日本人にとって武士道こそ文化、っていう刷り込みがあります。要するに江戸、明治と引き継がれた殺人の歴史を正当化する権力者の発想。で、白狐はそれをあっさり否定します
2007/04/03 19:43
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
大好きなシリーズ第三弾です。出版が2000年で、手元にあるのが2006年で5刷。子どもが順調に育っているのを見ているようで嬉しいですね。装釘・挿絵は、今まで同様に高畠純。前巻で、章の数は扱う時間の長さと対応するか、なんて書きましたが、それはこの巻には当て嵌まらない全24章。
カバー折り返しの内容紹介は
「白駒山の仙人の弟子となり、修行ののち、
人間に化けることができるようになった狐、
白狐魔丸の人間探求の物語。
元の襲来時に、天の「気」をうごかし
嵐をおこした白狐魔丸。
こんどの活躍は、五十一年後、
時は室町時代初期。
楠木正成という武将と出会う。」
巻末には、前巻同様この巻を含めた年表がついていて、話の流れだけでなく、日本史の一部がとてもよく分るのが有難いです。ちなみに、白狐魔丸が今回、目覚めたのは、後醍醐天皇が隠岐の島に流された1332年で、お話はそれから、楠正成が亡くなる1336年の4年間を扱います。
主な登場人物は、前巻でも登場した吉野の雅姫と、彼女(狐ですが)が愛した北條時輔に似た心根の持ち主・越後守、六波羅北探題の北條仲時、楠正成と彼を慕うしのび大和十蔵が大きいです。そして欲に取り憑かれた後醍醐帝と、人の尻馬に乗ってあわよくば権力を握ろうとする大塔宮などがいます。
三巻を続けて読んで思ったんですが、これはいわゆるビルドゥングス・ロマンではないようです。何故かといえば、白狐魔丸は最初からかなり完成した存在なんですね。無論、人語を聞き分られるだけだった狐は、自らも人語を話し、姿も動物から人間までとあらゆるものに変わることができるようになる。
物を消すことも、再び現すこともできるし、人の心を操るだけではなく、その人格を乗っ取ることすら可能になります。そういう意味で、技術者としては成長をしています。でも、彼の心のうちは殆ど変わりません。人が殺しあうことへの嫌悪、疑問は一貫していますし、自分が知らないうちに大きな力を発揮してしまっては後悔するところも同じでしょう。
大嫌いな武士のなかに、とても魅力的なところを見つけはしますが、彼らが部下たちの犠牲によって生き延びることを許すことはありません。忠義のために死んでいく親しくなった武士たちに涙をすることはあっても、彼らが尊い命を捧げたものにそれだけの価値があるとは決して思いません。それは最初から一貫しています。
ただし、奇麗事だけではすみません。怒りに駆られ思わず自らの手を血で汚してしまう。もし、成長ということを当て嵌めるのならば、この部分。でも、狐が本当にこころを休めるのは白駒山に戻って、彼と同じ心根の持ち主である仙人のもとで弟子として修行しているときなのです。
今までよくあった「武士は偉い」「皇室は敬うべきもの」といった根拠のないことがらに拠るのではなく、白紙の状態から人間とは何か、命の尊さ、日々の暮らしの大切さを語ることで平和の尊さを教える稀有の物語といっていいでしょう。日本にある桃源郷、それが白駒山以外にないとしたら、それは寂しいことではあるんですが・・・
『洛中の火 白狐魔記3』
2017/04/27 19:38
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
白駒山の仙人から化身の術をさずかったきつねの白狐魔丸
元寇の時代から約五十年の眠りにつき
目ざめて出会ったのは楠木正成に仕える十蔵という武士だった
執権北条高時に対する後醍醐天皇、護良親王、足利尊氏
覇を競って戦い殺しあう人間の姿を見つめる白狐魔丸
人間に興味をもったきつねの目を通して描く斉藤洋の歴史奇譚
読んでいるうちに歴史に詳しくなる1996年からの人気長寿シリーズ
既刊6冊の第3作は2000年初版
シリーズ全て集めたくなった
2005/01/10 18:51
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投稿者:江川あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る
白駒山で修行し、化身することができるようになった「白孤魔丸」が主人公のシリーズ。今回は足利幕府へと移り変わるとき、という時代設定。歴史小説は苦手な私だが、この話に出てくる人は有名人ばかりで(笑)拒否反応もなく読み進むことができた。シリーズ4冊あるようなので、ぜひ全て読破したい。
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白駒山の仙人の弟子となり、修行ののち、人間に化けることができる
ようになった狐、白狐魔丸の人間探求の物語。元の襲来時に、天の
「気」をうごかし嵐をおこした白狐魔丸。こんどの活躍は、五十一年
後、時は室町時代初期。楠木正成という武将と出会う。
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小さい頃から、母子で大好きだったのです。たまたま図書館で見付けてびっくり!続きがでていただなんて!!迂闊!!見付けられて良かった。
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白駒山の仙人の弟子となり、修行ののち、人間に化けることができるようになった狐、白狐魔丸の人間探求の物語。元の襲来時に、天の「気」をうごかし嵐をおこした白狐魔丸。こんどの活躍は、五十一年後、時は室町時代初期。楠木正成という武将と出会う。
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斉藤さんの本は、読みやすい。メッセージが理解しやすいですね。
私も全巻読みました。
主人公は、狐。
白駒山の仙人の弟子となり、修行ののち、人間に化けることができるようになります。
仙人から白狐魔丸という名前をもらいます。
そして、戦国の世のなかで、戦い続ける人々と知り合い、人間とは・・ということを知ろうとしていきます。
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再読。
この巻が一番時代背景を理解していない巻。
読み直して思ったことは、最初に読んだ小学生時代から日本史の知識がそう増えてないな、ということ。嘆くべき現実。
しかし、知らなくても知っていても面白いものは面白い。斉藤洋ってすごい人です。
雅姫の存在感が強くなってくるのもこの巻から。
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蒙古を撃退した2巻から51年後の室町時代初期。幕府と朝廷の戦いが激しくなる。戦いの世は願わねど、戦いの世を終わらせるためにはさらに激しく戦わねばならぬ・・と争いを悲しむ武将楠木正成とその家来十蔵とであう。白孤魔自身も、体憑依、感憑依、魂憑依の技を磨く。
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最初にちょっぴり残念だったことを告白しておくと、この巻では KiKi のお気に入りの白狐魔丸の師匠・白駒山の仙人は一度も出てきません。 50年以上の長い年月をかけてもどうやら仙人の「穢れ」は清められることがなかったようで、天竺に行ったきり音沙汰もありません。 どこか飄々としていながらも禅僧みたいに含蓄のある言葉を吐く仙人がお気に入りだった KiKi にとってこれは半端じゃなく残念なことでした。
じゃあお茶目な仙人が出て来なくて面白くなかったのか?と問われれば、そこは又別のお話し(笑)で、今巻もたっぷり楽しませていただきました。 どんどん妖術を発展させていく白狐魔丸の成長ぶりも楽しめるなら、彼が多くの人間との知己を得ることによりどんどん人間探究を深めていく姿には思わず感情移入しちゃいます。
特に今作では「楠公」こと楠木正成と知り合い、己が実は狐であることを彼には明かすな~んていうエピソードまであって、これまではどちらかというと「覗き見」的なスタンスを通してきた白狐魔丸がより深く「武士の何たるか?」、「戦の何たるか?」を考えるようになるという展開には説得力のようなものを感じました。
お茶目な仙人が出て来ないことにより白狐魔丸の導き手がいなくなってしまうことを危惧しながら読み進めていったのですが、前作でも出てきたもう1人の「人に化けることができる狐」である雅姫(つねひめ)がその代理とでも言わんばかりに活躍します。 白狐魔丸がルーキーなら雅姫はベテランといった趣で、妖術のさらなる高級技、「体憑依(体の全部または一部を思いのままにする)」、「感憑依(感じ方を支配すること、暑くもないのに暑いと感じたりするが自分が行動として何をしているかは本人がちゃんとわかっている)」、「魂憑依(身体の動きも感じ方も考え方も、何から何まで支配すること)」を教えてくれたり、「人に化けることができるとはいえ所詮狐は狐、本質的に人がすべきことまでは手を出さない」というスタンスなどを白狐魔丸に教えてくれます。
思い起こせばこの物語で扱っている時代(鎌倉幕府の滅亡から室町幕府の成立まで)は学生時代の日本史の授業の中でも一番面白味に欠けると感じていた時代で、日本史の教科書や年表に載っていた年号と事件ぐらいしか印象に残っていなかった KiKi なんだけど、この本の読書とついこの間読了した「逆説の日本史」のおかげで、だいぶ KiKi の頭の中にある種のイメージが定着したような気がします。 特に後醍醐天皇や護良親王に関しては、かなり「人として」のイメージが湧くようになってきたような気がします。 学生時代はどちらかというと「名前だけの存在」みたいな感じで暗記しただけでしたから・・・・・(苦笑)
前作では「天の気」を操って「神風」を起した白狐魔丸が今作では「火」を操るようになったのが印象的でした。 だんだん RPG の登場人物のように技が増えていきますねぇ・・・・・。
最後に・・・・・・
前作では弘安の役(2回目の元寇)が終わると眠りについちゃった白狐魔丸。 その10年後ぐらいに彼が必死で全国行脚をして探し回った「竹崎季長」があの有��な「蒙古襲来絵詞」を描くわけだけど、それを見る機会はあったんでしょうかねぇ?? この物語の中ではそのあたりに関しては一切記述がないんだけど、あれだけ苦労して探し回った白狐魔丸には是非是非見て欲しかったなぁ・・・・。
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白狐魔記シリーズ3作目。
後醍醐天皇の辺りといっても、ほとんどピンとくるものがない不勉強な私ですが、さらりと読めました。もっと時代背景や登場人物にあかるければ、面白さも増したかもしれませんね^^;
今回は仙人が登場しなかったので残念でした。白狐魔丸と仙人の会話も私の楽しみの一つです。
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いつも白狐魔丸は人の死を看とる役割だなあ。
いつみても自害の現場は切なくてたまらない。
縄張り争いをしなくても生きて行ける人生を送りたいなあ。
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かなり端折りまくってるが仕方ないんだろうな。ちと残念だが、この時期のややこしさを綺麗にまとめてる。んで…室町時代に興味も好意も無いらしいな(苦笑)
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戦国時代は人気だし、色々な登場人物を題材にしたものがあるが
室町時代はさほど主要人物以外スポットが当たっていない気がする。
よって今回帝と北条と足利と さらに低い身分の武士と様々な意図が交錯して考えさせられた。
今回も真の主人公は女狐だった??
戦とそれを望まない武士と・・・この題材で
3巻くらいみっちりやってほしい。
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本書はシリーズ3巻ですが、これまでで一番複雑で面白かったです。1巻はほとんど設定の紹介で終わってしまい、源平の史実との関わりが描かれる余裕がありませんでした。2巻は蒙古襲来にまつわるできごとのうちのほんのわずか2、3シーンを切り取って描写した一方で、超能力の描写と役割が大きな部分を占めていたという印象でした。それに対して3巻では、言及のみで登場した足利尊氏や後醍醐天皇も含めると登場人物がだいぶ多く、それらの関係がある程度複雑です。時間的にも尊氏が幕府側だった時から、後醍醐天皇についた時、後醍醐天皇と戦った時までいたり、ある程度の時間にわたって情勢の変化が描写されています。その史実の中に、白狐魔記の主人公白狐魔丸とその他のオリジナルキャラクターが絡んで、このお話ならではの歴史の裏側を描いてみせているところが面白いです。
次第に超能力者として経験を積み、長寿で、能力も拡大している白狐魔丸は、だんだんと超人ロックみたいな存在になってきているような気がしなくもないです。このお話で白狐魔丸は武士や戦が嫌いだ、と言い続けていますが、様々な人の生死が通り過ぎていくと、だんだんすれて、達観していくのが自然なのかもしれないなあ、白狐魔丸はそんな風なんだろうかそれとも慣れないんだろうかなどと思いながら読みました。
うちの子はまだ小三で歴史も習っておらず、つらいかな、と心配しながら読み聞かせをしたんですが、なんとかついてきていたみたいですね。それなりに楽しんだようです。