紙の本
稀代の悪漢小説!面白い!
2012/09/20 09:32
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投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
疫病神シリーズの第4弾となる本作品、前の3作も非常に面白かったけど本作品も変わらずクオリティの高さを保っていた。シリーズ中は2作目の「国境」が非常に好きだったけど、それ以上に面白かったかもしれない。
悪い奴が悪い奴を、陥れる。これは読んでいて、何とも不思議に痛快な気分になる。正義の味方が悪人をやっつけるのでは当たり前だし、善人が悪者に騙されるのであれば胸糞悪い。しかし悪者同士で陥れあうのを端で眺めるのは何とも痛快。しかも、陥れる方がよっぽど悪い。そう主人公の大阪二蝶会の金バッヂ、桑原だ。相変わらず、悪い。まずめっちゃくちゃにケンカが強い。相手のヤクザがナイフ持ってようがチャカ持ってようが関係なく、しばき倒すイケイケの極道。ところが頭もこれ、滅法切れるインテリヤクザだったりする。金利税金小切手手形、なんでも来いの知識を持ってたりする。そしてまぁ、おっそろしい程に悪い。金とメンツの為なら、人の命なんぞ枯葉程の重さもない(実際に作品中で殺人はしないが)。がしかし!これが不思議と、憎めない。憎めないどころか、自分なりの桑原像を思い浮かべてしまったりもする。それはもう一人の主人公、二宮の存在が大きい。建設コンサルタントとして、建設現場の地回りヤクザとの折衝を生業にする二宮だが、基本は堅気の人間。しかし桑原の腕にも足にもいいように使われ、毎度命がけのトンでもない事件に巻き込まれるのだ。最凶コンビのこの二人の面白い所は、お互い本気で嫌い合っている所。だけどビジネスパートナーとして、認めるところはちゃんと認め合っている。言葉や行動の端々にそれが伺えるのが非常に面白く、2人の憎まれ口の応酬には何度も吹き出してしまう。
何せ稀代の悪漢小説、次作はいつ読めるのだろうとそればかりが気になるくらい。悪い悪いとは書いてますが、胸糞悪くなるエログロは無いので誰にでもオススメ。もしまだ未読でしたらぜひ、シリーズでご一読あれ。
紙の本
脇役も面白い
2015/05/10 10:26
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投稿者:junbei - この投稿者のレビュー一覧を見る
名コンビの掛け合いは相変わらず面白い。だが、今回は新キャラ含め、周りのキャラも活躍?した。話の内容は、一冊でまとめるには厳しいように思います。上下巻で読みたかった。
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内容(「BOOK」データベースより)
信者五百万人を擁する伝法宗慧教寺。その宗宝『懐海聖人絵伝』をめぐるスキャンダルに金の匂いを嗅ぎつけた、相性最悪の二人組、自称建設コンサルタントの二宮とイケイケ経済ヤクザの桑原。巨大宗派の蜜に群がる悪党どもは、腐敗刑事、新宿系極道、怪しい画廊の美人経営者。金満坊主から金を分捕るのは誰か。東京まで出張った最凶コンビの命運は?―。
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黒川博行〈シリーズ疫病神〉の4作目。私にとっては3作目(『破門』『国境』と順番バラバラ)。
建設コンサルタントの二宮とイケイケヤクザの桑原が、好むと好まざるとにかかわらず一緒に行動する、というか、もっばら二宮が巻き込まれる形で桑原に引き摺りまわされるのは毎度おなじみ。今回はとある仏教系巨大宗教団体のお宝である絵伝の巻物を巡る争奪戦。宗門争いに東京ヤクザが一枚噛んで、そこに桑原の親分の元愛人の美人画商が絡む。
東京に乗り込んだ桑原と二宮は生臭坊主たちと渡り合うが、東京ヤクザも黙ってはいない。だがそこは我らが桑原さん、東京ヤクザの三下どもを次々に病院送りにする。その巻き添えを食った二宮も顔をボコボコにされるのだが。
暴対法が改正されて極道にとっても生きづらい(笑)世の中になったしまったので、桑原さんの活躍も今ではロマンになってしまったかな。
黒川さんの作品は女の人が酷いことされたりしないので、ほんと、女性にもおすすめです。極上極道エンターテインメント。
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疫病神シリーズの四作目。
五作目が先日直木賞受賞ということで、おめでとうございます。
そのニュースを見て久々にこのシリーズを読もうと思って購入。
相変わらず桑原と二宮の掛け合いが面白かったです。
『国境』を読んでからなので、そうすると少しインパクトとかスケールが小さく感じるかもしれませんが、登場人物がなんとか把握できる程度だったので読みやすかったです。いや、それでも多いほうだとは思うけど…。
あとは、東京が舞台のシーンが多くて、今まで大阪の描写はわからないとこが多かったけど東京は「あぁ」となれたのでその辺も読みやすさの一因だったのかも。
それにしてもなんだか二宮がほんとに意地汚いというか図太くなってってる気がする。
これでカタギ…と毎回思う。
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疫病神シリーズ第四弾は宗教。二宮と桑原は、伝法宗慧教寺派の宗宝『懐海聖人絵伝』をめぐるスキャンダルを嗅ぎつける。絵伝を金にしようと画策する二人を待ち受けるのは、巨大宗派の蜜に群がる悪党たち。おもろい。
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極道の桑原とカタギの二宮がコンビを組む疫病神シリーズの第4弾。いつも通り大阪中心にカネを追って様々な土地を訪れるハイテンションでスピーディーな展開。その中で2人のボケツッコミ会話が絶妙なタイミングで挿入される。今回はそれに加えて二宮が飼うオカメインコがいい味を出している。
今回の2人のターゲットは宗教法人が保有する時価数千万円の絵巻物。光に集まる蛾のごとく、巻物をめぐり、桑原・二宮コンビや宗教法人の経営者と坊主、美術館経営者、ヤサグレ警官、東京のヤクザが群がる。
それにしても、ヤクザの世界と宗教の世界はよく似ている。どちらもその世界をよく知らないカタギ、信者から合法的にカネをどれだけの引き出せるか。それこそが、それぞれの世界で上を目指す権力者たちに必要な能力だ。
そんな世界をどうにか泳ぎきった疫病神コンビ。しかし、その儲けはイマイチ。
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疫病神シリーズ第4弾。
これまでと同じく金の臭いを嗅ぎつけて桑原が暴れまくり、二宮がぼこぼこにされ、騙し騙されてバイオレンス溢れる楽しい1冊でした。
毎回複雑な人間関係と利権争いを描いているシリーズで、今回は巨大宗教組織を相手に悪徳坊主がわんさか出てきます。ばちがあたるぞおまえら!という感じです。
神も仏も恐れぬ桑原の清々しいほどの暴力と、貧乏で暢気な二宮のへたれっぷり、そしてこの二人の関西弁での漫才のようなやりとりはこのシリーズの最大の魅力です。何度読んでもおもしろい。
桑原と二宮、二人ともお互いを「疫病神」だと思っていますが、わたしはこれまではどちらかというと桑原が二宮の疫病神という方が強いと思っていました。
しかし今作では二宮の金に対する貪欲さが全面に出ており、こいつもやっぱりろくでもないやつだなと改めて認識。
やくざやら悪徳警官やらに狙われている危ない時でさえ寝てるか食べてるか風俗に行っているかで、殺されかけてもうこんなの嫌だ、とぶつくさ言うくせにしっかり分け前の交渉はする。
桑原が二宮に「へたれキャラに何度騙されたか」とぼやいているように、二宮も精神構造がおかしい図太い奴です。
二宮の図太さが見えた代わりに今作では桑原の可愛らしい一面が垣間見れた気がします。
とはいってもこの二人を筆頭に登場人物のほとんどががろくでもない人間ばかりなのは間違いありません。
いつも通りの結末でしたが、最後にはちょっとしたサプライズがありました。
シリーズ中では一番読みやすくて笑えた1冊だったと思います。
麻衣ちゃんが可愛すぎてお嫁にしたいです。
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安定の面白さ。
桑原と二宮の会話はもちろんだが、二人のベタベタしていない友情がいい。
読ませるなあ。
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疫病神シリーズは
文句言わずに星5つ。
この二人が会話してるだけでもう満足。
ちょっと尻切れだけど
そんなこたあ大したことじゃない。
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ストーリーの展開も早く飽きずに読める。キャラが確立されているが、意外な受け答えの時もあり新たな発見がある。
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新潮文庫で出ている2冊目だからシリーズ2作目かと思ったら4作目でした。このシリーズは色々な出版社から出ているようだ。でも間飛ばして読んでも大丈夫でした。
相変わらず入り組んだ人間関係でややこしかったけど、どつき漫才コンビの軽快なノリで一気読みでした。イケイケやくざの桑原に二宮が巻き込まれる形で物語が進んでいくけど、なかなか二宮もしたたかで胆が座ってます。金と食欲性欲睡眠欲に忠実な二宮を見ていると、案外桑原の方が常識人なのでは…?と思ったりする場面も。これだけドンパチやっても死人が出ないのがすごいこのシリーズ(ただし半殺しは日常茶飯事)極道の世界の一触即発の駆け引きにもハラハラどきどきでした。ドラマ化されていることは知らなかったけど、桑原=北村一輝はすごくいい!
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疫病神シリーズ第4弾
今回のシノギは仏教界。
動く額が違うし、ヤクザな業界で驚いた。
金額が細かく説明してあるので
リアリティーもあるし、とても面白い。
命張った割には、あまり儲からないのもだな。
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読了【螻蛄】黒川博行著新潮文庫疫病神シリーズ4作目。イケイケの経済ヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮がお互いに疫病神だと思って嫌いながらもコンビを組んでる。コテコテの関西弁でスピーディな展開は気持ち良く読める。700頁を超える分厚さも苦ではない。
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この疫病神シリーズも4作目ということで、塚本・二宮コンビもだいぶかみ合ってきたみたい。
事件(シノギ)そのものは嘘っぽいけれども、二人の掛け合いはいかにも大阪人コンビという感じで、面白い。