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国益の視点から考える領土問題 - 北方四島・竹島・尖閣諸島
2012/02/22 16:03
12人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
保阪正康氏と東郷和彦氏との共著であるが、内容的には東郷和彦氏による論評が中心である。
元外交官の東郷和彦氏は、数年前に『歴史と外交-靖国・アジア・東京裁判』(講談社現代新書)という高レベルな論考を発表している。歴史がらみの外交案件について、適切に解決する方策を思索した好著だ。
本書はいわば、「歴史と外交・領土編」とも言える内容である。北方四島・竹島・尖閣諸島それぞれの問題について、領土問題の常識にとらわれずに解決法を模索するものである。
東郷和彦氏といえば、外交官としての現役時代から北方領土問題のエキスパートだ。
ここにきて北方領土問題は、ロシア大統領の国後島訪問など、全く対話の糸口さえ見つけられない状態に陥ってしまっている。
東郷氏の論評を読み進むうち、かつて北岡伸一氏が読売新聞に発表した論考を思い出した。
2009年5月31日、読売新聞の「国益とは何か」と題する論考である。少し長くなるが、重要なところのみを紹介したい。
北岡伸一氏はこう記す。「上辺だけの表面的な利益を追求するのではなく、よく考え抜いて、どこに本当の国益があるか、発見しなければならない。利益1の追求に、100のコストがかかるようなものは適切な政策ではないだろう。」
さらに、「実現に100年もかかるようなものも、適切な政策ではないというべきだ。最近(2009年)、谷内正太郎・前外務次官が北方領土に関して3.5島返還という案に言及して厳しい批判を浴びた。前次官、現政府代表という立場や、タイミングについては問題があるかもしれないが、最終的な案としては、それほど悪いものだとは思えない。」
「日本では、100%を主張して決裂すると褒められ、80%の案で妥協すると批判されることが多い。しかし、決裂の結果、60%も取れなくなることが少なくない。国益上は、拙劣なやりかたというほかない。」
(2009年5月31日、読売新聞「地球を読む」北岡伸一筆より)
北方領土問題は、日本側は公式には四島一括返還という100%を主張し続けてきて、半世紀を経ても成果はゼロというのが現実である。最近、急速に四島のロシア化に拍車がかかっているところからは、成果ゼロどころかマイナス!といっていいかもしれない。
今や四島どころか、歯舞・色丹の2島に限っても、日本に返ってくるなど夢のまた夢、と思うのは評者だけか。
時間をかければかけるほど、実行支配している側の既成事実化が進み、返還を求めることが困難になる。当然のことである。
さらに、注意しなければならないのは、尖閣諸島の問題である。尖閣問題も、今後、日中間のパワーバランスの変化によって、日本側に不利になる可能性がある。
北方四島も竹島も、もちろん尖閣諸島も、領有権の正当性は間違いなく日本側にあると思う。
正当性があるのだから、譲歩することなく100%を主張するべき、というのも理屈の上では当然である。
ただ、国際社会での係争案件は必ずしも正当性のある方が勝利するとは限らない。また、正当性を主張し続けることが必ずしも国益に合致するとも限らない。
我々は、領有権の正当性に拘るあまり、国益の視点を閑却していないだろうか。
いつだったか、朝日新聞は竹島問題について、「いっそ竹島を韓国に譲り渡してしまったら、と夢想する」などという論評を掲載したことがある。
これなどは日本側の全面的な譲歩であり、これでは国益に合致するとは到底言えない。
100%を求め続けるのでなく、もちろん全面譲歩でもない。
日本にとっての国益がどこにあるか、それを整理し、少しでも国益に合致するような解決を模索する。
本書での、東郷和彦氏の指針について、読者も今一度、曇りのない眼で考えてみることは重要だろう。
とにかく、時間は無制限にあるわけではない。時間をかければかけるほど日本側に不利になる。これが現実なのだから。
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日本の領土問題
2012/07/04 09:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まぁ君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
北方四島・竹島・尖閣諸島でいったい何が起きているのかという問題について、単なる領土主権の問題か、または政治問題・歴史問題なのか?
元外交官が語るリアリティのある話の中から、戦前戦後史を回想しつつ、これら領土問題を再認識する良い機会を与えてくれる、また、今後のロシア・中国・韓国との外交政策に関する筋道にも触れ、単純な議論ではないものの、今後の日本の有様について考える機会をも与えてくれる一冊である。
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本書は、ゴルバチョフ以降、ソ連・ロシアと領土返還交渉に携わってきた東郷和彦氏が前半に3つの「領土問題」についての経緯並びに現状を解説・論評を行っている。後半は東郷氏と近現代史に造詣の深い保阪正康氏の対談。
お互いにタブーを恐れず、何故それぞれの問題に進展がないのかを忌憚なく討論している。対露では「四島一括」の一人歩き、竹島・尖閣では「日韓併合」「日清戦争」がキーワードであるとしている。
北方は新プーチン政権のサインを見逃さないこと。竹島については政府間交渉が現状不可能であることから、学術や文化交流のレベルでの信頼醸成を図ること。尖閣については非常に武力衝突が危ぶまれることを指摘しながら、ここ30年自衛隊幕僚長クラスと人民解放軍佐官クラスが定期的交流を行い。緊張が強まる時期も中断せず行っていることに注目をしている。
中身はかなり「タブー」と言われる事に踏み込んでおり、関係者には必読の書である。また、内容も平易でわかりやすく一気に読むことができた。
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領土問題は、国益に係ることで、国家公務員の基礎知識と思って、常時勉強している。
中国の台頭を前提にして、韓国、ロシアとの連携をさぐる必要がある。その喉元の小骨が領土問題。
この本における、東郷さんの主な主張として自分が理解した点。
(1)ロシアが一番弱っていた時代の東郷さんの外交交渉が挫折していらい、千島列島は交渉の糸口さえない状況。当時の主権は日本にして、統治は当面、ロシアとか、面積案分案などのような案でさえロシアがのむ可能性は薄い。その状況で、どうやって歯舞色丹だけでなく、国後択捉について日本の関与をみつけだしていくか、極めて厳しい状況にあることがわかった。
(2)竹島は、日本は、単なる領土問題と捉えているが、韓国は、韓国併合の前哨戦としての歴史問題としてとらえ、感情的に譲歩ができない状況にある。その一方で、日本は、中国とのバランスで韓国と良好な関係を保つ必要がある。その糸口をどうみつけるかの問題。
(3)尖閣は、田中総理時代の棚上げ論を、海上巡視艇への衝突事件で、国内法で処理するとしたために、自らそれを放棄し、中国の様々な圧力、最終的には武力行使の可能性までまねいてしまった。本来資源問題であったこの領土問題を、歴史問題にまで難化させない努力が必要。
いずれも、生半可な愛国意識で解決できる問題ではない。国益を第一に考える強い意志を持ちつつ、相手方の利益とのバランスを考え、一歩でも漸進させる、粘り強い態度が、外務官僚、政治家に必要だと思う。
平和的な交渉で格好のいい結論はない。国民もそのような中途半端な前進を受け止めていく必要がある。
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この3月中国へ行こうとセントレアに行ったとき、そこの本屋でたまたま手にした本。機内では別の本を読むつもりが、こちらの方が面白くなり、往復の機内で読んでしまった。本書は保坂さんと東郷さんの共著になっているが、実際は東郷さんの本に保坂さんが対談記事を載せただけで、もちろんそこでの保坂さんの急所をつく質問に東郷さんがたじたじする場面もあるが、中心は東郷さんが外交官として歩んできたロシアとの関係を中心にした対外交渉論である。東郷さんによれば、日本にとって北方領土は歴史問題、竹島は「領土問題」、尖閣列島は領土問題であるという。北方問題が歴史問題なのは、それが終戦のどさくさでソ連に奪われたという認識が日本人にあるからである。略奪、強姦、そしてシベリア抑留という行為を日本人は今も忘れることはない。だからこそ、四島同時返還にいつまでもこだわるのだが、交渉の現場にいた東郷さんにすれば、柔軟な方法をとっていれば、もっと違ったかたちですすんでいただろうと言う。交渉は両国の国力にもかかわる。日本は四島同時に返還にこだわったために、絶好のタイミングを何度か逃してきたのである。一方、竹島にしろ尖閣列島にせよ、どちらも歴史的には、日本が領土拡張をしていたころの産物であり、微妙な問題があり、簡単に日本領土だと言えない側面があることはある。竹島は、そうした歴史を背景に、ある時期から韓国にとってナショナリズムの対象になってしまった。それは、独島憧憬論と言われるほどエモーショナルなものになっているのである。あたかも、それを日本領土だと言えば、かつての朝鮮併合を思い起こさせるように。だから、ややこしい。ぼくはかつて尖閣列島問題が起きたころの本を何冊か読んだことがあるが、それらは歴史的にそこが中国領であったことを証明するのに熱心なのに気づいた。日中国交回復のとき、田中角栄は本当は尖閣列島の帰属をはっきりさせたかったが、周恩来はそれを問題にしたがらなかった。鄧小平もそうである。それは、そのときの主要矛盾でなかったから仕方ないが、本当はその後も水面下でこの問題を交渉しつづけるべきだったと思う。中国や台湾が色めき立ったのは、そこに石油が埋蔵されているかも知れないという発表があったからで、それまではどうでもよかった島々だったのだから。本書でも触れているが、領土問題というのは、もっと実質をとってもいいような気がする。北方領土はもっと早くに共同開発をすべきだったし、竹島はあっさり韓国にやればいい、尖閣列島は日本領だとしても共同開発すればいい。考えて見れば、かつての共産主義は国家を越えていたのではなかったのか。グローバル化といいながら、わずかな領土にこだわるのはどんなものか。(これはけっこう若い人たちの声でもある。もっとも、毛沢東は寸土も奪われないぞとか言っていた)本書の最後には、これらに対処する柔軟で、新たな戦略が提起されている。
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日本の領土を如何に守り解決するか? 太平洋戦争終結後、日本は一貫して領土問題を避けて来た。 いや、逃げて来た。 もし私が結論を出せと言われるならば、淺知恵といわれてもひとつの結論を持っている。 まず、領土問題は、北方四島・竹島・尖閣諸島を並行して処理する方法。 まず、北方四島(択捉・歯舞・色丹・国後)は、歴史問題からしても、まず間違いなく日本の領土であり、譲る事は出来ない。 ロシアの不法占拠である。 尖閣諸島も歴史的にもこれも日本の領土である。 日本が実行支配してる。 しかし、竹島に関して言えばICJに訴える方法もあるが、韓国は竹島に関しては、非常に強行だ。 まず、韓国と妥協して竹島を認めるが商業権も認めさせる。 さらに、北方四島・尖閣諸島に関しては日本側の味方に付ける交渉をするべきである。
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【書評】
本書の筆者である、ロシア担当の元外交官が語る声には重みがある。領土問題を語る場合、現在の日本がおかれた状況に、筆者は並々ならぬ危惧を抱いている。筆者が深く関わった北方領土返還交渉を始め、竹島、尖閣諸島を巡って、一連の関係国の日本への風当たりはどれも強くなっている。これは、日本の対外的な力が落ちていることを意味するとともに、世界が異なる秩序に入りつつあることを示している。
実務家として領土返還交渉に携わった筆者によると、北方領土交渉の失敗の幾つかは日本の側に帰せられ、戦後の日本政府と外務省の進めた領土交渉は「ミッドウェーに匹敵する敗北」を喫してきた。「交渉者の判断を曇らせた大きな要因は、歴史の大きな力関係の中での、日本の力に対する過信である」(p69)。
そして、日本は周りの環境が著しく変化する中でも、領土問題へのアプローチは「敵」の不当性を叫び、我が方に正義有りと「一貫」したものでありつつけている。しかし、領土問題への解決は、時間によっては果たされないどころか、日本の相対的国力の低下によって不利に働いている。「今なによりも必要なことは、交渉敗北の事実を仮借なき眼で見据えることである。それができなければな、今後の交渉にいかなる展望も開き得ない。起きる結果は、一層の敗北のみである」(p67)。
【感想】
複雑な背景を持った領土問題に関心のある人は少ないか、関心があっても自国の正当性を疑わず、頑な態度を変えない人であるかのどちからだ。どちらの態度も領土問題解決にブレーキをかける存在となることを認識した上で、基本的な歴史的経緯を抑えつつ、枠にはまらないアプローチはないか模索した本であると言える。本書では、政治的、歴史的、法律的に絡まり合ったそれぞれの領土問題の特色が分かりやすい。基本的な歴史文脈を説明した上で、決して有利には働いていない現状を打開するために、幾つかの提言が成されている。
それら提言は必ずしも、日本にとって耳障りの良い物でもなく、日本の正義を疑わない人には面白くない内容だろう。しかし、そうやって、かつての主張にしがみ付くことが解決につながらなかったことは火を見るより明らかであり、時間は有利には働いていない。実務家として実際に交渉に携わり妥結一歩手前までこぎ着けた者の主張には、少なくとも敬意を払うべきものがある。特に北方領土交渉に関しては、日本の国際社会でおかれた状況、そしてその弱さを冷徹に見つめるリアリズムが必要であり、その上で共同開発などで自然保護などを通して日本のルーツを探る必要もあるのかもしれない。もう残された機会の窓は多くはないのだから。
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北方領土、竹島、尖閣の三つの領土問題を詳しく説明。東郷先生の言われる三原則が一つの解決の方向だと思う。1.現状を変更しようとする国は力で行動してはならない。2.実行支配している国は相手国と話し合いに応じなければならない。3.両国が知恵を出し合い衝突にならない方法を考える。特に2番目の話し合いに応じるという部分が大事だと思います。日本で言えば尖閣は実行支配しているのだから、強行するのではなく話合う。北方領土はロシアは話合いに応じなければならないし、竹島も韓国は話し合いに応じなければならない。国のプライドや利権などもろもろのしがらみを超えて実行支配している国が少し妥協し、合意の方向を模索する事が大事。日本も北方領土に関して4島同時返還などカッコはいいが、言葉だけの意味のない事を言っておらずに現実を見た外交をすべき
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分かりやすかった。このレベルの知識は国民全体が持っているベキですね。そうすれば、対峙国の暴挙に対して国民全体が冷静に対応できるかと。しかし、外交は難しいですね。
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尖閣諸島国有化より前に出た本です。恥ずかしながら、僕は子どもにこの問題を正確に説明できませんでした。そこで本書でお勉強、と思った次第です。
「歴史問題」「領土問題」「政治問題」の違いを前提に、北方四島、竹島、尖閣諸島の状況、まとめ、そして解決案です。
早くしないと解決できなくなるぞ!というプレッシャー。
「塩漬け」も選択の一つだと考えていましたが、領土問題と原発事故には、通底する意識として、そのままじゃいけないとわかっていても、自分が担当しているうちは何も起きてほしくない、という「原発安全神話」に通底しているものがあるという指摘です。そう言われるちゃうとなあ。
ある第三極のトップの方の唐突発言は、これ読んだのかな?
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このところの国境問題について、入門書としてあちこちに取り上げられている2冊の新書がある。一つは昨年5月初版の「日本の国境問題」(孫崎享著、ちくま新書)であり、もう一つは今年2月初版の本書だ。私が本書から教えられたことは、①韓国人があれほど竹島支配に心情的にこだわるのには歴史的背景がある、②北方領土問題・尖閣諸島問題では、相手方政府のメンツをつぶす日本政府のナイーブな言動が日本の立場を極めて悪くしてきた、③ロシアと日本は対中国で利害を共有しうるのだから、北方領土問題には解決の糸口はある、という3点。 もちろん、北方四島・竹島・尖閣の三問題についての歴史的経緯も分かり易く記述されていて、読む人それぞれが多々得るところがあると思う。 ご一読をお勧めします。
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日本のこれからの20年の基本戦略は明らかである。一つは、中国との間で、相互の基本的国益を害し合わず、可能な協力を実施する関係を構築することであり、それは本質的に中国の利益でもある。もう一つは、そのためにも、中国の台頭に顕在的・潜在的脅威を感じるすべての国とできうる限りの信頼関係を作ること。これは、いかなる意味でも「反中包囲網」をつくることを意味しない。安定した二国間の協力関係をつくるということ、との問題意識から書かれた一冊である。
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先日の孫崎亨さんの『日本の国境問題』に続いてこちら、東郷和彦さんの『日本の領土問題』を読了。
昨今の領土問題について最低限のことを知っておくには、私のような「一般」の人間にはこの2冊を読んでおけば取り敢えず充分であると同時に、必読と思う。
孫崎さんも東郷さんも元外交官という立場でよくここまで客観的に事実経緯の整理と提言をされていると思う。(注: お2人の主張は全く同じではありません) 同時に、このように一方的に自国に都合のいい主張だけをするのではなく、公平な議論が出来る…一般向けの書籍が刊行できる日本という国はつくづくすばらしい。(日本にいると分かりにくいですが、残念ながらこのような内容の本は中国でも韓国でも刊行出来ないのがまだまだ現状)
あ、著者の東郷和彦さんは先の大戦中、重光葵と交互に外相を努められた東郷茂徳氏の孫に当たられるのは有名。その東郷茂徳外相の苦難の外交については岡崎久彦さんの『重光・東郷とその時代』という名著がありますね。
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領土問題解決がいかに困難かをこれまでの外交、交渉の過程を知って改めて痛感した。純粋に領土問題として扱えず、歴史・政治・資源などなどいろんな問題が絡みに絡んでこの問題の解決点を見えなくしてしまっている。各国の国民がナショナリスティックの高揚感を抑えて固定観念も捨てて、国際社会においてのそれぞれの立ち位置を十分理解して、冷静に問題に向き合っていかねばならないと思った。
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北方領土、竹島、尖閣諸島。これらの問題を同一に考え、強行に抵抗することの危うさを指摘した良書だと思った。北方領土は歴史問題を孕み、竹島は政治問題を、尖閣諸島は資源問題を内包している。強行であることの危うさは、「北方四島」というコトバがその原因かもしれない。歴史上あった「面積等分」や二島返還が実らなかったのはよ四島への固執が原因だったのかもしれない。領土問題はこれまでの歴史の熟知なしには相対することのできない問題。日本、韓国、中国、その発言する順序でさえも重要なファクターになりうるように。今後、外交関係の発言に注視したいと思った。「時間が解決する」のではなく「時間が経つほどに危機的状況を迎える」と認識し、まずはこの本の上梓後、急に緊迫感を帯びてきた尖閣諸島の問題にたいしては、いかに戦争を回避するかに慎重になるべきであり、石油資源の共同開発をも視野に入れた解決を討議すべきだ。そういう意味で、中国へのファイティングポーズをむき出しにする日本のマスコミは非常に危ういと思った。