっているのではなく、同一人物がありのままの自分を出して、映像の中で発言しているという結論に達しています。