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電子書籍
武装解除 紛争屋が見た世界
著者 伊勢崎賢治
むき出しの暴力、軍閥ボスのエゴ、戦争が日常の子どもたち……。泥沼の紛争地でいかに銃を捨てさせるか? 東チモールからアフガンまで現場を指揮した男が明かす真実。真の平和論はこ...
武装解除 紛争屋が見た世界
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武装解除 紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)
商品説明
むき出しの暴力、軍閥ボスのエゴ、戦争が日常の子どもたち……。泥沼の紛争地でいかに銃を捨てさせるか? 東チモールからアフガンまで現場を指揮した男が明かす真実。真の平和論はこの一冊から。(講談社現代新書)
目次
- 序 章 常に思い通りにならない半生
- 歯車が狂いだしたのは大学卒業間近/アイデンティティはどこへ/行動パターンを縛る原体験/まったく祝福されない海外留学と国外強制退去/魑魅魍魎の日本のNGO業界/聞いたこともない国への赴任/政治家なんて恫喝させておけ/NGOで学ぶマネジメントの基礎そして幻滅/一本の電話でPKOへ
- 第一章 暫定政府県知事になる──東チモール
- 紛争屋という危ない業界/国連PKOの世界へ/東チモール小史/県知事が国連平和維持軍と文民警察を統括/国連平和維持軍兵士の死/文民統治(シビリアン・コントロール)のリスク/後方支援は人道支援ではない/“仇敵”との信頼醸成/軍事監視団の心意気/非武装国家の夢
- 第二章 武装解除を指揮する──シエラレオネ
- テロを封じ込める決定的解決法/シエラレオネ小史/米国が醸し出す究極のダブル・スタンダード/正義か、平和か/平和の代償/和解という暴力/紛争解決の究極の処方箋?──DDR/武装解除なしで選挙をやったら?/和平合意だけで武装解除は始まらない/中立性とは何か/DDRの真価
- 第三章 またまた武装解除を──アフガニスタン
- ほか
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紙の本
「紛争屋」伊勢崎賢治の渾身の1冊
2007/01/31 21:05
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:喜八 - この投稿者のレビュー一覧を見る
国連PKOの一員として東チモール・シエラレオネ・アフガニスタンで紛争処理(軍閥・ゲリラの武装解除、戦後のインフラ構築など)にあたった経験をもつ伊勢崎賢治東京外国語大大学院教授の著書『武装解除』よりの引用です(214-216頁)。
《「金だけで血を流さない」とは、日本のタカ派政治家が、「だから日本の貢献は評価されていない」、「だから日本はバカにされている」と、日本の自衛力を海外派兵する口実に、頻繁に用いてきた。 僕は、仕事柄、米連合軍の司令官クラス(少将、中将のレベル)と日常的なやり取りがあったが、「彼らは日本の資金的貢献をしっかり評価している」というのが実感である。これは決して僕に対する彼らの外交辞令ではない。そんなことを僕のような下っぱにやっても、相手にとってまったく利益がない。日本の貢献を直接的に利用する相手側の軍のトップ連中の本音なのである。
つまり、相手はちゃんと評価しているのに、評価していないと、その相手がいない日本国内で、日本の政治家たちは騒ぎ立ててきたのだ。
本来、国際協力の世界では、金を出す者が一番偉いのだ。
それも、「お前の戦争に金だけは恵んでやるから、これだけはするな。それが守れない限り金はやらない」という姿勢を貫く時、金を出す者が一番強いのだ。
しかし、日本はこれをやらなかった。「血を流さない」ことの引け目を、ことさら国内だけで喧伝し、自衛隊を派兵する口実に使ってきた。
ここに、純粋な国際貢献とは別の政治的意図が見え隠れするのを感じるのだ。
右翼化。
つまり民族の自尊心を、国外に対する武力行使、もしくは武力誇示で満足させようという動きが日本にあるとしたら、そして、日本の軍備を紛争当事者国の庶民の安全保障以外の目的に悪用する可能性があるとしたら、僕は愛国者として体を張ってそれを阻止したいと思っている。》
「紛争屋」として、現実の戦争・内乱・虐殺行為を目の当たりにしてきた著者伊勢崎賢治さんならではの渾身の1冊でした。「人間による人間の虐殺」を根絶したいと願うすべての人にとって『武装解除』は必読の書だと思います。ぜひ手にとってみてください。
紙の本
理想論でない国際平和貢献への道筋
2007/01/28 08:40
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:cuba-l - この投稿者のレビュー一覧を見る
紛争屋とは多国籍の軍人・警官を部下に従えて軍閥の間に立ち、あらゆる手段を駆使して武装解除を行うプロの現地スタッフだそうである。外務省や国連機関の依頼を受けて実働部隊として様々な紛争地で武装解除や動員解除、社会再構築に携わってきた著者の話にはきれい事の理想論の到底及ばない迫力がある。
平和維持活動は『抑止力』であり、(敵対武装勢力が)多勢に無勢であることに意味がある。政治的野心が純粋な社会変革を目指していると信じるバカはいない。表舞台の国際援助は、武力で恐怖政治を引いている軍閥に現地の歴史的文化的経緯を重んじて金を出すほど、文化人類学的ではない。
こうした現状について著者は言う。
「留置所や刑務所といった体制的インフラは、学校や病院といった癒し系インフラに比べ極端に支援国の援助を引き出しにくいが、治安の安定なくして何が学校か。」
紛争は政治的野心から発生するものだが、政治的野心の実現には金がかかる。政治的野心と金がどちらが先かはわからない。だから紛争の世界で金を出すものは評価されるのであり、それ故、金を出したら口も出して金の使い方をコントロールすることが紛争解決への貢献にもなり得るとも言える。日本の積極的な平和貢献への現実的なヒントを示唆してくれる本である。