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電子書籍
なぜ絵版師に頼まなかったのか
著者 北森 鴻
葛城冬馬、13歳。明治元年生まれの髷頭の少年は、東京大學医学部教授・ベルツ宅の給仕として働くことになった。古式ゆかしき日本と日本酒をこよなく愛する教授は、比類無き名探偵で...
なぜ絵版師に頼まなかったのか
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なぜ絵版師に頼まなかったのか (光文社文庫)
商品説明
葛城冬馬、13歳。明治元年生まれの髷頭の少年は、東京大學医学部教授・ベルツ宅の給仕として働くことになった。古式ゆかしき日本と日本酒をこよなく愛する教授は、比類無き名探偵でもあった。米国人水夫殺害事件、活き人形が歩き出す怪事……数々の難事件を、冬馬の調査をもとに鮮やかに解決してしてゆく。史実を絶妙に織り交ぜながら綴る、傑作ミステリー!
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紙の本
『近い将来続きが読めるのを楽しみに待ちたい』と、今はもう云えないのが、返す返すも残念である
2011/01/22 15:06
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぜのぱす - この投稿者のレビュー一覧を見る
北森 鴻の短編集『なぜ絵版師に頼まなかったのか』を読んだ。以前に、北森 鴻と云う作家を意識して読んでみて、面白かったので、もっと他の作品を読んでみたくて購入したのが本書である。
以下の5作品よりなる。
なぜ絵版師(えはんし)に頼まなかったのか
九枚目は多すぎる
人形はなぜ生かされるか
紅葉夢(こうようむ)
執事たちの沈黙
巻末の解説の千街 晶之(せんがい あきゆき)に依れば、タイトルは全てパロディになっているそうで、成る程、そう云われれば、私にも直ぐ判る物もある。ちょっと気になって調べてみた。
なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?
九マイルは遠すぎる
人形はなぜ殺される
紅楼夢
羊たちの沈黙
幾つかは、読んだことがあるが、未読のものもあるので、いつか時間が出来たら読んでみよう。
主人公は、葛城 冬馬(かつらぎ とうま)、13歳、元号が明治と改まった月に松山で生を受けたが、未だに髷頭である。早くに父母を亡くして、徳川(とくせん)家の御世にこだわる頑固者の曾祖父に育てられた故であるが、その曾祖父も亡くなり、さて、漸く髷を落とせるか、と思ったら、遠縁のおじに「しばし待て」と止められ、その髷を結っていることが条件である奉公先を紹介され、東京大學医学部主任 エルウィン フォン ベルツ先生宅の給仕として東京へ出て来た。
各物語は、ベルツ宅へ出入りする他の外国人教師達やその他の人々と、冬馬の関わりを描き乍ら、巧に史実を取り入れて物語に深みを持たせ、医学的な見地からそれぞれの『事件』の謎が解明されて行く、と云うパターンである。各物語は、それ自身で完結しているので、その意味では、どれから読んでも良いのだが、時間軸は、上に挙げたタイトルの順通りなので、順番に読むのが正解である。『なぜ絵版師に頼まなかったのか』では、13歳の給仕であった冬馬が、『執事たちの沈黙』では22歳の医者になっており、冬馬の成長を各物語を通して追うのも見どころであるし、また、最初の話で、冬馬と出会った時は、新聞記者であった市川 歌之丞が、物語が変わって冬馬が次回に会う度に、職業のみならず名前まで変わっており、最後には冬馬に(一方的に)弟子入りしてしまう、と云う過程を追うのも一興 。
タイトルの付け方の遊び心からも分る様に、一連の物語も(一見)肩の力を抜いたユーモラスな話の作り(例えば、ベルツ先生が「打ち掛け」を部屋着として着ていたり)になっており、ひとによっては、その「軽さ」を嫌うかもしれないが、どの作品も細部に渡って良く作られており、個人的には全て読み応えがあり面白く読めた。
『執事たちの沈黙』の最後は、未だ、物語が続くことを期待させるような終わり方である。『近い将来続きが読めるのを楽しみに待ちたい』と、書きたいところだが、今はもう、そう云えないのが、返す返すも残念である。
紙の本
それぞれの短編の
2015/11/28 21:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のきなみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題からミステリ好きならニヤッとしてしまうパロ感満載で楽しい。
明治初期という時代背景もしっかり描写されてて時間つぶしに読むには最適。