殿さまの日(新潮文庫)
著者 星新一
ああ、殿さまなんかにはなりたくない。誤解によって義賊になった。泣く子も黙る隠密様のお通りだい。どんなかたきの首でも調達します。お犬さまが吠えればお金が儲かる。医は仁術、毒...
殿さまの日(新潮文庫)
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商品説明
ああ、殿さまなんかにはなりたくない。誤解によって義賊になった。泣く子も黙る隠密様のお通りだい。どんなかたきの首でも調達します。お犬さまが吠えればお金が儲かる。医は仁術、毒とハサミは使いよう。時は江戸、そして世界にたぐいなき封建制度。定められた階級の中で生きた殿さまから庶民までの、命を賭けた生活の知恵の数々。――新鮮な眼で綴る、異色時代小説12編を収録。※文庫版に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。
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星新一はショートショートだけじゃない
2021/02/01 21:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「殿さまの日」「ねずみ小僧次郎吉」「江戸から来た男」「薬草の栽培法」「元禄お犬さわぎ」「ああ吉良家の忠臣」「かたきの首」「厄よけ吉兵衛」「島からの三人」「道中すごろく」「藩医三代記」「神の城」の12編。私は断然「殿さまの日」が好き
面白い!
2016/09/18 00:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ライトアップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ショートショートの第一人者星新一の時代小説12編。異色に思われるだろうが、どの話も面白く何度繰り返し読んだか分からない。当時の風習も描かれていてオススメです。
時代は変わっても人は変わらない
2015/11/24 16:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
収録の12編の短編は、どれも星新一らしい現代的視点で江戸時代を解釈されている。
従来の時代小説は、江戸時代にどっぷり浸かって、この時代の習俗や人情と自分の中にある価値観の共鳴を楽しめるものが多い。
それに対して、本書は、江戸時代の出来事や習俗を引いた目で見つめており、我々が現代生活の中で感じている価値観との共通点を江戸時代に見出している感覚がある。
情の共感と社会生活の共感といった違いだろうか。
従来の時代小説ばかりを読んでいると、そのすべてを自分の中に取り込んで、あるいはその世界にどっぷり浸かっているから、現代的な感覚は皆無。ところが、ここには現代の頭で江戸時代を眺めているから、星新一の面白い視点に驚かされつつ、こんな解釈も納得できるな、と純粋に楽しめた。時代は変わっても、人は変わらないものだと思った。
収録作品の中でも面白かったのが、【江戸から来た男】
江戸城に登場したある藩の殿が、幕府の役人から貴藩はここのところ景気が良くて、けっこうでござる、と話しかけれた。
それを聞いた家老たちは心配でならない。
景気がいいとなると、幕府からさまざまな普請を言いつけられるからだ。
しかし、外面的には地味を演出し、貧しさを装っているのに、なぜ藩に蓄えがあることが知れたのか。
そして家老たちは一つの答えに辿り着いた。
「藩内に隠密がいるのではないか」
そこで浮かんできたのが、十年ほど前に住み着いた庭師の男だった。
江戸生まれのこの男に、家老たちの疑心暗鬼は深まるばかり。
さんざんに普請を言いつけて、藩の弱体化を図った史実があるから、実際に、こんな疑心暗鬼があってもおかしくない。
社会の価値観は違えど、霧に包まれたような危機感に右往左往する様子は、現代とさほど変わらない気がした。