最後の一球
著者 島田荘司
自殺未遂をした母親の動機が知りたい--。青年の依頼に、いつになく渋面を浮かべる御手洗潔。やがて原因は悪徳金融業者からの巨額の借金であることが判明し、さすがの御手洗も打つ手...
最後の一球
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商品説明
自殺未遂をした母親の動機が知りたい--。青年の依頼に、いつになく渋面を浮かべる御手洗潔。やがて原因は悪徳金融業者からの巨額の借金であることが判明し、さすがの御手洗も打つ手がない。だが、奇跡が起った。突然の火事により、債務者を苦しめる書類が灰になったのだ。やがて御手洗は、この奇跡が、偉大な才能を持った1人のスラッガーと、あえなくプロ野球をクビになった凡庸なピッチャーとの友情の賜物だったことを知る。御手洗シリーズ中出色の異色&感動作。
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熱い作品
2018/05/31 23:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:獺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
御手洗シリーズはトリックがあっと驚くものばかりでミステリとして本当に傑作だと思いますが、決して悪人ではないのに犯人となった人たちの物語や心情が細やかに語られるものが多く、このシリーズが私をここまで強く惹き付ける要因は、より後者にあると思っています。
特にこの作品はその面が色濃く、気持ちが入り込んで一気読みしてしまいました。
野球好きなので尚更胸打たれたのだとは思いますが、すごく熱量を持った素晴らしい作品でした。
御手洗さんの出番が非常に少なかったのは残念でしたが、彼の心のあたたかさも相変わらずです。
御手洗ミステリの野球小説。
2011/07/14 11:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白かったーーー!!!
すごく、好き。
本作は御手洗潔シリーズである。
といっても、御手洗と石岡の登場部分は少ない。
本書は紛いもなく御手洗潔シリーズだが、
物語の主役は天才打者と二流投手という二人の野球選手である。
だから…御手洗ファンにとっては物足りなさを感じる一冊かもしれない。
だけど、トリックや謎解きにそれほど重きを置かない本読みのわたしには、
とても印象に残る、そしてページを繰る手が止まらなかった一冊だった。
先にも書いたが、本書の主役はふたりの野球選手である。
彼らの――近すぎず、かといって淡白すぎない上質の――友情と、
野球に対する想いがふんだんに込められている。
物語の先は、はっきり言って読める。
『最後の一球』というタイトルから、結末も読める。
それでも、ページを繰る手が止まらなかった。
ここまでぐいぐい引き込まれるのは、
著者の文章力のなせる技だろう。
ミステリとしては疑問の残る作品かもしれない。
でも、このドラマ性がたまらなく好きだ。
御手洗シリーズ、見直しましたっ!!
感動の物語ですが推理小説としてはいまいち
2019/01/29 08:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自殺未遂をした母親の動機が知りたいという青年の依頼を渋々受けた御手洗潔は、彼の嫌な予感の通り原因が悪徳金融業者「道徳ローン」からの巨額の借金であることを突き止め、打つ手がないと絶望していたところに奇跡が起ります。「道徳ローン」に検察の捜査が入った日、突然屋上が火事になり、そこに緊急避難させてあった債務者を苦しめる書類が灰になったのでした。竹越警部に原因究明のための助言を求められ、現場に行った御手洗は、そこに焦げた野球ボールを見つけます。そしてこの奇跡が、偉大な才能を持った1人のスラッガー武智明秀と、プロ入りしたものの武智のバッティング投手を務めることでした解雇を逃れられなかった凡庸なピッチャー竹谷亮司との友情の賜物だったことが、竹谷によって長々と語られます。
この竹谷亮司の語る野球人生と、彼の幼少時に彼の父親が「道徳ローン」のせいで自殺に追い込まれたこと、つい最近同じく「道徳ローン」のせいで追い詰められて武智明秀の父親が結局自殺してしまったという二人の類似する境遇が、彼らの絆を強め、また彼らから野球を奪うことになるという悲劇。けれど、彼らの【最後の一球】は数多くの「道徳ローン」に苦しめられる人たちを救うことができたという感動の物語です。
しかしながら、御手洗潔が現場検証をしていた場面から竹谷の独白への移行が前置きなしであまりにも唐突なため、かなりの違和感を感じぜざるを得ず、話が再び「道徳ローン」に辿り着くまで相当の回り道を強いられ、そこまでの道のりが少々苦痛に感じられました。感動の物語ですが推理小説としてはいまいちかなという感想です。
御手洗渡欧前の最後の事件?
2017/04/25 12:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sipa - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初に読んだ時、タイトルからホームズの「最後の挨拶」を連想しました。冒頭で御手洗が石岡君に「ヘルシンキに行こう」なんて世間話をしているし、時期は1993年の10月だし、これが御手洗渡欧前の最後の事件だと思っていました。
後に出た「星籠の海」の出だしでは、星籠の件を最後の事件としていました。しかし星籠のほうは1993年の夏の終り頃に起きたと判って、あれっとなりました。「船やヘリを乗り継いで追いかけた事件は最後」だと書かれていたので、スケールの大きな事件は星籠の事件が最後、ということなのかもしれません。移動範囲としては、横浜から遠く中国・四国まで、広い範囲を動いています。
というわけで「最後の一球」の時期とスケールを以下に検証。
まず時期に関しては、御手洗たちが関わるのは1993年の10月~12月(実働は数日?)。石岡君が語り手となる、山梨の美容師・廿楽泰(つづらやすし)依頼の件が10月。この案件は冒頭4分の1で解決し、唐突に1人の野球人の手記が始まります。これがそのまま最後まで突き進むので、人によっては物足りないかもしれません。
手記の内容は、当時27歳の竹谷亮司が、20年間の野球人生を振り返るものです。その最初の10年はざっとした内容で、高校生の時期から詳しい話が書かれます。この頃に天才打者・武智明秀が登場。戦国武将か幕末の志士みたいな名前ですね。
1993年の9月12日、武智の出場した野球の試合がその後の事件の引金となります。数日後に竹谷と武智が勝負し、その1か月半後に再会するので、その時が10月末。この辺で石岡君パートに追いつき、その数日後、金融会社で事件が発生。その後、御手洗たちのために竹谷は手記を書き始め、12月10日に書き上がります。
それからスケールについては、プロ野球界を揺るがしているので結構大きめ。移動範囲や手段に関しては星籠のほうが上という感があります。最後の一球でも色々と移動はしていますが、電車と新幹線で事足りてそうです。
石岡君パートでは、依頼主の美容室がある上野原、金融会社のある有楽町へ。その後、横浜にあった球団関係の施設周辺、武智の自宅があった山下町、もしかしたら武智と竹谷が再会した北鎌倉の明月院にも行ったかもしれません。最終的に2人は竹谷の出身地である、静岡県の浜松まで出向いています。関東・東海止まりなので、星籠のほうが移動範囲としては広いです。